2011年11月9日水曜日

■グローバル人材を育てるオーストラリアの教育旅行-日豪ツーリズム学会


グローバル人材を育てるオーストラリアの教育旅行-日豪ツーリズム学会
http://www.travelvision.jp/event/detail.php?id=51056
2011年11月8日(火) トラベルビジョン

在大阪オーストラリア総領事館総領事のクリストファー・リース氏  日豪ツーリズム学会では官・産・学の3分野の学術研究により、日本/オーストラリア間の観光交流拡大の手法の確立と発展への貢献をめざしている。先ごろ開催した第7回・研究発表会は、「観光産業における教育旅行」がテーマ。今後の学生旅行や教育旅行に携わる旅行会社にも参考になる発表が聞かれた。基調講演では、在大阪オーストラリア総領事館総領事のクリストファー・リース氏が「日本のグローバル人材ニーズと豪州のホスピタリティ教育」として、オーストラリアで受ける観光関連教育のメリットを紹介。研究発表会では教育旅行関連として「日本の若者はオーストラリアをどう見ているか」、「フィルム・ツーリズムと教育旅行」について発表された。

オーストラリアはホスピタリティ産業を学ぶ最適地

 基調講演でリース氏はまず、グローバルな経済活動が拡大していくなかで最も重要な取り組みは人材育成だとする、経団連の調査結果を紹介。文部科学大臣も若い世代の留学をすすめているとして、現在の新卒採用偏向の就職形式を変えていくことが必要だと説いた。また、グローバル人材の育成に力を入れている企業として、ユニクロと楽天を例にあげ、英語によるコミュニケーションスキルを向上させていくことが大切だと主張した。

 一方、オーストラリアの教育事情について、第3位の輸出産業になっていると紹介。留学生の比率も20.2%とOECD諸国のなかでトップであり、日本の3%を大きく上回っている。また、アジアからホスピタリティ教育を受けに来豪する学生も多い。最も多いのは中国からで、日本からの学生はベトナムやインドネシアよりも少ないのが現状だ。

 オーストラリア政府は近年、ホスピタリティ産業の育成に力を入れてきた。その結果、雇用は過去20年間で約40%も増加。同時に、産学一体となったホスピタリティ教育の拡充も推進し、世界的に認められているスイス・ホテル・アソシエーションの学位を大学で取得できるほか、インターシップ機会なども豊富に提供している。こうした背景から、リース氏は、オーストラリアはホスピタリティ産業を学べる最適なところであると強調。日本の企業や学校にさまざまなプログラムを提供できると付け加えた。

学生を呼び込むためには楽しい観光へ原点回帰を

松蔭大学観光文化学部教授の恩地宏氏  研究発表ではまず、松蔭大学観光文化学部教授の恩地宏氏が「日本の若者はオーストラリアをどう見ているか」について報告。恩地氏が実施した調査でも、オセアニア地域におけるオーストラリアの観光国としての人気度は高い一方で、世界遺産に対する認知度はまだ低いと指摘する。また、オーストラリアの対日ピーアールが世界遺産をはじめとする文化的側面に注力するのと平行して、これまで人気デスティネーションであったケアンズやゴールドコーストの露出が減り、若者の間でもその魅力が失われているとした。

 オーストラリアへの日本人渡航者数が減少し続けている現状を見た場合、恩地氏はオーストラリア政府観光局(TA)の世界遺産やエコツーリズムへの誘導は、思ったほどの効果が現れていないのではないかと問題提起。1980年から90年代に訴求した楽しい観光というアプローチに立ち返り、ケアンズ、ゴールドコースト、シドニー、グレートバリアリーフなど、かつてブームを起こしたアーバンリゾートの強化に原点回帰すべきだと主張した。ブームを知らない若い世代にとっては、新しいデスティネーションになりうるというのが恩地氏の考えだ。

