2011年12月2日金曜日

■“スマホ・バブル”ソフト開発者争奪戦 新卒初任給1千万円超も


“スマホ・バブル”ソフト開発者争奪戦 新卒初任給1千万円超も
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/111119/biz11111918010003-n1.htm
2011.11.19 18:00

スマホの急激な普及で、ソフト開発者の争奪戦が激化している
 スマートフォン(高機能携帯電話)が急速に普及するなか、アプリケーションソフトやソーシャル(SNS)ゲームソフトを開発する技術者の争奪戦が激化している。中途採用者に200万円以上の一時金を支給したり、新卒者に1千万円超の年収を出すなど、就職氷河期など、どこ吹く風の“スマホ・バブル”の様相を呈している。

DeNAvsグリー

 交流ゲームサイト「モバゲー」を展開するDeNAが、プロ野球の横浜ベイスターズ買収を正式に発表した11月4日。ネット業界では、同じ日に同社の採用サイトにアップされた文面に話題騒然となった。

 「初任給は日本の新卒採用の常識にとらわれず、能力に応じて年俸600~1千万円の範囲で高い提示をします」 

 平成24年度入社から導入する「新卒エンジニアスペシャリスト採用」の告知だ。内定するとソフト開発技術者としての配属が約束され、基本給と一時金を合わせて最大1千万円が支給される。
 DeNAでは「飛びぬけた能力を持った技術系の学生は、通常の総合職採用とは異なる枠で選考する」と説明する。

 能力が満たなければ通常の給与体系になるというが、中堅社員の一人は「もうかっているといえ、総合職の給料は、そこまで高くはない。うらやましい限りだ」と漏らした。

 DeNAの最大ライバルであるグリーも18日、大学と大学院の新卒者に最大1500万円の年収を用意すると公表した。

 「エンジニアにかかわらず、総合職でも優秀な社員には相応の報酬を支給する」と同社の担当者。交流ゲームで覇権を争う両社は、“青田買い”でも激しく火花を散らしている。
営するドワンゴが相次いで、「入社一時金」の導入を発表した。いずれも中途採用の技術者に転居費用などとして200万~252万円を支給する。その後、500万円を支給する会社も現れた。

 ネットサービスのサイバーエージェントは、社外の技術者を対象とした無料講座を通じて、人材を集めている。最終課題に合格すると、採用内定が出る。同社では、全社員に占める技術系の割合が約37%に上り、2年前の約11%から3倍にもなった。さらに、10月からの1年間で新卒と中途合わせて300人の技術者の採用を予定している。

 引き抜きも日常茶飯事だ。ゲームソフトのスクウェア・エニックス・ホールディングスの有名開発者がグリーに移籍。業界では、「ゲーム専用機の衰退とSNSの隆盛を象徴する出来事」として話題になった。ブログサービスを展開するある企業は最高技術責任者(CTO)をグリーに引き抜かれ、煮え湯を飲まされた。

 「発表会など公の場に優秀な技術者を出すと引き抜かれることもあるので、表舞台には出せない」と、IT企業幹部は打ち明ける。

海外にも触手

 人材争奪戦の背景には、あまりの急成長に人材確保が追いつかないという事情がある。ヘッドハンティング会社のサーチファーム・ジャパンによると、今年度のIT関連の求人数は、2年前に比べ9倍に伸びる見込みだという。同社の篠原光太郎取締役は「各社とも人材が足りていない。スマホ関連企業は、従来のIT企業よりも賃金が4、5割多く、優秀な技術者には数千万円支払うケースも珍しくない」と話す。

 国内では賄いきれず、海外にも触手を伸ばし始めた。現在社員数が約1600人のDeNAは、海外も含めたスマホ関連の開発部隊を1千人体制とする計画だ。チリやベトナムに子会社があり、担当者は「ベトナムには優秀な技術者が多いことも進出した理由の一つ」と明かす。グリーもアジアや欧米、南米に拠点があり、「内外の区別なく採用する」(幹部)と、意欲をみせる。

 「スマホ関連のソフト開発は、日本が世界で戦える数少ない分野。技術者の報酬は米シリコンバレーに比べるとまだまだ低く、人材争奪戦は今後も激化し、収入も高騰する」

 サーチファームの篠原氏は、こう予測する。成長産業として日本経済を牽(けん)引(いん)する存在となるのか。それともかつてのITバブルのように弾けてしまうのか…。



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