2011年12月7日水曜日

■冬の風物詩、イルミネーションに変化 被災地応援・節電強化


冬の風物詩、イルミネーションに変化 被災地応援・節電強化
2011/12/3 日経Web

 冬の風物詩、イルミネーションやクリスマスツリーが街を彩り始めた。今年は東日本大震災に見舞われた東北の復興祈念をテーマに掲げる例が目立つ。発光ダイオード(LED)電球の導入などによる節電への対応強化はもちろん、被災地の伝統工芸を生かしたツリーの飾りや名産品の出店などで一体感を演出するところもある。

 JR東京駅西側の大手町と有楽町を結ぶ1キロメートル強の「丸の内仲通り」。「丸の内イルミネーション」で夕方以降は約220本の街路樹がLED約95万個の淡く温かなシャンパンゴールドの光に包まれる。帰宅を急ぐ周辺オフィスの会社員らのなかにも、歩みを緩めて星をちりばめたようなきらめきに見とれる人が少なくない。

 LEDは1個当たりの消費電力を昨年より60%減に抑えた。光を通しやすい素材の電球を使うなど少ない電力で昨年と同じ明るさを実現し、電球の形を工夫して風で揺れるたびにまたたいて見えるようにした。

 通りに面した「丸の内ビルディング」の吹き抜けにも高さ8メートルの光で彩られたクリスマスツリーが飾られ、目を引く。テーマカラーの赤に統一した飾りの一部には仙台市の伝統工芸などが選ばれた。

飾りが結ぶ仙台との絆

 かわいらしい竹細工の赤い鞠(まり)は「仙台七夕まつり」の竹飾り職人が手掛けた。赤いバラの花束風の飾りは、仙台市の製作会社に依頼し地元の主婦に作ってもらった。見つめていた福島県出身という女性会社員は「東北の人の手によるものと考えると見え方が違う」と感慨深げ。会社帰りに立ち寄った男性会社員は「元気づけられた。また頑張ろうという気になる」と語った。

 「“一緒に仕事をする”という支援をしたかった」と語るのはイルミネーションの企画・運営を担当する三菱地所ビルマネジメントの小久保貴司プロモーション事業部長。花束風飾りを手掛けた主婦も「仙台で作った飾りを、東京の中心地に飾ってもらえるのは非常にうれしい」と話す。

 有名ブランド店やカフェが並ぶ東京・表参道で2日から始まったケヤキ並木を飾るイルミネーションでは、仙台市で恒例の「SENDAI光のページェント」を一部で再現した。仙台と同じぬくもりのあるオレンジ色のLEDを使った。被災地へのメッセージカードを取り付けられるケヤキや募金箱も設置。来週末には仙台の名産品を味わえる観光PRのイベントも開かれる。

 主催する商店街振興組合原宿表参道欅(けやき)会の関係者は20年前にイルミネーションを始める際、先行していた仙台の取り組みを視察。それ以来、交流を続けてきた。仙台で2日に始まった今年の「光のページェント」は津波のため保管していたすべてのLEDが壊れたことから表参道側が6万個を貸し出し、開催を支援した。

 「表参道には道そのものの美しさがある」と胸を張るのは欅会の松井誠一理事長。約1キロメートルにわたる並木通りは中間地点が谷となっており、どこで眺めてもケヤキが視界に入る。その自然な枝ぶりを生かしてLEDの数は昨年より約3割減らし、使用電力を抑えている。

子供たちへメッセージ

 東京都港区の六本木ヒルズでは敷地内の各所で趣の異なるイルミネーションが楽しめる。昨年までは電力会社から供給を受けた電力と、都市ガスを使った自家発電設備による電力を併用してきたが、今年は全面的に自家発電で賄い、節電にも配慮している。

 施設内のホテル「グランドハイアット東京」ではロビーに設けたツリーに被災地の子供たちへのメッセージカードを飾り付けられる。プレゼントも募り、宮城・福島両県の児童館や幼稚園などにクリスマスまでに届ける予定だ。レストランなどではチャリティー装飾品を販売し、収益を被災地の子供に全額寄付するという。

 関西でも阪神大震災をきっかけに始まった光のイベント「神戸ルミナリエ」が神戸市で12日まで開催中だ。今年は東日本大震災の復興支援をテーマにしたゾーンを設け、東北の観光PRやチャリティーグッズの販売など各種イベントを開く。大阪市中心部で14日に始まる「御堂筋イルミネーション」でも復興を願った光の装飾やメッセージサインを予定している。



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