2011年11月10日木曜日

■中国の富裕層は政府を信じるか?


中国の富裕層は政府を信じるか?
http://japanese.ruvr.ru/2011/11/10/60154013.html
10.11.2011, 13:05 © Фото: SXC.hu    ナタリヤ カショ

 中国の胡潤研究院が国内18の都市で行った調査によれば、裕福な中国人は政府を信用していないということが明らかとなった。資産が1000万人民元を超えている人びとのなかで、2人に1人は、海外へ移住するつもりであるという。また3人に1人は、資産を海外に移動させているということで、それによって海外移住が容易になるとされている。

 中国社会の富裕層のことのような動きは、ロシアでの富豪たちと共通するものがある。その両者とも、自らの財産を守ることができるのか、確信をもてないでいるのだ。また海外のほうが、子供たちにより良い教育を施すことができる、と考えている。

 ロシア科学アカデミー極東研究所アレクサンドル・ラリン専門家は、そのような傾向を次のように説明している。

―中国の近代化は、すでに長年にわたって大きな困難に直面おり、その問題はますます深刻になってきています。社会の格差は非常に大きく、富のより公平な分配が必要とされています。しかしそれは富裕層にとっては、自らの資産に対する脅威と感じられるわけです。富裕層への増税などが考えられます。それが、彼らの目を海外に向けさせる原因となっています。

 海外移住先としては、アメリカ、カナダ、オーストラリアなどが人気となっており、日本や韓国は圏外となっている。特にカナダへの移住が人気なのは興味深い。カナダ政府は数年前、19世紀から20世紀初頭にかけて、中国人に対して差別的な政策をとったことに公式な謝罪を行い、それも何らかの形で中国人富裕層の心境に影響を与えていることは確かだろう。9月にはアメリカ政府も同様の公式謝罪を中国に対して行った。

 西側の政治学者らが、中国が終いには崩壊してしまう、という予測を立てていることも、中国人富裕層を心配させる原因となっている。アレクサンドル・ラリン専門家は政治のほかにも、インフレの問題、社会的格差の問題などが中国の経済的奇跡を崩壊させる恐れがあることに触れ、次のように述べている。

―それがどのような展開を見せるのかは分かりません。西側諸国の専門家らの見方が、状況を過熱させていることも考えられます。しかし、中国政府も実際に懸念をもっていることは確かであり、状況の改善のために多くのことを行っています。富裕層が海外に移住しようとしているのは、状況の現実を物語っています。それは多く懸念が存在しているということなのです。

 富裕層の誕生というのは中国にとっては比較的新しい現象だ。現在、政府が何らかの折り合いをつけようと試みているが、ロシアの経験が示すように、それは容易なことではない。世界の状況が予測できないものになっているが、特に中国ではそうだ。中国では政府と富裕層との間で、「果たしてお互いがお互いにとって必要なのか」という問いが渦巻いている。



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