2012年5月17日木曜日

■社会・論評  東電値上げと海外ツアーの「あこぎな」共通点


社会・論評  東電値上げと海外ツアーの「あこぎな」共通点
http://get.nifty.com/cs/catalog/get_topics/catalog_120514001586_1.htm
2012.05.1410:45
     
●物言わぬ利用者は負担を強いられる!?

東京電力が「自由化部門」の電気料金を4月1日から値上げしたのは、すでにご存じの読者が多いと思う。「自由化部門」とは、大口で電力を使う工場やビルなど、主に企業が該当するのだが、そこにはマンションも含まれる。個々の部屋は家庭用である「規制部門」の料金が適用されるが、マンション全体では出入り口や廊下などの電灯、エレベーター、そして給水などで多めの電気を消費するからだ。

2012年5月11日付の東京新聞によると、「自由化部門」の料金体系は、一般の「業務用電力」と「業務用季節別時間帯別電力」に分かれている。「季節別時間帯別」の契約は、「昼間より夜間の料金を低く設定する一方、夏季の午後のピーク時を割高にする」ものである。マンションの場合は、「業務用」よりも「季節別時間帯別」にした方が、電気代を節約できるケースがあるという。

にもかかわらず、東電が東京都内のあるマンション管理組合に対して、「割安な電気料金契約があることを説明していなかった」ことを同紙は報じている。なおかつ、東電側にクレームをつけたところ、「説明不足を認め、3月にさかのぼって『季節別時間帯別』に契約変更することに応じた」。3月にさかのぼるのは、なぜか。3月31日までに契約すれば、値上げ前の料金が今後1年間、適用されるからである。

つまり、東電の説明不足にマンション管理組合が気づき、クレームをつけたところ、東電はすぐに説明不足を認め、詫びる代わりに「3月にさかのぼ」った契約更新という特例を提案してきたというのだ。抗議すれば、割安料金への変更と3月末にさかのぼった値上げ前の料金での再契約が認められ、抗議しなければ値上げ後の「業務用」料金が適用されてしまう。こういうのを「あこぎな商売」という。

あえて料金体系を説明不足にして、分からない人や気づかない人からは高いカネを取る。分かった人や気づいた人からは値上げ前の料金や「季節別時間帯別」の料金を適用する。筆者は、海外旅行のツアー料金で似たようなケースを知っている。ツアー会社は、パンフレットなどで事前に手配内容を客に知らせる。ところが、現地に行ってみると、事前告知の内容と手配内容が違っていた、という場合がある。

食事の内容から始まり、見学コース、土産屋への案内などなど。極めつけは、「日本語ガイド」と言っておきながら、ほとんど日本語が話せないガイドが付いたりした場合だ。手配の内容に不服があれば、客は帰国後、ツアー会社にクレームをつけて、ツアー代が返金されることもある。しかし、泣き寝入りしてしまう客もけっこういるのが実情だ。悪質なツアー会社の中には、経費削減のために事前告知の内容よりも低質の手配を、わざと行うところがある。クレームを覚悟した上での手配である。

そうなると、ツアー会社としては、クレームをつけられ、返金するのがデフォルトとなるわけで、クレームをつけられなければ返金分が丸儲けになるという仕組みだ。東電の場合、クレームをつけられると、「業務用」と「季節別時間帯別」の差額分および値上げ後と値上げ前の差額分を、1年にわたって返金するものだと考えられる。クレームをつけなければ、「業務用」で値上げ後の契約となり、本来は返金すべき差額分が東電の丸儲けとなる。

●支店の敷地に動物の死骸を投げ込まれることも

ところで、記事に登場するマンション管理組合に対応した東電担当者は、「支店の管理職」であった。彼は同組合関係者に、「支店の敷地に動物の死骸を投げ込まれるなどの嫌がらせがあり、退職する社員が少なくない」と打ち明けたという。東電が無理矢理に原発を再稼働させようとしていることや、今回のような「あこぎな商売」をやっていることは、批判されてしかるべしである。だが、そのことと「支店の敷地に動物の死骸を投げ込」むことは、けっしてイコールの関係にはならない。

前述のような東電の姿勢は徹底して批判されるべきである一方、「支店の敷地に動物の死骸を投げ込」むような下劣なことをする輩も徹底して批判すべきであろう。



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