2011年12月4日日曜日

■見合いに昼寝に喧嘩―中国の非常識な客に戸惑うイケア


見合いに昼寝に喧嘩―中国の非常識な客に戸惑うイケア
http://jp.wsj.com/World/China/node_353997
2011年 12月 2日  12:58 JST

 税務局を定年退職したTang Yingzhuoさん(62)は、夫も既に他界し、今は新たな愛を求めている。だがバーやクラブ、カラオケレストランで男性を探すのは不適切だと考えている。そこでスウェーデンの家具ショップ、イケアに通っている。

 Tangさんは、中国上海市の商業地区、徐匯のイケアのカフェテリアに、第2のロマンスを求めて毎週集まる大勢の高齢者のうちの1人。

 その清潔でアットホームな雰囲気に引かれ、Tangさんをはじめとする孤独な高齢者がイケアの店舗に詰め掛けるにつれ、問題も発生している。彼らはカフェテリアに何時間も居座り、自宅から持参したミカンやゆで卵を食べては皮や殻を残していく。秩序を保つため警備員が割って入ることもちょくちょくある。


コーヒーと愛を求めてイケアに訪れる中国の高齢者

   この上海イケアで毎週行われる恋人探しの集いには、70~700人の高齢者が大挙して押し寄せる。彼らのお目当ての1つは、イケアのファミリー・メンバーシップ・カード保有者に提供される無料のコーヒーだ。イケアの従業員、Zhou Hongさんは、集いがあるときは毎回平均500杯のコーヒーを配っていると話す。

 たくさんのアームチェアーやソファーを背景にカフェテリアに腰を下ろし、コーヒーをすすりながら、このような集いの場があることは有り難い、とTangさんは話す。「ここに来ることで高齢の友人が増えている。イケアで得られるのは恋人だけではない」

 イケアは中国国内に現在9つある店舗を2015年までには17にまで増やす計画だ。中国では、手頃な価格で欧米風のライフスタイルを手に入れたいと考える中流階級が増えており、その需要に対応するのが狙い。だが、まだ単なる憧れの段階にいる人もいる。そのような人たちは、純粋な好奇心を満たしたり、数千種類の小物や家具であふれる広大なスペースを眺めるためだけにやって来る。

 文化とビジネスが交じり合うにつれ、異常な振る舞いも目立ってきている。問題を起こしているのは、なにも高齢者だけではない。若者、特に子連れの客がイスにドサッと腰掛け、スマートフォン(高機能携帯電話)で動画を視聴していたりもする。中には、靴を脱ぎ、展示してあるベッドに潜り込んで昼寝をしている客までいる。

 こうした現象はイケアだけにとどまらない。米ウォルマート・ストアーズやマクドナルドをはじめとする他の大手チェーンにも、多額の買い物をする客以外に、広くて居心地のいい店内を長時間思い切り満喫している客が常時いる。

 買い物もせずに長居したり、好き勝手に振る舞う客を取り締まるのは簡単ではない。警備員のLi Yaさん(24)は最近、騒がしい高齢者の一団に声を落とすよう注意しようとしたところ抵抗を受けた。高齢の男性客の1人が、40歳も年下の若者に注意されたことに腹を立て、熱いコーヒーをLiさんに浴びせかけたという。「彼らは自分たちは店で好きなことをする権利があると常に反論する」とLiさんは話す。

 上海イケアのマネジャーは今年初め、客との口論が相次いだことや高齢客が商品を購入している他の客の席を奪っていることが発覚し、行動を起こすことを決意した。

 秩序を維持するため警備を強化し、カフェテリアに通常は2人の警備員を配置するところ、火曜日と木曜日はさらに6人増員した。また、恋人ではなく、食事を求めて訪れた買い物客が席を確保できるよう専用のスペースをロープで区切った。さらに、カフェテリアの入り口に、恋人探しの集いをやめるよう要請する注意書きを掲示した。

 イケアの広報担当者は、話し合いをするため集いの主催者を捜していると述べた。集いの参加者は主催者はいないとしている。

 大型小売店を個人的な遊びの場として利用するあらゆる年齢層の客が増えるにつれ、「retailtament(リテールテイメント)」という新たな言葉も生まれている。小売店を意味する「retail(リテール)」と娯楽を意味する「entertainment(エンターテインメント)」を組み合わせた造語だ。

 香港のマクドナルドでは、「マックウェディング」というサービスを展開し、店での結婚式を勧めている。式の目玉の1つは、新郎と新婦がフライドポテトの両端をそれぞれくわえ、食べ進んで最後にキスするという儀式だ。

 一方、イケアは、カフェテリアでの結婚式を受け付ける計画はないとしている。




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