2011年12月2日金曜日

■大阪の百貨店・家電店、外国人客戻った


大阪の百貨店・家電店、外国人客戻った
2011/12/2 6:03  日経Web

 関西で中国人など外国人観光客の消費が回復してきた。外国人に人気の高い地区の百貨店や家電量販店などでは10月以降、中国人観光客が東日本大震災発生前の水準に戻った店舗が多い。商店街などの小売店や飲食店のほか、観光などへの本格的な波及はこれからだが、回復傾向は徐々に強くなっている。各社は一段と中国人客を呼び込もうと知恵を絞っている。

 中国人などの外国人観光客が多く集まる大阪・心斎橋では、大丸心斎橋店で、売り上げが急回復している。震災直後に免税品の売上高が大きく落ち込んだが、10月には前年同月比ほぼ同水準に戻り、11月には16%増に転じた。売れ行きの中心は高級ブランドの衣料品やバッグなど。観光客向けにパスポートを提示すると割引クーポンを渡すサービスも実施している。

 高島屋大阪店は8月ごろから免税品の売上高が前年同月比でプラスとなった。高級ブランドの衣料品や雑貨が多くを占める。通訳スタッフを常駐するなどの対応策も奏功したとみられる。

 家電量販店では中国人向けに日本メーカーの家電製品の販売が好調だ。大阪市北区のヨドバシカメラマルチメディア梅田では、震災直後に大きく減った来店客が7月に増え始め、現在は昨年を上回るという。「夏以降は朝から訪れる団体の観光客が増えた」(免税品売り場担当者)といい、電気カミソリや炊飯器、デジタルカメラを購入する顧客が目立つ。

 観光庁の「訪日外国人の消費動向」調査によると、日本に来た中国人観光客の旅行消費額は震災直後の4~6月は前年同期比40.3%減の299億円だったが、7~9月には同27.5%減の490億円まで回復した。7~9月の中国人観光客の70%は大阪府を、35%は京都府を訪問しており、消費額に占める関西の割合は高いとみられる。10~12月期はさらに消費額は回復する見込みだ。


■飲食店や小売店、中国人の集客に工夫

 大阪商工会議所が1日に発表した中国人観光客の動向に関するアンケート結果によると、大阪・ミナミの小売店や飲食店で足元の中国人観光客数は東日本大震災直後に比べ約2割増えていることが分かった。ただ、震災前ピークと比べると6割程度の水準。大商は店舗でよく使う日本語と中国語訳が書かれた「指さしシート」を作成するなど、支援策を強化する。

 アンケートは船場や難波、天王寺など、ミナミの商店街や地下街の商業組織に加盟する3073店が対象で、9月22日~11月8日の間に731店から回答を得た。有効回答率は23.8%。

 各店舗の1日当たりの中国人来客数と同客単価は、今年3月の震災直後は平均30.6人、2465円だったのに対し、現在は36.8人、3395円に回復していることが分かった。ただ震災前の「最も売り上げの多かった時期」は61.0人、6436円で、ピーク時の水準には戻っていない。

 震災直後と現在の中国人客数・売り上げの変化については、「あまり変わらない」が30.9%と最多で、「増加傾向」「やや増加傾向」が計21.9%だった。また、全体の54.0%が中国人向けの接客や広報に関し「何らかの対策を実施している」と回答した。

 大商が11月に作成した指さしシートは、「何をお探しですか」「お支払いはカードもご利用いただけます」などのフレーズや様々な商品名の中国語訳を並べ、中国人客や店員がシートを指さすだけで意思疎通ができる。A3サイズで「小売店編」と「飲食店編」を各5000部発行している。


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