2011年12月7日水曜日

■光都・神戸の歩き方、ルミナリエに負けない絶品夜景スポット


光都・神戸の歩き方、ルミナリエに負けない絶品夜景スポット
2011/12/4 7:00 日経Web

 みなとまち・神戸の冬の夜を彩る光の祭典「神戸ルミナリエ」が12日まで開催中だ。2010年の前回は343万人が訪れた人気イベントだが、せっかく夜の神戸を歩くなら、少し足を伸ばしての夜景鑑賞も楽しい。山が海に迫り、高低差の大きい特有の地形が織りなすダイナミックな夜景は神戸ならでは。ルミナリエ鑑賞の後に立ち寄りたい、よりすぐりの夜景スポットを集めた。

■元町のきらめくネオン「ビーナスブリッジ」

 ルミナリエ会場の三宮・旧居留地からクルマで20分ほど。地下鉄「県庁前」駅からなら坂を登って徒歩30分。意外に近い絶品の夜景スポットが「ビーナスブリッジ」だ。標高200メートル弱の諏訪山公園から空中に突き出たらせん状の橋からは、間近に繁華街・元町のきらめくネオンや、オフィスビルや高層マンションの窓から漏れる明かり、さらには遠くに神戸空港を発着する飛行機までも望める。

 「ビーナス」の名はかつてあるフランス人がこの場所で金星を観測したことにちなむ。ここは20年ほど前にはカップルのデートスポットとして人気沸騰。「手すりに南京錠をかけた2人は結ばれる」との噂が広がり、橋は錠前が鈴なりに。今でも公園のオブジェにカギを掛けるカップルが後を絶たず、管理する市では年に1度、回収したカギを溶かしてプレートにして飾っている。カップルでルミナリエを楽しんだ後、ぜひ立ち寄りたいスポットだ。

■1000万ドルの夜景・六甲山

 王道を行くならやはり六甲山。片道1時間ほどかかるが、山上の複合施設「六甲ガーデンテラス」の展望台からは“1000万ドルの夜景”と称される光の粒の競演が、眼前にパノラマとなって広がる。2010年オープンした自然体感展望台「六甲枝垂れ(しだれ)」もユニーク。テラス併設のカフェやレストランで「夜景ディナー」を楽しむのも至福のひとときだ。飲食や物販施設はルミナリエの期間中、営業時間を随時延長する。

 六甲山系では摩耶山の山頂近くに立地する掬星台(きくせいだい)からの、眼前をさえぎるもののない開放的な夜景もおすすめ。ガーデンテラスとともに「六甲夜景の両巨頭」と目されるだけに、連泊などで余裕があるなら両者の眺望を訪ね比べるのも楽しい。

■2つ“新顔”も

 “新顔”も2つ紹介しよう。まずは三宮からクルマで10分足らずの人工島ポートアイランドにできた「ポーアイしおさい公園」。海抜1メートル足らずの場所だけに奥行きはないが、キラキラと輝く街の明かりの連なりが横に伸びる光景に、思わず目を奪われる。対岸のハーバーランドの商業施設を照らすライトアップがたゆたう海に映り、観覧車は万華鏡か大輪の花火のように刻々と色を変える。すっくと立つ神戸港の象徴「ポートタワー」も美しく、ベンチに腰掛けてゆったりした時間を過ごせる穴場だろう。

 一方、街なかから新神戸トンネルをくぐって40分ほど。山あいののどかな風景が広がる神戸市北区大沢町の「フルーツ・フラワーパーク」で今年始まったのが、関西最大規模というLED(発光ダイオード)300万球で作り上げるイルミネーションイベント「神戸イルミナージュ2011」。広大な園内を“光の動物園”や“森”などいくつかのテーマで分け、LEDでカラフルかつ幻想的な世界を演出する。2012年1月17日まで。計画段階で東日本大震災が発生したが、主催の日本イルミネーション協会(大阪市)は「震災を経験した神戸から元気を発信したい」と実施を決めた。来年冬以降も開催される予定だ。

■世界最長の橋が醸す圧巻の夜景

さまざまなライトアップ演出が特徴的な明石海峡大橋を眺める舞子からの夜景(神戸市垂水区)
 最後は鉄道でちょっと足を伸ばす雄大な夜景を。JR神戸線「舞子」駅下車の垂水区舞子の海べりからは、淡路島と結ぶ明石海峡大橋の雄姿を眼前に仰ぎ見ることができる。1998年に供用開始された世界最長(中央径間1991メートル、全長は3911メートル)の吊り橋が醸す、遠近感が強調された独特の夜景が圧巻だ。夕暮れ時から夜景に変わる時間の流れに身を任せつつ、赤、緑、青の光の3原色のイルミネーション装置による多彩な演出を楽しみたい。

 空気が澄んだ冬は絶好の夜景鑑賞シーズン。暖かい服装で出かけよう。マイカー派以外の課題は足の便だが、神戸市は今年、地元バス会社と組んで「神戸夜景ツアー」を催行中。2012年2月までの土曜日、ビーナスブリッジとポートタワー、ハーバーランドをバスでめぐる小旅行(1日3便)で、1人200円という料金設定もあって人気が高い。

◇            ◇

夜景評論家の丸々もとおさん

夜景の12類型

●夕夜景:空が赤く染まる夕暮れ時の情熱的な色彩の夜景

●郊外夜景:郊外で見られ、蛍光灯など生活照明が中心

●ライトアップ夜景:橋梁やビル、タワー、歴史的建造物の演出照明による夜景

●都市夜景:繁華街、商業施設から漏れる色鮮やかな明かりなど

●アミューズメント夜景:テーマパークなどの観覧車やコースターの夜景

●海夜景:いさり火や月が照らす海面など。空と海で構成

●朝夜景:朝方の空が白み始める一瞬前、紫色の空が美しい夜景

●大夜景:山上、展望台、ビルなどから見下ろして鑑賞できる夜景

●埠頭(ふとう)夜景:湾岸部の埠頭でオレンジに照らされたクレーンなど

●山岳夜景:標高の高い山岳部の月明かり、星の瞬きなど

●工場夜景:プラントで構成された湾岸部の工場地帯などの夜景

●水辺夜景:河川敷や湖などの水辺。住宅などの光も水面に映る

 「夜景遺産」の登録数は、神戸市を擁する兵庫県が10カ所。全国で最多です。いわゆる3大夜景で比べても、函館と長崎がいずれも標高300メートル台なのに対し、神戸・摩耶の掬星台(きくせいだい)は700メートルと2倍以上の高さがある。夜景の奥行き・広がりは標高に比例するので、神戸の夜景はダイナミックなスケール感が特徴だと言えます。湾岸部の夜景も視界が開けていて遠方まで望め、整備された良質な公園もある。

 どこでもそれぞれに楽しめるのが神戸の夜景です。その魅力を情報発信し切れていないのが惜しい。「夜景予報」のようなサービスが必要かもしれません。夜景の12類型(=別掲)のうち、神戸で楽しめないのは工場くらいでしょう。すべてを鑑賞しようと思えば、1泊ではとても足りない。3~4日はかかってしまうでしょう。




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