2012年2月17日金曜日
■【上海ブログ】上海は物価が安いのか? 惑わされる日本の方々
【上海ブログ】上海は物価が安いのか? 惑わされる日本の方々
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2012&d=0217&f=national_0217_202.shtml
2012/02/17(金) 16:08
英経済誌エコノミストの調査・研究機関EIUが16日までに発表した2012年「世界の都市生活費ランキング」によると、スイスのチューリヒが昨年1位だった東京を抜き、トップとなった。チューリヒが1位になるのは過去20年間で初めて。(共同通信)
またか、と思う。
東京が1位ではなくなったことは、まあ置いておく。中国側ではもう少し詳細が報じられており、自国都市の順位を紹介している。上海が42位、北京が59位。香港が22位、為替の影響もあり10年前と比べて大幅に順位を下げる、云々。
これを見た日本の方々は、「やっぱり東京の物価は高いのね。中国は経済成長著しいからといってもまだまだね」となるのだろう。
勘弁して欲しい。仕事にも、生活にも暗に陽に被害が出る。
中国で事業をやろうと思ったら、まだ「安いだろう」と思う日本の方々は多い。実際、日本と比べて安上がりになる部分も多いとは思う。ただし、多かれ少なかれ、「あれっ、思ったより高くついたな」と感じるはずだし、最近では「こんなはずではなかった、高すぎる」と思う方も多くなっているに違いない。
そう、中国は安くはないのだ。少なくとも、2位東京、42位上海というランキングは無意味だ。上海に駐在している方ならば、多かれ少なかれ同感していただけると思う。
より正確に言えば、日本の平均月収と同額の上海人(日本人や外国人ではだめだ)が上海で生活すれば、安いと感じる、とは思う。実際、今やそういう人は少なくない。「えっ」と思われるかもしれない。上海の平均賃金は今でも4000元(約5万円)とされ、日本と比べると大雑把に7、8分の1だ。しかしこれはあくまでも平均だ。
平均というのはこれと比べて多い人もいるし、少ない人もいる、どんぴしゃりやその前後という人もいるだろうが、そればかりではない。当たり前だ。この当たり前が分からない日本人が多い。いわゆる格差ではあるが、格差社会になってきていると言われる日本でも、上海の、富める者はとことん富み栄え、貧しい者はそれなりに賃金は上昇するかもしれないが停滞中、という、上海では至極常識の現象を理解できない。
だから、平均賃金4000元を鵜呑みにする。「ほとんどの人がこの近辺の賃金なのだろう」と無意識に想定し、これを基準に物事を考える。中国においてこの想定がどれほど愚かなことか、中国のことを少しでも分かっている人には当たり前すぎる話だ。
上海において、日本と同程度の生活や、仕事の量・品質を維持しようと思えば、そのコストは、日本で必要なコストと同額か、場合によってそれ以上になることは珍しいことでも何でもない。「中国だから安いんだろう? でも東京と同じものが必要だよ」。こんな虫のいい話はそうそうないのだ。
中国に生産を切り替える、ということは何年も前から行われてきたが、ここ数年は、中国離れが加速していることは良く知られている。なぜなのか。世界の工場から世界の市場への変化を頭では分かっていても、ぜいたく品が飛ぶように売れていると知識としては持っていても、「中国は安い」という思い込みだけが残っている。
東京のサーチナ本社の入っているビル(赤坂)の1階に今どき500―600円でランチ定食を出している店がある。探せば他にもあるかもしれないが、赤坂・六本木界隈で、これは破格だ。ほとんどの日本人がそう思うだろう。出される定食は、しょうが焼き定食など日替わりだ。しかもご飯はお変わり自由。味噌汁やおしんこ、サラダもついている。いたって普通の定食。
このレベルの定食を上海で食べようと思えば、そもそも日本風定食がもちろんメジャーではないのだが、あえて言えば、最低40元(約500円)、場合によって60―80元(750―1000円)は考えなければならない。その赤坂の定食屋が破格に安いことを考慮に入れても、上海は、東京とたいして変わらない、東京と同額か、東京より高い、とは言える。
日本人駐在員の上海における賃貸は、相場が月1―2万元(約12―25万円)だという。もちろん人によってそれよりも安い、高いはあるだろう。超一等地でない限り、東京で月25万円の賃貸は高級物件だ。そもそもそれこそ日本の平均賃金に近い数値である。もちろん、上海とは言っても海外ということで、安全面などを考慮した特別仕様ではあるのだろうが、上海での日本人はそれが普通のクラスなのだ。その普通が、上海の平均賃金と比べれば数倍。東京と同じようにしようとしたら、上海は本当に高い。
もちろん、上海のタクシー代は初乗り14元(約200円、ただし毎年のように上昇中)、東京の4分の1程度とか、地下鉄は初乗り2元(約25円)、東京の7、8分の1程度とか、逆の例も多くある。
だか、そうした「安い」例ばかりではない、ということが、分からない人が多い。そうした統計やランキングに惑わされて、頭ごなしに中国における相場を決め付ける。そもそも、上海の人も、「上海は“工資低、消費不低”というおかしな街」とよく言う。その低い給料水準を、すべての基準にして推し量ろうとするのが日本人の考え方だ。こうしたことが、日本ではまかり通ってしまっている。
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