2012年3月2日金曜日
■格安航空飛躍の年 ピーチ国内線就航
格安航空飛躍の年 ピーチ国内線就航
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2012030202000031.html
2012年3月2日 朝刊
全日本空輸などが出資した格安航空会社(LCC)のピーチ・アビエーション(大阪府泉佐野市)が1日、関西空港を拠点に国内線で就航した。夏には日系LCCの2社が参入し、国内の飛行機利用者の選択肢はさらに増える。ただ、LCCは運賃を格安にするために座席の間隔は狭くし、機内食の無料提供などのサービスもない。価格重視の手法が日本の消費者に受け入れられるか。今年は航空業界にとって大きな1年となりそうだ。
一日に就航したピーチの運賃(片道)は、関西―新千歳が四千七百八十円から、関西―福岡は三千七百八十円からで、大手航空の半額以下に設定した。福岡路線は新幹線と比べても半額以下になる。
日本でLCCが就航したのは二〇〇七年。ジェットスター航空(豪州)などが相次ぎ就航したが、国際線が中心だった。
だが、ピーチに加え、七月には日本航空などが出資したジェットスター・ジャパン(東京)、八月に全日空系のエアアジア・ジャパン(同)が国内線で就航。本格的な日系LCCの就航で、国内も安い運賃を競う時代になる。LCC側は「今まで飛行機を使わなかった人に乗ってもらう」と、新幹線や高速バスの客も狙う。
日航と全日空は、本体とグループ航空会社がLCCと路線が競合し、乗客の一部がLCCに奪われる可能性はあるが、「(これまでと同じ)フルサービスを求める利用者はいる。LCCとすみ分けはできる」(全日空の伊東信一郎社長)と自信を見せる。
だが、厳しい見方もある。北九州空港を拠点にする新興航空会社、スターフライヤーの米原慎一社長は「日本では飛行機に乗ること自体を楽しむ文化がある。座席間隔が狭く、サービスが少ないLCCが根付くか疑問」と話す。大手旅行会社も「日本人は、安かろう悪かろう、という意識が根強い」と指摘。ピーチは就航初日の一日、自動チェックイン機が一時作動しないトラブルで一時間程度の遅れが起き、お祝いムードに水が差された。
国土交通省は、LCCが定着するには「安全を大前提」に、実績を積み上げることが不可欠だと強調。日本総合研究所の岡田孝主席研究員は、当初は福岡や札幌など需要が多い大都市路線で就航し客数は増えるとしながらも「機体の数を増やし、地方路線を飛ばす次の段階で、どれだけ集客できるかだ」と分析している。
格安航空会社 英語で「ローコストキャリアー」と言い、略してLCCと呼ばれる。機内食や毛布・枕の利用などの機内サービスを有料化し、座席数を増やすために座席の間隔を狭くしている。できるだけ同じ機種を使うことで整備費用などの費用も抑え、運賃を低く抑える。日本航空など大手航空会社は「フルサービスキャリアー」と呼ばれる。
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