2012年10月4日木曜日

■コラム:中国人観光客の「大移動」がもたらす功罪


コラム:中国人観光客の「大移動」がもたらす功罪
http://jp.reuters.com/article/jpTrade/idJPTYE89304620121004
2012年 10月 4日 15:34 JST

[香港 3日 ロイターBreakingviews] 中国の国慶節・中秋節の大型連休(8日間)は、2つの大きな事故で幕を開けた。香港ではフェリー同士が衝突して37人が死亡し、北京近郊ではバスの衝突事故でドイツ人医師5人が死亡した。中国に住む約14億人のうち半数は、この大型連休を使って旅行に出かけるとみられている。

彼らが旅行を愛することは、経済的な恩恵をもたらすことにもなるが、一方で交通輸送の問題も生み出す。

香港で起こったフェリー事故の原因はまだ分かっていない。安全で効率的な交通システムでも知られる香港だが、大量の旅行客流入への対応には苦慮している。尖閣諸島(中国名・釣魚島)をめぐる問題で、中国人観光客が日本への旅行を敬遠したせいもあるだろうが、香港当局では中国本土からの観光客が大型連休の8日間で、前年比20%増になると見込んでいる。人数にして実に760万人であり、香港の人口を超えている。

中国本土でも事情は変わらない。同国旅行当局によると、中国の建国記念日にあたる10月1日に国内で人気の旅行先を訪れた観光客は、前年比で24%増加した。景気減速によって高級品への需要に陰りが出たとも言われるが、中国人の小旅行人気は根強い。三峡ダムを訪れた10月1日の観光客は、昨年と比べて3.5倍に増え、西安の兵馬俑には昨年の倍にあたる3万6000人が訪れた。中国人の大規模な移動は、国内全土で深刻な交通渋滞を引き起こす結果となった。

中国からの最後の「輸出品」として、旅行者が海外に出かけるようになってまだ間もない。中国で現在パスポートを持っているのは全人口の3%以下にあたる3800万人にとどまっているが、それでもこの1年で20%増加した。

中国人旅行者の増加は、世界の旅行産業の中で数少ない明るい話題だ。世界観光機関(WTO)によると、今や中国はドイツ、米国に次いで、「海外旅行先での出費が多い国」の3位に躍進した。昨年、中国人の海外旅行者は前年比32%増だった。中国人が海外への大行進を始める時、世界は素晴らしい恩恵にあずかれるが、同時に深刻な交通渋滞に直面することになる。



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