2012年5月22日火曜日

■「東京スカイツリー」きょう開業

■「東京スカイツリー」きょう開業
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye5035181.html
22日00:10 TBSニュース

高さ634メートルの「東京スカイツリー」がきょう開業します。初日のきょうは周辺施設とあわせ、およそ20万人の人出が予想されています。

「東京スカイツリー」は高さ634メートルの世界一高い電波塔です。「五重塔」の心柱を参考に、地震や強風に強い構造に設計されています。

きょうは午前中に記念式典が行われ、正午からは高倍率の抽選で個人向けの入場券を手にした人が、展望台「天望デッキ」にのぼります。夜には点灯式が行われ、LEDの照明でツリー全体がライトアップされる予定です。

312のテナントが入る都内最大規模の商業施設「東京ソラマチ」などでも開業を祝うイベントが行われ、運営会社によりますと、開業後1年の間に周辺施設とあわせ、およそ3200万人が来場する見込みだということです。





■スカイツリーで観光に厚みを 
2012/5/22付 日経Web

東京・墨田区にきょう東京スカイツリーが開業する。テレビ放送などを送信する電波塔であるとともに、眺望や買い物を楽しむ観光・商業施設の役割も担う。立地を生かし、東京や日本の魅力を広く発信する場として生かしたい。

スカイツリーと関連施設で年間3200万人の来客が見込まれている。きのうはまだ開業前にもかかわらず、外観を見物する客で一帯はにぎわった。周辺には新しい飲食店も増え、塔が間近に見える点を売り物にする既存の観光地や高層住宅も多い。観光施設として関係者や消費者の期待は大きい。

ただし新名所の効果を、単に地元の観光収入増にとどめるのは惜しい。ツリーが誕生するのは東京の都心から見れば東側の、いわゆる下町と呼ばれる地域だ。

伝統文化が根付き、工芸などの技術を持つ職人も多く住む。質の高いものづくりの潜在力は高い。こうした環境やコミュニティーのつながり、繁華街の多い都心西部に比べて低廉な家賃などに引かれ、若い創作家が工房や店などの活動拠点を都内の西から東へ移す動きもここ数年目立っている。

現代文化と伝統文化は都市の活気や観光の両輪となる。ツリーの開業で、浅草や両国、向島など周辺の街を含め下町地域の魅力を国内外に発信できる機会がぐっと増える。ツリーそれ自体のデザインや建設技術も大きな魅力になる。

日本が漫画、デザイン、アクセサリーなどポップカルチャーやファッションの発信に強いのは、江戸以来の文化が背景にあるとの指摘もある。東京の西と東、現代と伝統をうまく結ぶことで、日本の持つ文化的な厚みを海外に理解してもらう好機につなげたい。

事業主体の東武鉄道などは、ここを起点に日光や鬼怒川などの北関東、さらには東北へと周遊する旅行商品に力を入れ始めた。東日本大震災後、観光収入の減少に悩む地域だ。東京と京都を結ぶこれまでの外国人観光客のゴールデンルートに加え、第2の太い流れをつくることにも挑んでほしい。






■スカイツリー特需に沸くのは東武と浅草だけ!?
お膝元・墨田区の商店街に広がる期待と不安
http://diamond.jp/articles/-/18842
2012年5月22日  ダイヤモンドオンライン

世界一のタワー「東京スカイツリー」が今日、オープンする。同時に、タワーを含む複合商業施設「東京スカイツリータウン」も開業し、墨田区に初めての巨大観光地が誕生。ツリーと周辺施設への来客数は年間2500万人、地元への経済効果は880億円と見込まれている。しかし、スカイツリーのお膝元である墨田区の商店街は、かつてないほどの期待とともに、ただならぬ不安をも抱えていた。

最寄り駅の乗降客数は倍増も
地元商店街では期待と不安が交錯


 「おかげ様でスカイツリーが伸びるにつれてお客さんの数も増えてきましたよ。でも、開業したら中には300店舗以上ですからね。(ツリーの)外にまで人が来てくれるかどうか…。神のみぞ知るって、商店街のみんなが不安がってますよ」

