2012年1月25日水曜日

■愛より景気! 婚姻件数ガタ落ち、最悪は「お金なくて離婚できない」ケース


愛より景気! 婚姻件数ガタ落ち、最悪は「お金なくて離婚できない」ケース
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/120122/mcb1201220700000-n1.htm
2012.1.22 07:00
  
 米国では、このところの景気低迷で婚姻件数が目立って減った。また、失業をきっかけに不仲となる夫婦も少なくないという。ならば離婚件数は増えそうなものだが、実際には減っているらしい。離婚するための金銭的余裕がない? 不仲なのに別れられないとすると、夫婦の生活は悲惨である。



 調査機関ピュー・リサーチ・センターによると、2010年の米国での婚姻件数は423万件で、09年の445万件から5%も減った。これにより既婚者は成人全体の51%となった。婚姻件数は長期的な減少傾向にあり、米国で近く、独身者数が既婚者数を上回ることはまず、間違いないという。
 婚姻より出産

 結婚しない若者が増えている。50年前の統計では、18~29歳では既婚者が60%を占めたが、現在は20%。米国人の初婚年齢(中間値)は、女性が26.5歳、男性が28.7歳。50年前はそれぞれ、20.3歳、22.8歳だった。籍を入れないカップルが増えていることが理由の一つ。米国では、出産する女性の40%はシングルマザーとの統計もある。

 婚姻件数の減少は目新しいことではないのだが、それでも、09~10年の5%の急減については、経済低迷の影響とするのが一般的だ。しかも、結婚しない傾向が見られるのは米国人全般に共通とはいえ、大卒者に関してはさほど顕著ではない。日本でも、20代男性で年収が300万円を切ると既婚率が下がると指摘した調査があった(内閣府)。景気が悪くなり、豊かでないと結婚できなくなった。こんなところで格差が際立ってきたのだ。


離婚より我慢

 米公共ラジオ(NPR)とカイザー・ファミリー財団の共同調査によると、1年以上職のないの人の22%が妻や同居の恋人などパートナーとの関係が悪くなったと感じていた(良くなったという人も8%いた)。また、36%が自分の失業がパートナーの心身の健康に悪い影響を与えていると答えた(良い影響は7%)。

 そうであれば当然、離婚件数は増えるはずだが、逆に減っているという報告が最近、オンライン学術誌に掲載された。景気と離婚の因果関係を調べたもので、それによると、失業率が1%上がるごとに離婚率は1%下がっており、景気低迷が続く現在、離婚する人は減っているというのである。

 2つの理由が考えられる。職を失い生活の先行きが見えなくなると、普通は夫婦仲が悪くなるが、もともと仲が悪かった夫婦がこれをきっかけに結束し、ホレ直すということもありうる。悲惨なのは、夫婦仲は悪くなったけれども、新生活を始める余裕がない、だから離婚できないというケースだ。


 そして最悪の結末は…

 NPRは、苦労してようやく離婚にこぎつけたウィスコンシン州の女性のケースを紹介している。夫だった男性はイラク戦争に従軍した元兵士で、仕事を求めて各地を転々とし、その度、彼女の生活も一からやり直しとなった。そのうち、景気が悪くなり、2人とも失業して夫婦の間で口論が絶えなくなった。

 彼女の体重はそれまでの3分の2の40キロにまで減った。「やせたのは心労もあるけど、食べ物を買うお金に事欠いたから。離婚は手続きに数百ドルかかる。最初は思いつかなかった」と語った。

 金に困り、不仲のまま、離婚できなかったとしたらどうなるのか。NPRは、家庭内暴力(DV)に至る恐れがあるとの専門家の見方を紹介している。いまのところ、失業とDVの因果関係を証明する研究はない。だが、暴力をふるわれ病院に緊急搬送された女性は、夫が失業しているケースが多いという。何をおいても、景気の回復が大切ということだ。



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