2012年3月23日金曜日

■観光地に明暗、反転は遠く 長野県内の公示地価



観光地に明暗、反転は遠く 長野県内の公示地価
2012/3/22 23:45 日経Web

 国土交通省が22日発表した2012年の公示地価(1月1日時点)で、長野県は住宅地が前年比3.2%、商業地が4.5%それぞれ下落した。全用途で下落が続くものの、下落幅は住宅地、商業地ともに0.5ポイント縮小。別荘人気の高まりで、軽井沢町の2地点は横ばいとなった。ただ、地価反転の兆しは見えておらず、先行きにはなお慎重な見方が多い。

 公示地価は国交省の土地鑑定委員会が毎年1回算定し、一般的な土地取引価格の指標に使われる。県内では44市町村の315地点を調べた。昨年3月の県北部地震で大きな被害が出た栄村には調査地点がない。

 住宅地は15年連続で前年を下回った。昨年まで3年連続で全地点が下落していたが、今年は軽井沢町の高級別荘地2地点が横ばいとなった。「東日本大震災を受け、夏以降、節電や安全なセカンドハウス目的で別荘の需要が高まっている」(町内の不動産業者)といい、中古物件付きの土地を中心に取引の動きがある。

 市町村別にみると、野沢温泉村の下落率が7.8%で最も大きく、飯綱町の6.8%が続いた。「景気の減速が観光産業に響いている」(県土地対策室)とみられる。

 商業地は20年連続の下落となり、4年連続すべての地点で下落した。市町村別では白馬村(7.1%)、小諸市(6.0%)、信濃町(6.0%)などの下落率が高い。ただ、下落幅は2年連続で縮小した。昨年6月に大規模地震のあった松本市では「震災の影響は限定的」(不動産業のセイブ)という。JR松本駅前に12月、大型のショッピングセンター(SC)が改装開業し、「人通りが増え、にぎやかになってきた」(同)。

 ただ、地価の下落に歯止めがかかるかどうかには慎重な見方が大勢を占める。経済環境の不透明感から「若い人が求める土地の予算は建物以上に縮小している」(長野市内の不動産業者)。小規模分譲地は成約率が高くなっているものの「大規模開発は需要が見込めず難しい」(同)という。

 昨年、JR上田駅近くに大型SCが開店した上田市では「地価は下がり切った」(不動産業の五大)との見方が一部にある。しかしSC効果も「正社員の雇用につながっておらず、地価反転にはつながらない」という。

 消費税増税をにらみ、「住宅などで駆け込み需要の兆しが見えている」(セイブ)との声もあるが、人口減少など構造的な課題を抱えて、地価の先行きはなお不透明だ。




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