2011年12月5日月曜日

■アルペンルート客17%減 震災で出足鈍く最低の82万人


アルペンルート客17%減 震災で出足鈍く最低の82万人
2011/12/2 23:54 日経Web

 日本屈指の山岳観光地で11月末に営業を終えた立山黒部アルペンルートの2011年の観光客数は前年比17%減の82万7千人にとどまった。1971年の全線開通以降で最低となった。3月の東日本大震災後、国内観光の自粛ムードが広がって春先の出足が鈍かったうえ、福島第1原発事故の影響で韓国など海外からの観光客が激減した。

 同ルートを運営する立山黒部貫光(富山市)によると、富山、長野双方からの入り込み客数が100万人を割り込むのは能登半島地震と新潟中越沖地震に見舞われた07年(95万5千人)以来、4年ぶり。

 豪雪で開業期間を短縮し、これまでで最も観光客が少なかった81年(84万2千人)も下回り、全線開業40周年の節目の年で過去最低を記録した。

 国内客は14%減の77万3千人。節電を余儀なくされた都市部の観光客を取り込んだ7、8月に前年を上回る日もあったが、9月に台風が2度上陸するなど天候不順で回復の勢いがしぼんだ。

 海外客の落ち込みはさらに大きく44%減の5万4千人だった。主力の台湾からの観光客は26%減の4万5900人。富山県などと協力して原発事故の風評被害の払拭に努めた結果、人気の高い「雪の大谷」観光の時期を過ぎた6月以降で前年を上回るなど新たな需要を開拓したが、4~5月の落ち込みを補いきれなかった。円高も重なって韓国は81%減、中国・香港は68%減だった。

 黒部峡谷鉄道(富山県黒部市)のトロッコ電車の乗降客数も16%減の74万6千人と85年に観光用となって以来、最低だった。当初は関西限定の予定だったテレビCMを関東圏でも流して誘客を強化し、7、8、11月は前年の9割超に達したものの月別で一度も前年超えはなかった。70%減った海外客のうち、台湾が21%減の6252人と、国・地域別では韓国(84%減で4452人)を抜いて最多となった。

 12年は立山黒部アルペンルートが4月17日に全線開通し、トロッコ電車が同18日に一部区間で営業を始める予定だ。100万人の大台回復に向け、インターネットを通じて販売を強化するほか、海外では中国人富裕層の取り込みを目指す。



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