2011年11月2日水曜日

■日本で韓国人クラシック演奏家公演激増のワケ


日本で韓国人クラシック演奏家公演激増のワケ
東日本巨大地震で欧米の演奏家が訪日拒否
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2011/11/02/2011110200903.html
2011/11/02 11:15 朝鮮日報

 ビオラ奏者のリチャード・ヨンジェ・オニール(33)は10日に東京オペラシティコンサートホールで、日本を代表するギタリストの村治佳織(33)とデュオ・リサイタルを開く。「ザ・プレミアム・クラシック‐村治佳織&リチャード・ヨンジェ・オニール」シリーズの一つだ。日本の8都市を巡り、メンデルス・ゾーンの『無言歌』、バッハの『G線上のアリア』、シューベルトの『アルペジョーネソナタ』など6曲を演奏する予定だ。

■日本でコンサート続々

 この11月は日本でK-POPならぬ「Kクラシック」が盛んだ。ヨンジェ・オニールをはじめ、ピアニストのソン・ヨルム(25)、キム・ソヌク(23)、チョ・ソンジン(17)が演奏会を行う。1カ月間にわたり、韓国の若い演奏家4人が次々とツアーを行うのは異例だ。しかも、ムジカキアラ(ヨンジェ・オニール)、サモン(ソン・ヨルム)、アマティ(キム・ソヌク)、ジャパン・アーツ(チョ・ソンジン)など日本でも有名な公演企画会社が彼らに目を付けたこと自体、これまでとは違っている。

 ソン・ヨルムは6日に東京オペラシティコンサートホールのステージに立つ。これは、今年のチャイコフスキー国際コンクール第2位を記念するリサイタルだ。

 キム・ソヌクは19日に京都コンサートホールでギュンター・ノイホルトが指揮する京都交響楽団とブラームスの『協奏曲第3番』を協演する。来年はNHK交響楽団との協演や、ジャパンツアー・リサイタルも計画している。

 チョ・ソンジンは28日に東京オペラシティコンサートホールでショパンの『バラード第1番-第4番』とリストの『ソナタB短調』を演奏する。22日から来月4日までは7都市を回り8公演を行う予定だ。

■東日本巨大地震がもたらした「地殻変動」

 日本で韓国のクラシック演奏家たちが善戦している根本的な理由は、地震で日本のクラシック界に異変があったからだ。今年3月に東日本巨大地震が発生、日本国内で予定されていた海外演奏家によるクラシック公演が次々とキャンセルまたは無期延期された。毎年欠かさず日本を訪れていた欧米の人気演奏家たちが「放射性物質が飛び交う日本には行けない」と公演を取りやめたのだ。

 バイオリニストのアンネ=ゾフィー・ムターとヒラリー・ハーンは今年春、東京に寄ることなくソウルで公演を行い、ソプラノのアンナ・ネトレプコは全公演をキャンセルした。だが、世界トップクラスの交響楽団への影響はさらに大きかった。ウィーン少年合唱団、ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団、ザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団が日本公演を取りやめている。先月来韓したベルリン放送交響楽団は、訪日に反対する団員が多かったため、投票を実施した上で日本公演を決めたほどだ。

■チャンスは準備していた者だけがつかむ

 公演企画会社は公演をしなければ食べていけない。日本の企画会社はバイオリニストのサラ・チャンやチェリストのチャン・ハンナくらいしか韓国系クラシック演奏家を知らなかったが、地震で欧米の演奏家たちが抜けた空席を埋めようと「近くて遠い国」韓国に目を向けたのだ。
折しも今年のチャイコフスキー国際コンクールではソン・ヨルムが第2位、チョ・ソンジンが第3位という朗報が入ってきた。日本は自国の演奏家でなくても、世界の有名コンクールで入賞した演奏家なら招待してリサイタルを開くほど、コンクール入賞者を優遇する。
しかも、2009年に浜松国際ピアノコンクールで過去最年少優勝を果たしたチョ・ソンジンがチャイコフスキー国際コンクールで善戦したとあって、自国の演奏家のことのように喜んでいた。ソン・ヨルムがチャイコフスキー国際コンクールに出場する前に日本国内公演の権利を取った企画会社は、ソン・ヨルムが同コンクールで入賞すると「スターの誕生を見抜いていた」と胸を張るほどだった。

 キム・ソヌクは07年に東京・大阪公演、昨年1月に東京フィルハーモニー交響楽団との協演と、日本で2回しか演奏会を経験していないが、日本で特に関心を持たれている特異な例だ。交響楽団と協演する際、指揮者や現地公演関係者のハートをつかんだキム・ソヌクの個人的な魅力が注目されているという。

 韓国の公演企画会社関係者は「(K-POPになぞらえて)『Kクラシック』と呼ぶには無理があるが、今年は日本がAクラスの欧米人演奏家に劣らぬ実力を持つ韓国人演奏家の存在に気付いた1年目となる年。韓国人演奏家たちは、世界最大のクラシック音楽市場である日本のニッチ(すき)に浸透している」と分析する。

 韓国人演奏家たちの心遣いも、日本国内の評価にプラスに働いている。昨年の仙台コンクールで優勝したバイオリニスト、クララ・ジュミ・カン(24)はこの夏、地震で被災した仙台を訪れ、慰問リサイタルを行った。

キム・ギョンウン記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版



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