2012年4月23日月曜日

■【コラム】信号無視とカンニングがはびこる国


【コラム】信号無視とカンニングがはびこる国
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/04/22/2012042200116.html
2012/04/22 09:50

 少し前のことだ。夜12時のニュースを聞きながら帰宅する途中、ソウル・南山近くの通りで赤信号のため停車した。すると、すかさず後ろの車がクラクションを鳴らしてきた。車は1台も通っていないのに、なぜ信号を守るのかと催促するクラクションだった。それでもじっとしていると、しびれを切らしたかのように信号を無視して行ってしまった。こうした出来事は、何も最近に限ったことではない。明け方だろうが、夜中だろうが、はたまた日中でも、車さえいなければ信号を無視する車をしばしば目にする。夜更けや早朝に信号を無視するのは、これまでは主に弾丸タクシー(超スピードで運転するタクシー)に限られていたが、最近では高級車も堂々と信号を無視していく。

 記者が中学高校に通っていた1970年代は、試験の際の「カンニング」が茶飯事だった。前の席に座った友人の背中を突いては答えを教えるようせがんだり、小さい紙切れに答えを書いて友人に回したりするやり方だった。見つかると先生にひどく叱られたが、処罰はそれが全てだった。生徒の間にも先生の間にも「カンニング」が重罪といった認識が定着していなかった。TOEFL(英語を母語としない人のための英語能力試験)やSAT(大学進学適性試験)での不正が韓国で続出する背景には、「カンニング」に対するこうした昔からの甘い考え方が作用しているに違いない。

 しかし、米国では違う。信号を無視して警察に見つかると、その場ですぐ逮捕される。ドライバーに適用される刑罰のうち、飲酒運転を除いて最も重いのが信号無視だ。学校で生徒の「カンニング」が発覚した場合も、即刻停学か退学処分となってしまう。テストの際は、生徒がほかの生徒を監視している。このように、米国の学校で生徒に最高刑罰の下される罪こそが、まさに「カンニング」なのだ。また、米国の大学では他人の論文を出所を明示せずに引用する行為も重罪として認識されている。出所を明示しない引用もカンニングの延長線上にあるといった認識のためだ。

最近韓国は、西欧の先進国と比べても、それほど劣らない水準にまで成長してきた。高速道路や高速鉄道のインフラが、先進国と同レベルにまで整備され、地方都市もソウルに負けず劣らず「きらびやか」になってきている。外国人観光客は木浦でも釜山でも、はたまた束草の国立公園でも容易に見掛けることができる。これは、ひとえに韓国が発展してきたからにほかならない。スウェーデンで最大を誇るウォーレンバーグ財閥のマルクス会長が「韓国の技術発展を見て驚いた」とコメントしたほか、在韓米国商工会議所(AMCHAM)のエイミー・ジャクソン代表も「韓国と米国はいまや対等なパートナーになった」と話した。サムスン電子や現代自動車、ポスコなどは、すでに世界的企業の仲間入りを果たして久しい。

 こうなると、問題はハードウエアではなくソフトウエアだ。赤信号を無視してもいいという考え方や、テストの際にカンニングしてもいいという考え方が、韓国社会にはびこれば、決して先進国にはなれない。少なくともその社会の基本に該当する小さな規則を社会構成員たちが徹底して守ってこそ、先進国の仲間入りができるというものだ。

 このところ、統合進歩党の李正姫(イ・ジョンヒ)共同代表の補佐官が世論調査の結果を改ざんするよう指示した事件や、首相室傘下の公職倫理支援官室が公職者と民間人の区別なく無差別的な調査を行っていたことを裏付ける報告書が発見された事件が、世間をにぎわしている。誰が「発案者」で誰が「使いっ走り」だったとしても、要はこうした事件に関与している当事者たちは信号を無視し、「カンニング」することを「朝飯前」くらいにしか思っていない人々なのだ。韓国が真の先進国になろうとするのを妨害するこうした部類の人々を、一度に教育できる魔法のつえでもあればと思うきょうこの頃だ。



0 件のコメント:

コメントを投稿