2011年12月11日日曜日

■「奥河内」売り込み作戦


「奥河内」売り込み作戦
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/osaka/news/20111211-OYT8T00057.htm
2011年12月11日  読売新聞

急増する山ガールをターゲット

  河内長野市が、金剛生駒紀泉国定公園の金剛山(1125メートル)や岩湧山(いわわきさん)(897メートル)など府南東部の山間部を「奥河内」と名付け、観光キャンペーンを展開している。奥日光や奥多摩など「奥」を冠した有名な観光地に倣い、「豊かな自然をじっくりと味わえる景勝地」というイメージを定着させ、観光客らを呼び込もうとの狙いだ。ターゲットは、近年、急増している山ガールたち。温泉やスイーツも楽しめる山歩きを企画するなど、女性たちの心をつかもうと工夫を凝らす。

 11月上旬。ススキの穂が揺れる岩湧山山頂付近を、色とりどりのアウトドアウエアで身を包んだ女性たち20人が散策した。市と、アウトドア用品メーカー「モンベル」(大阪市西区)が共同で初めて開催した「女性のための錦秋の岩湧山トレッキング」。5キロを4時間かけて歩き、秋の奥河内を満喫する企画だ。

 山頂から大阪湾を一望した後、参加者は下山口にあるキャンプ場で鶏肉のトマト煮込みなどを食べ、バスで近くの天見温泉に移動。旅館で温泉に入り、あんみつやケシの実のパウンドケーキを味わった。

 30歳代の女性は「岩湧山を知らず、ランチに引かれて参加した。ススキがきれいで、大阪南部にも良い山があると知った」と満足した様子だった。

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 河内長野市によると、市内の25の宿泊・観光施設を訪れる観光客は年間約100万人。近年は横ばい状態が続く。兵庫・六甲山系では登山をする若い女性の姿が目立ち、市の担当者らが昨夏、「河内長野にも来てもらうにはどうすればいいか」と協議。隣の千早赤阪村の金剛山を含めて、付近の山間部一帯を奥河内と命名することを思いついた。

 奥日光や奥多摩など「奥」がつく地域には、普段の生活では触れることができない豊かな自然が残るイメージがある。河内長野市も、市内の7割を森林が占めており、「奥」と呼ぶのにふさわしい。一方で、大阪・難波から電車で約30分で到着でき、利便性も高い。市の担当者は「自然に興味があるが、遠方まで登山に行くのはハードルが高いという女性たちにアピールできると考えた」と振り返る。

 奥河内の名称は、市がイベントなどで積極的に使用し、徐々に浸透。今年は、人気モデルが奥河内を訪れるパンフレットを作成、南海難波駅や近鉄阿倍野駅などに約1万部を置いたところ、1か月でなくなった。11日に開く2回目の女性限定のトレッキングも、定員20人を上回る申し込みがあった。

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 奥河内の魅力は自然だけではない。温泉の他、歴史的な見所も多い。国宝・金堂などを有する観心寺は、パワースポットとしても注目が集まる。市はこうした魅力を知ってもらおうと、千早赤阪村と共催で、奥河内をテーマにした写真コンクールを企画、21日まで作品を募集中だ。

 市産業活性化室は「おしゃれなイメージを演出し、まずは女性たちに気軽に楽しんでもらい、やがては男性も含めて多くの人でにぎわう地域にしていきたい」としている。

山ガール 登山やハイキングを好む女性たちのこと。近年増加しており、カラフルな柄のタイツやレギンスに、スカートやショートパンツなどを組み合わせたおしゃれなウエアも流行している。登山ブームを支える新たな層と歓迎される一方、トイレなどの環境整備が課題になっている。



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