2012年4月20日金曜日

■日本のベテラン技術者、中国で「第二の人生」


日本のベテラン技術者、中国で「第二の人生」
http://j.people.com.cn/94476/7791723.html
2012年4月19日「人民網日本語版」

 英ロイター通信は16日、「日本の技術者、中国で『第二の人生』」と題する文章を掲載した。その内容は以下の通り。中国網が報じた。

 1980年代、日本人技術者の技術は大手日本企業が競合他社を打ち負かすのを助けてきた。しかし今、数千人のベテラン日本人技術者たちが、発展目覚しい中国で新たな人生を歩もうとしている。


 ▽東莞で働く日本人技術者たち

 中国で働くアイダ・マサユキ氏(59)は、「私の専門技術は、もう日本で就職先を見つけられません」と語る。東京の企業で30年間勤め、鋳型の生産を行ってきたアイダ氏。50歳を過ぎてから中国南部の珠江デルタに位置する製造業の中心地、東莞にやってきた。

 まもなく60歳を迎えるアイダ氏は、定年が近づいている。日本では退職金の支給年齢が引き上げられたため、数年間収入なしの日々に耐えるか、中国大陸部や香港で働くかの2択しかないという。

 アイダ氏は現在、おもちゃやイヤホン、コーヒーメーカーなど、いくつかの製品の鋳型の生産を担当している。「日本は、もうモノを作らなくなりました。これからは自分の得た鋳型の知識と技術を、若い世代に伝えていきたい」。

 日本の技術者が中国で働いていることはあまり報じられていないが、これは「メイド・イン・ジャパン」の時代が過ぎ去り、中国企業に新たな技術力が注ぎ込まれたことを意味する。日本政府の統計データによると、現在約2800人の日本人が東莞で暮らしている。

 日本はこれまでにもハイテク人材の流失を経験している。約20年前、サムスンやLGなどの韓国企業に日本の人材が流出したことがあった。


▽中国製品の品質向上に有利

 アナリストは、「中国で『第2の人生』を歩み出したエンジニアは、最先端技術こそ掌握してないものの、日本企業にとってはやはり打撃であり、長期的に見れば深刻な影響を及ぼす。彼らは中国メーカーに、効果的に良質の製品を生産する技術をもたらす」との見方を示す。

 経営コンサルティング会社アーサー・D・リトル・ジャパンの川口盛之助氏は「鋳型製造などの技術はどれも、1つの会社が幾度も試験を重ね、大きな代価を払って蓄積したもの。日本の技術者の流出は、中国製品の品質を高め、より効率的な生産を可能にするだろう」と指摘する。

 アイダ氏も「中国人技術者の技術はこの10年で向上しました。中国に来たばかりのころは、壊れなければ良しといったレベルの製品が多かった。しかし彼らの技術は急速に追いつきつつあります」と語る。

 今や、日本人技術者の中国流出を阻止するのは不可能だ。三一重工、吉利汽車、BYDなどの中国企業は、技術向上のために日本人エンジニアを雇っている。これら大企業の他にも、中国には膨大な数の小規模メーカーが存在する。もちろん、全ての企業が日本人技術者を招けるほどの資金を持っているわけではないが、技術導入コストが昔ほど高くない、ということに気づく企業もあるだろう。


▽家族を養うために中国へ

 日本の技術者が中国へ来るのは、経済的な理由だけではない。働きたいという欲求を強く持つ人もいる。1998年にパナソニックを辞職したオカ・トミオ氏は現在、東莞の台湾企業で働いている。「当時は大手企業で働き、収入も安定していたので、家族には反対されました。妻からは離婚すると迫られました。でも自分の未来は自分で切り開きたい。誰かが敷いたレールの上を歩きたくないのです」。

 東莞での第二の人生には試練が満ちている。アイダ氏やオカ氏の働く東莞郊外の工業区には、日本の都市のような快適さ・便利さはない。

 唯一の交通手段はバスだ。タクシーの多くは白タクで、外国人は詐欺に遭いやすい。スリや泥棒も日常茶飯事だ。アイダ氏は「私は戦後の時代を経験しています。当時は日本も混乱していましたから、今の環境は私にとって全く問題ありません」と語る。

 かつて、韓国で働く日本の技術者は、技術を流出させたことから「裏切り者」と呼ばれてきた。しかし今、中国で働く技術者は、動機などについて質問はされるものの、それほど批判を受けていないという。

 オカ氏は中国で働く動機について、「家族を養うため」と答える。「60歳で定年になりますが、退職金をもらえるのは63歳か65歳。それまで何とかしなければなりません。中国で働くことに罪の意識はない、仕事をくれる人のために仕事をするだけです」。



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