2012年4月22日日曜日

■<ぶらり旅番組>自然なやりとり人気で続々 手抜き危惧も


<ぶらり旅番組>自然なやりとり人気で続々 手抜き危惧も
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120421-00000022-mai-soci
毎日新聞 4月21日(土)11時11分配信

 ぶらっと散歩したり、見知らぬ相手と酒を酌み交わしたり……。作り込んだ演出をせず出演者が「行き当たりばったり」に人々と触れあう「ぶらり番組」が人気だ。住み慣れた場所を見つめ直す町歩きブームとも連動しているようだ。【土屋渓】

【ちい散歩】後番組は加山雄三「若大将のゆうゆう散歩」 5月7日スタート

 東京・JR五反田駅前の立ち飲み居酒屋。「近くにお住まいなんですか」。料理研究家の栗原友さんが隣り合わせたサラリーマン客に話しかける。酒が進むにつれ場は盛り上がり、常連客との会話は途切れない。

 4月に始まった新番組「おんな酒場放浪記」(BS-TBS)は、女性が一人で酒場に入り、酒を飲むだけのシンプルな内容だ。牛久保剣プロデューサーによると、一人、二人で地元の酒場に来る女性が増えており、「視聴者もいっしょに飲む気分で気楽に見てほしい」と語る。

 BS朝日で今月から始まった「城下町へ行こう!」も、タレントのピエール瀧さんが城の周りをぶらぶらしながら、町の歴史を探るユルい構成。長野県上田市のロケでは、祭りの会場を自由に動き回るピエール瀧さんをカメラが追う。「芸人が並ぶだけのバラエティーと違い、普通の人の反応には先が読めない楽しさがある」とピエール瀧さんは言う。

 旅バラエティーで長寿を誇るのが「鶴瓶の家族に乾杯」(NHK)だ。笑福亭鶴瓶さんとゲストが、ごく普通の町を歩き、偶然出会った人の自宅を訪れる。97年の開始当初から不変のスタイルで、台本は使わない。

 佐橋陽一チーフプロデューサーは「今の視聴者には、不自然な演出はすぐばれる。普通の町でいい家族に出会い、日常に触れる。視聴者にもいい旅をしたなと感じてもらえる」と語る。3月5日に放送された東日本大震災の被災地訪問編は視聴率16.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。その後も10%以上をキープする。

 俳優の地井武男さんが町を歩く「ちい散歩」(テレビ朝日)は、本人の病気休養により5月4日で終了するが、後継番組として加山雄三さんの「若大将のゆうゆう散歩」が同7日から始まる。安い制作費で視聴率を稼げることもあり、「モヤモヤさまぁ~ず2」(テレビ東京)、「おじゃマップ」(フジ)など、各局が力を入れる。4月に第3シリーズが終了した「ブラタモリ」(NHK)も再開を求める声が高い。

 テレビ番組に触発されてか、町歩きもブームだ。

 青森県弘前市では一昨年、会社員や主婦など市民が約30人で「弘前路地裏探偵団」を設立。知られざるお勧めスポットに観光客を案内している。昨年7月からは青森朝日放送で、探偵団が出演する番組「路地裏探偵団がゆく!」が始まった。同市では今秋、町づくりに関わる人が集う「第2回日本まちあるきフォーラム」が開かれる。

 企画の中心になっているのは長崎市で観光ガイドを行うNPO「長崎コンプラドール」。一昨年は「ブラタモリ」の尾関憲一チーフプロデューサーによる講演会を開いた。尾関さんは「東京は再開発が一段落し、壊して何かを作るのが進歩と見なされなくなった。これまでの町の変化を俯瞰(ふかん)してみるのが面白い時代」と考える。

 とはいえ、番組の質の低下を危惧する声もある。「進め!電波少年」や「料理の鉄人」など多くのバラエティー番組を手がけた放送作家の小山薫堂さんは「昔はテレビカメラとホームビデオカメラでは映像に差があり、制作者はテレビにしかできないことをしようという強い思い入れがあったが、今はそれが感じられない。撮りっぱなしで新しいアイデアがないと手抜きに陥りかねない」と語る。



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