2012年9月16日日曜日

■日本メーカーに勝機あり、アナリストがサムスンの弱点指摘


日本メーカーに勝機あり、アナリストがサムスンの弱点指摘
Korea Real Time
http://jp.wsj.com/Business-Companies/Technology/node_512108/?mod=Right_pickfree
2012年 9月 14日  14:01 JST

 韓国のサムスン電子に弱点はあるのか。そして、投資アナリストがそれを指摘したことがあっただろうか。

 11日にこの2重の驚きが生じた。日本の家電業界について調査し、日本企業がサムスン電子の絶対的優位性に対抗する方法について提言するシティグループ証券調査部のアナリスト(東京在勤)が調査リポートで明らかにした。

 結局のところ、サムスンの素晴らしい点を挙げたら切りが無いように見えるし、同社は四半期ベースで3期連続の過去最高益を更新する見通しで、業績はこれまで以上に良好だ。サムスンについて調査する投資銀行や調査担当者らによるサムスンの株式投資判断は最低でも「買い」で、「強い買い」または「確信をもった買い」推奨とされることも多い。

 サムスンの競合他社かつ顧客でもある米アップルとの特許権侵害をめぐる米国での陪審で10億ドル(約780億円)の支払いを命じられても、サムスンの株価にとっては短期的な悪材料にとどまった。アナリストらは投資家に対し、この判決がサムスンの現在の製品販売に影響を与える公算は小さく、また各国の裁判所がサムスンに関連する現行の訴訟に対処できる以上に速いスピードでサムスンは製品を投入し続けることができる、との見方を示している。

 シティグループ証券のアナリスト、江沢厚太氏と佐々木翼氏は日本の業界を悩ませている問題に関する80ページに及ぶ分析の中で、サムスンの成功を主な比較材料とした。

 サムスンに関するセクションの小見出しの1つは、「サムスンの長所は日本メーカーの短所」というものだった。

 サムスンと日本の電子機器メーカーとを比較するチャートで、サムスンは意思決定が速く、政府による後押しもあり、韓国ウォンの軟調も追い風になっていると指摘した。一方、日本のメーカーは意思決定が遅く、政府による支援は限られており、さらに、円高のために圧迫されているという。

 しかし、サムスンに関する最も興味深い観察は、日本のメーカーがどうしたら巻き返しができるかに関するアナリストの視点だ。リポートの中の1つの提言のタイトルは「サムスンの難点を見つけ出し、勝算を生み出す」というもの。

 リポートでは、「固定資産の高いレバレッジがサムスンにとって将来的なリスクだと感じている」と指摘した。これはサムスンが工場や設備に投資するために借り入れる資金の額を指す。

 特に、同アナリストらは、サムスンのディスプレー工場が「ますます厄介な重荷になっている可能性がある」とし、さらに工場に対する同社の全体の投資額は「絶え間なく拡大する傾向にある」と指摘する。

 サムスンの経営幹部は、年間の設備投資(今年は200億ドル超)の大幅拡大は、同社の全般的な健全性を示すものだと主張することが多い。こうした費用の大半は、建設および設備を整えるのに高額を要するLCD(液晶ディスプレー)やチップの工場に向けられる。

 シティ証券のアナリストは、サムスンの全般的な売上高と利益は拡大しているが、新規の工場や設備に対する投資からの利益は減っていると指摘する。固定資産が生み出すフリーキャッシュフローの割合は、10年前の30%の水準から、ここ数年間は数パーセントまで低下しているという。

 同アナリストらは、「われわれはこれをサムスンの弱点とみている」とし、「サムスンの拡大する固定資産レバレッジに潜むリスクを日本メーカーが正しく判断し、自らの資産ベースをすばやく縮小することができれば、日本メーカーにとって競争力を高める機会になり得る」との見方を示した。

 サムスンの投資家向け広報担当部門責任者のロバート・イ氏は、シティ証券のアナリストが使用したデータは正しいことは間違いないと思うが、同アナリストの結論は「大いに的外れだ」と考えていることを明らかにした。

 イ氏は、サムスンの過去2年間の設備投資は、OLED(有機発光ダイオード)やLSI(大規模集積回路)、チップのアプリケーションプロセッサといった新技術に集中していると指摘した。

 同氏は、「これらは急成長事業の一部であるだけでなく、スマートフォンやタブレット、そして将来的にはテレビといった当社の製品の差別化にとって重要なものだ」とし、「研究・開発(R&D)の継続とともに、こうした部品の利用が今後増えるにつれ、こうした技術を使用する製品を通して当社の競争上の強みが増す見通しだ」と語った。

 さらに、消費者需要の変化に応じ、既存のLCD工場はOLED工場に転換可能で、そうなれば、「こうした資産の生産性向上につながるはずだ」と主張した。

 その上で、「当社の戦略は利益の短期的な改善や最大化に焦点を絞るものではない。部品や製品事業などの拡大における新技術の貢献によって、フリーキャッシュフローを含め、売上高や利益が改善し続けると見込んでいる」と結んだ。

記者: Evan Ramstad




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