 また、学生市場の問題として自由になる時間が意外に少ない点をあげる。卒業旅行はマーケットとして成立するものの、夏休みは旅行代金が上がるため学生には手が届きにくく、旅行会社も学生をターゲットにしていないと述べ、学生の需要喚起には国際線の思い切った学生割引の仕組みを考えるべきだと強調した。そのうえで、修学旅行をはじめとする教育旅行については、学生(若者)層のオーストラリアへの支持がなければ成長は期待できないと指摘した。

映画で学ぶオーストラリア、教育旅行に高い動機付け

相模女子大学准教授の渡辺幸倫氏  相模女子大学准教授の渡辺幸倫氏は「フィルム・ツーリズムと教育旅行」と題した研究を発表。学習素材としてのオーストラリア映画の可能性について議論を展開した。渡辺氏はまず、オーストラリアは教育旅行のデスティネーションとして根強い人気があるものの、オーストラリアが高校の歴史教科書で登場するのはわずか4ヶ所だけだと指摘。そのため、オーストラリアの魅力が伝わっておらず、文化、歴史に対する理解も不足。さらに、学習教材の種類も極めて限られていると教育現場における現場を報告した。

 そのうえで、フィルム・ツーリズムをメディア誘発型観光と位置づけ、その潜在性の高さを主張。オーストラリアに関する映画を見ることで期待できる成果をあげた。学生に対しては、オーストラリアの具体的なイメージをつかみやすく、ホームステイ先などでもコミュニケーションのきっかけとして利用することが可能。教師に対しては、事前事後の学習指針を立てることができ、知識も発展していくとし、引いては日豪の観光産業の活性化につながると議論を進めた。

 さらに、学習素材として適切な映画を選択する必要があると指摘。社会的歴史的側面が描かれていること、内容に重層的な発展性があること、日本で入手しやすいこと、ロケ地が原則オーストラリアであることが大切だとした。その例として、『オーストラリア』『クロコダイル・ダンディ』『裸足の1500マイル』『ファイティング・ニモ』『誓い』などを列挙。特にメル・ギブソン主演の『誓い』では、オーストラリア国家のアイデンティティの形成やANZAC伝説のはじまりなどが学べると推奨した。

 「渡航前に映画を見れば、目的地としてのオーストラリアを再発見し、教育旅行の意義もさらに深まるはず」と渡辺氏。親しみやすく利用しやすい教材である映画を活用することで、オーストラリア教育旅行の活性化を訴えた。





■日豪ツーリズム学会設立、官・産・学で観光交流発展を目指す
http://www.travelvision.jp/news/detail.php?id=28058
2007年3月2日(金) トラベルビジョン

 日豪ツーリズム学会が3月1日、設立した。同学会では、日本とオーストラリアの2国間の人的交流のほか、経済や文化交流の拡大に貢献する観光交流の機能について学術研究を実施し、観光交流の基本理論や交流拡大の助けとなるる手法の確立と、観光交流の発展への貢献を目指す。観光の専門家のみならず、官・産・学の3分野にわたる広範囲から参加しているのも特徴。このほど、設立総会が開催され、36人が出席し、役員人事等を決定した。詳細は下記の通り。

▽日豪ツーリズム学会役員(敬称略)

会長
 小原芳明氏/玉川大学学長
副会長
 ロジャー・マーチ氏/ニューサウスウェールズ大学
 村上和夫氏/立教大学
理事
 香取幸一氏/玉川大学
 田端浩氏/国土交通省
 板谷博道氏/国際観光振興機構
 堀和典氏/オーストラリア政府観光局
 小田眞幸氏/玉川大学
 恩地宏氏/宮城大学
 折戸晴雄氏/玉川学園
 遠藤充信氏/玉川大学
 アーマー・マーブーブ氏/シドニー大学
 ロン・マーレイ氏/マーレイズ・トラベル
 ケリー・ワトソン氏/マリオット・インターナショナル・オーストラリア
 米田浩三氏/ジャルパック・インターナショナル・オセアニア

名誉顧問
 マーレイ・マクレーン氏/駐日オーストラリア大使
 上田秀明氏/駐オーストラリア特命全権大使
 リチャード・ベーレ氏/パシフィック・アジア・トラベル・アソシエーション(PATA)

賛助会員
 日本財団 
 日本交通公社員



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