2011年11月5日土曜日

■円高の悲鳴、日本企業の人員削減ラッシュ


円高の悲鳴、日本企業の人員削減ラッシュ
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2011/11/02/2011110200464.html
2011/11/02 09:05 韓国朝鮮日報
 
 東日本巨大地震と原発事故、電力不足による衝撃を徐々に克服しつつあった日本経済が円高ショックで再び揺らいでいる。リーマン・ショック前に1ドル=123円だった円相場は、最近戦後最高値の75円台まで急上昇し、輸出企業は採算性の低下で、大規模な人員削減などリストラに着手した。製造業では円高打開に向け、海外脱出が相次ぎ、観光など内需市場も冷え込んでいる。さらに、日本企業の海外生産拠点であるタイが洪水被害を受けたほか、今冬には再び日本国内で電力不足が予想されるなど、最悪の状況が続いている。


人員削減

 TDKが1万1000人削減、パナソニックは今年4200億円の赤字見通しを受け、1万5000人削減―。
 日本では大規模な人員削減が相次いで発表されている。東日本巨大地震、東京電力福島第1発電所の事故、電力不足を人員削減なしで乗り切った日本企業も円高に白旗を揚げた。日本製紙グループ(1300人)、日本写真印刷(1200人)、日立造船(1200人)、三菱UFJモルガン・スタンレー証券(1300人)など人員削減は全業種に拡大している。中小企業に勤めるササカワ・アイコさん=音訳=(38)は「これだけの人員削減はバブル崩壊並みのショックだ」と話した。テレビ部門で生産を縮小するソニー、日立製作所なども人員削減計画を近く発表する見通しだ。


企業の海外脱出ラッシュ

 特に輸出比率が高い自動車、電子機器分野では、円高で営業利益が最大50%減少し、日本国内での生産を断念する企業が相次いでいる。パナソニックは2009年12月に完成した世界最大のプラズマパネル工場(兵庫県尼崎市)の稼働を年内にも停止する。サムスン、LGなど韓国勢に押された上、円高で作れば作るほど赤字が膨らむ状況に陥ったためだ。パナソニックは、パネルの国内生産を断念し、海外からの輸入で競争力を確保する戦略だ。

 日産自動車のカルロス・ゴーン社長は「この為替水準では日本国内での新規事業は不可能だ。日本の産業は完全に空洞化する可能性がある」と述べた。トヨタ自動車は日本国内での300万台生産を維持すると宣言したが、価格競争力を維持するため、韓国製など外国製部品の調達を拡大している。

 中小企業も海外移転を急いでいる。静岡県浜松市の工業団地では、中小企業10社がこのほど、東南アジアへの移転に向け、事業協同組合を結成した。群馬県金型工業会はメキシコへの集団進出を検討している。日本政策金融公庫によると、今年4‐9月に中小企業に対する海外進出資金の融資は250件を数え、前年同期の2倍に増えた。


タイ洪水の余波

 円高を耐え抜いてきた海外生産も、タイの洪水で大打撃を受けた。タイ製部品を使い、インドネシアなどの東南アジアや米国で現地生産してきたホンダ、トヨタなど自動車各社、ソニー、ニコンなど電子メーカーは連鎖的に生産に支障が出ている。タイには2000社を超える日本企業が進出している。ホンダはタイ工場の浸水被害による部品不足を受け、北米の6工場で50%の減産を決めた。洪水被害を受けた生産設備の復旧には半年かかるとの見通しも示されている。日本国内では、暖房需要が増える冬にも電力不足が懸念され、工場の正常操業が難しい状況だ。


観光客の急減

 東日本巨大地震が起きるまで、外国人観光客で混雑していた東京の六本木ヒルズなどは、最近閑古鳥が鳴いている。六本木ヒルズの店員は「30%ほどが外国人客だったが、原発事故に続く円高で、外国人が目に付かないほどだ」と嘆いた。

 海外観光客を当て込んで新規投資を行った地方の観光ホテルも倒産寸前の状況に追い込まれている。日本政府によると、4‐9月の日本への入国者数は前年同期比で40%減少した。円高による人員削減で消費心理も冷え込み、流通など内需産業も低迷している。


日本政府の対応

 日本政府は10月31日、推定7億円規模の為替介入を単独で行ったが、効果には懐疑的な見方が優勢だ。政府の介入で1ドル=79円台にまで下落した円相場は、再び上昇に転じている。円高が続くとの懸念から、1日の東京株式市場では株価が下落した。円高は投機勢力の動きも一因だが、欧州の財政危機で日本円が相対的に安全資産と見なされていることが根本的な要因だ。ウォール・ストリート・ジャーナルなど海外メディアは「日本政府は負け戦に臨んでいる」と厳しく分析した。

 日本政府は3、4の両日、フランスのカンヌで行われる20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)で、各国に円高阻止への協力を求める方針だ。しかし、欧米も財政危機回避や景気対策に精いっぱいの状況だ。むしろ日本の為替介入が為替戦争を触発しかねないとの懸念も示されている。

 日本政府は先月、円高による製造業の空洞化を防ぐため、補正予算案からの2兆円を含む総額23兆6000億円の円高対策の実施を決めた。

東京= 車学峰(チャ・ハクポン)特派員
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版



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