2012年2月4日土曜日

■中国トホホな実情…特権層が肥え国民豊かになれず


中国トホホな実情…特権層が肥え国民豊かになれず
http://news.infoseek.co.jp/article/02fujizak20120202016
2012年2月2日17時00分 夕刊フジ

 【お金は知っている】今秋に中国共産党総書記昇格が確実視される習近平党中央常務委員には二つの顔がある。「太子党」(特権を持つ党幹部の子弟)の代表として、もう一つは「国際化」家族の長としてである。

 まな娘、習明沢は2010年秋からハーバード大学へ留学。前妻の娘は英国に、実弟はオーストラリアに居住、姉夫婦の国籍はカナダで、北京で会社経営している。他にも、多くの親類が海外に居住している。習明沢にはハーバードも特別配慮で、一般の中国人留学生には厳しい米市民権獲得は容易だ。勉学ぶりを同級生の中国人に聞くと、ガードマンによる24時間警護の通学で、普段は人目につきにくい大講堂での授業に出席することが多く、少人数の授業は避けている。

 一族の国際化は華やかに見えるが、実は中国経済の暗い影を象徴する。

 中国政府は海外へのカネの流出を厳しく制限しているのだが、あくまでも建前である。地下銀行と呼ばれるヤミの資金流出入ルート、貿易や投資を騙(かた)って規制を逃れる。香港にダミー会社をつくって、そこから第3国に送金する。そこで必要になるのが、海外で市民権や国籍を持つ身内の存在だ。海外在住者が現地で資金を管理、運用し、もうかるとみれば中国国内に再投資する。その場合、「外国法人」として扱われるので、税制面などで優遇される。

 リーマン・ショック後、北京指導部はお札を刷って不動産開発を奨励したところ、海外から「熱銭」と呼ばれる投機資金が流入して不動産ブームが過熱したが、熱銭の大半は上記のような中国人マネーである。熱銭は09年で月間数百億ドル、年間で3000億ドル前後に達したとみられる。

 ところが、11年夏頃から不動産価格が下落し始めるや、熱銭は海外にかなりの勢いで逃避している。中国は貿易黒字を中心に11年には約2000億ドルの経常収支黒字を稼いだ。これらの外貨と対中投資などで外から入ってくる資金の合計は、中国国内の銀行と中央銀行である中国人民銀行の外貨資産総額として計上される。従って、これら外貨資産は積み上がって当然なのだが、グラフが示すように9月から減り始め、減り具合は11月から加速している。11、12月の2カ月間でドル換算203億ドルに上る。国際収支の黒字分は同期間300億ドル前後だとみられるので、この分を勘案すると500億ドル、年間で3000億ドルのペースで資本流出が起きている。

 激しい資本の逃避で不動産価格の急落に歯止めがかからなくなると、不動産開発に血道を上げた地方政府やデベロッパーに貸したカネが戻らず、銀行の不良債権が雪だるま式に増えていく。1990年代初めの日本で起きたようなバブル崩壊が起きる。

 北京当局はそうならないよう躍起になって人民元の対ドル・レートを切り上げ、資本をつなぎ止めようとしている。人民元が高くなるほど外部からの投資家はもうかるからだ。しかし、人民元高は欧州向け輸出の不振にあえぐ中国の輸出産業をますます苦しめる。

 根本的な中国の問題は、いくら経済発展しても、巨額の富が特権層の手により海外に持ち出され国民全体が豊かになれないことだ。その特権層の代表格が次期リーダーになること自体が、中国の命運を暗示している。



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