2013年1月6日日曜日

■「まんが王国」同士が異例“友好通商条約” ゲゲゲ鳥取&アンパンマン高知、観光振興の好例に


「まんが王国」同士が異例“友好通商条約” ゲゲゲ鳥取&アンパンマン高知、観光振興の好例に
http://sankei.jp.msn.com/west/west_life/news/121215/wlf12121519000018-n1.htm
2012.12.15 19:00

 ゲゲゲの鬼太郎の“故郷”として知られる鳥取県と、「まんが甲子園」の開催で有名な高知県が、漫画県同士の「友好通商条約」を結ぶことになった。お互い「まんが王国とっとり」「まんが王国土佐」を名乗るが、“本家争い”をするのでなく、同じ分野で切磋琢磨し、人材育成やイベント開催で協力しようと手を組んだ。「漫画の都」をアピールする京都やアニメ王国を目指す徳島など、漫画やアニメを通じた地域振興は各地で盛んだが、自治体同士が本格的に連携した例はあまりなく、新しい観光PRのモデルケースともなりそうだ。

アンパンマン、まんが甲子園、鬼太郎、まんが博…

 高知県は「フクちゃん」の横山泰三さん、その弟の隆一さん、「アンパンマン」のやなせたかしさんをはじめ、黒鉄ヒロシさんや西原理恵子さんら多くの人気漫画家を輩出。高校生を対象にした漫画コンクール「まんが甲子園」を平成4年から開催するなど、漫画による地域振興で実績を上げ、元祖「まんが王国」を自負してきた。

 一方、鳥取県は鬼太郎など妖怪漫画で幅広いファンを持つ水木しげるさんや、「名探偵コナン」の作者の青山剛昌さん、「遙かな町へ」などの作品で知られる谷口ジローさんらが出身。

 水木さんの出身地の境港市は平成5(1993)年から、妖怪たちのブロンズ像が立ち並ぶ「水木しげるロード」を整備し、昨年まで2年連続で年間300万人以上の観光客を集めるなど、漫画をテーマにした観光地としては全国屈指の成功を収めている。青山さんが出身の北栄町も「青山剛昌ふるさと館」を設け、数カ所にコナン像を整備するなどしている。

 そんな“下地”はあったものの、鳥取が「まんが王国」を標榜し始めたのは約5年前と、高知に比べて遅かった。しかし一昨年、日本や中国、韓国、台湾など東アジアを中心に世界の漫画家たちが漫画文化の発展を目指して意見交換する「国際マンガサミット」の誘致に成功したことで、王国建国に向けた動きが一気に加速。今年11月7日から9日まで米子市で開催した国際マンガサミット鳥取大会には6カ国・地域から200人近くの漫画家が参加し、漫画の可能性を探る会議やワークショップなどが繰り広げられた。

 さらに8月4日から11月25日までの3カ月余りにわたり、県内各地を会場とした「国際まんが博」も開催、地域の盛り上げや観光客へのアピールを図った。

 この間、「コナン」の観光ツール利用に関してネックとなっていた著作権などをめぐる出版社との交渉が、県が乗り出すことで前進。谷口さんが昨年、フランスの文化勲章を受章したことも「鳥取=漫画」をアピールする手助けとなった。

“はわい出身”トリンドル玲奈さんもひと肌

 さらに県は、携帯電話のテレビCMで「鳥取のはわい出身の留学生」を演じたタレントのトリンドル玲奈さんを、「まんが王国のトットリンドル王女」に任命。こうした一連の「まんが王国とっとり」の売り込みが功を奏し、元祖の高知県側から連携が持ちかけられ、9月から友好通商条約締結へ向けた協議が始まった。

 現在、両県の担当者間で内容を詰めている段階で、漫画家同士や漫画を通じた高校生らの交流、まんが王国会議の定期開催などを盛り込む予定。今年度内には締結にこぎつけ、来年度には“発効”させたいという。

 条約締結を前に、高知県に住む漫画家、くさか里樹さんと鳥取県在住のイラストレーター、小村博明さんの共作によるイメージイラストも制作された。

 イラストは、くさかさんが描く坂本龍馬スタイルの尾崎正直・高知知事と、小村さんが描く因幡ゆかりの大国主命に扮した平井伸治・鳥取知事が握手している構図。両知事のバックで締結反対派?たちが「鳥取にだまされるな」「酔っぱらい県の甘言なー乗らんがええで」などと、お互いの悪口を方言で言い合っているところが笑いを誘う。

 尾崎知事は「一緒に取り組むことで相乗効果を生んでいくことも必要」と、王国同士のタッグのメリットを強調する。

 漫画をテーマに地域振興などを図る自治体は両県以外にも多い。

 西日本では京都市が「漫画の都」をアピール。全国初のマンガ学部を設けた京都精華大との共同事業として18年に京都国際マンガミュージアムをオープン。20年の国際マンガサミットに続き、今年9月には総合見本市「京都国際マンガ・アニメフェア2012」を開催し、3日間で2万人余りを集めた。

 お隣の滋賀県では、人気アニメ「けいおん!」に登場する高校のモデルとされる旧豊郷(とよさと)小学校校舎(豊郷町)がファンの聖地巡礼が絶えず、今年9月には登録有形文化財にするよう答申された。

 阿波踊りで有名な徳島市では、市内にスタジオを構えるアニメ制作会社が中心となり、街全体を会場にしたアニメイベントを3年前から開催。アニメ作品を上映する映画館も誕生し、官民挙げてアニメ王国を目指す取り組みが続いている。

 同様の取り組みを行っている自治体は西日本以外でも多い。また日本の漫画やアニメは海外でも人気で、イベントなどを目当てに来日するファンも多く、鳥取と高知のような横の連携が広がれば、漫画・アニメ文化の底上げにもつながりそうだ。


▼アンパンマンミュージアムはこちら 高知



0 件のコメント:

コメントを投稿