2012年4月1日日曜日

■なぜ、LCC利用の旅行ツアーは少ないのか? 代理店の意外な理由



なぜ、LCC利用の旅行ツアーは少ないのか? 代理店の意外な理由
http://sankei.jp.msn.com/west/west_economy/news/120401/wec12040107000000-n1.htm
2012.4.1 07:00 [ビジネスの裏側]

ピーチ機内で、飲み物を購入する乗客。旅行会社の間からは、有料化された機内サービスがパック旅行の客になじむのかとの声も聞かれる

 関西国際空港を拠点とする日本初の格安航空会社(LCC)「ピーチ・アビエーション」が運航を始めて1カ月。関空にはピーチ以外にもさまざまなLCCが乗り入れているが、旅行会社によるLCCを使ったパックツアーはわずか。その理由を調べてみると、「便数が少ないから」ということだけではないようだ。

 旅行会社の店頭には、4月下旬~5月上旬の大型連休や夏休みをターゲットにしたツアーのパンフレットが並ぶ。しかし、この中にピーチを使ったツアーはゼロ。JTB西日本は「いまのところ国内のツアーでLCCを使う考えはない」という。

 ピーチは「旅行会社にも販路を拡大したい」との考えを持っているが、現時点で航空券の予約・販売は専用ホームページ(HP)とコールセンターに限定している。LCCは旅行会社を介さないことでコストを省き、低価格の運賃を実現させたが、これは言い換えれば、旅行会社にとって「LCCでは中間マージンが取れない」(日本旅行)ことになる。

 旅行会社が企画するパッケージツアーでは、事前に一定の座席数を確保する必要がある。このため、旅行会社は航空会社から「IT運賃」と称して、パッケージツアー向けの航空券を支給されている。航空会社はまとまった数の座席を早い段階で売りたいため、「キャンセルの期限などは旅行会社に有利な条件になっている」(業界関係者)。

 また、LCCは悪天候などで運休となった場合、原則として他社便への振り替えはない。再び予約し直すか、LCCが別の便を出すまで空港で待機するしかなく、機内サービスも有料化され、海外旅行が初めての人などにとってLCCは戸惑うことが大きいのだ。

 そもそもLCCの顧客層はリピーターが中心。海外旅行に慣れ、海外出張が多い人ほどLCCを使う傾向が強い。これに対し、初めての海外旅行の場合、旅行会社のパックツアーを使う人がほとんどだ。旅行会社の中には「LCCのサービスが定着するまでには時間がかかる。しばらくは乗客の反応をみたい」(近畿日本ツーリスト)という。

 ただ、ここにきてLCCを活用しようとする旅行会社も現れ始めた。阪急交通社は関空発のツアーで、韓国のLCCであるチェジュ(済州)航空、エアプサンを使ったプランを販売。韓流ブームなどで韓国への渡航者が増加する中、「関空発午前の便では、従来の航空会社だけだと座席の確保が難しい」(阪急交通社担当者)と説明する。

 また、各旅行会社とも豪州のゴールドコーストへのパッケージツアーはLCCを利用。関空からゴールドコースト、ケアンズに直接乗り入れているのは、現地LCCのジェットスター航空のみ。「ゴールドコーストは人気観光地だが、他空港経由では時間がかかりすぎるため、ジェットスター以外は商品として成立しない」(JTB西日本)ためだ。

 旅行業界ではLCCの路線網が広がれば、「若者を中心に新たな旅行需要を喚起できる」(近ツー)との見方が多い。しかし、LCCを活用したパックツアーが一般化するには、もう少し時間がかかりそうだ。




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