こう話すのは、墨田区来訪者への情報提供をする「おしなりくんの家」でボランティアスタッフとして働く女性だ。

墨田区は、昔から「ものづくり」の街として発展してきた。「平成22年度 工業統計調査」(東京都)によれば、製造業の事業所は大田区、足立区に次いで23区中3位で、1032ヵ所を数える。小規模な事業所が多いが、付加価値額(1566億円)も3位とその技術力は高い。だがそのためか、これまで観光地としての評価は目立たなかった。スカイツリー建築中の2009年に行われた「地域ブランド調査」によると、墨田区の観光意欲度は全国1000の市区町村中260位だ。

とはいえ、スカイツリー効果で、翌10年には観光意欲度206位、情報接触度は73位から28位、認知度も84位から61位に上昇した。実際、10年4月に開館し、ツリー周辺の情報を発信してきた「東京スカイツリーインフォプラザ」には、今月6日の閉館までに57万人が来場。さらにツリー最寄り駅の乗降客数も、03年と10年を比較すると、東武伊勢崎線・業平橋駅(現・とうきょうスカイツリー駅)は770万人から1500万人へ、半蔵門線・押上駅では1100万人から2200万人へと倍増した。

スカイツリーをきっかけに観光客が激増し、いいことづくめに見える墨田区だが、実際には地元のみならず、周辺からも冒頭の女性のような不安の声が少なからず聞こえてくる。商店街などを含めたまちづくりに詳しい、東京23区研究所の池田利道所長も、そうした危惧を表明する一人だ。

 「開業後には2つの懸念があります。1つは、観光客の多くがスカイツリータウンだけで満足して帰ってしまうのではないかという点。もう1つが、スカイツリーを見終えた観光客が、お隣の台東区にある超メジャー観光地・浅草に流れてしまう可能性が高いことです」

特需は墨田区より台東区に?
“観光のプロ”の周到な仕掛け


台東区と墨田区を結ぶ「吾妻橋」。土日になると、スカイツリーの写真を撮る人で溢れている。
今回開業する「東京スカイツリー」は、その姿や展望だけが見どころではない。足元に広がる「東京スカイツリータウン」には、店舗数312を誇る商業施設「東京ソラマチ」、「すみだ水族館」、プラネタリウム「天空」などがあり、1日いても飽きない仕掛けが満載だ。ソラマチには、北海道の北一食品が経営する「回転寿司トリトン」や、よつ葉乳業の直営カフェ「ミルク&パフェよつ葉ホワイトコージ」など、関東や都内初出店の店舗も続々登場。ここに来なければ、滅多にありつけない商品が多いのも魅力といえる。

スカイツリータウンから浅草へのアクセスも良好だ。東武バスは、開業にあわせて『スカイツリーシャトル上野・浅草線』を本格始動。15分間隔の運行で浅草雷門まで10分と、使い勝手がいい。また、少し距離はあるものの、スカイツリーを見ながら隅田川沿いを歩いても、15分程度で到着する。

浅草寺、かっぱ橋など国内外に有名な観光地を持つ台東区内は、ほぼ全域でスカイツリーを見ることができる眺望抜群のエリア。登らなくても見るだけでいい、という人にはうってつけともいえる。浅草寺近くに店を構えるある店主は「ツリー完成前からお客様は増えていましたけど、GW前からは平日でも休日並みの人出ですよ。これからますます増えるといいんですけどね!」とホクホク顔だ。

こうした声の背景には、“観光のプロ”である台東区が、スカイツリー開業数年前から観光客増加をにらんでスタートさせていた、区内から顧客を逃がさないための様々な「仕掛け」があった。その1つが、商店街の景観整備だ。もともと05年に開通したつくばエクスプレス浅草駅完成に伴い、「江戸のまち」を演出した伝法院通りの整備をしていたが、その後、浅草寺へのメインストリートである新仲見世通りのシャッター、雷門通り沿いの商店街アーケードを改修。さらにかっぱ橋本通りでは、電柱撤去と地中線化も進めて、趣ある景観とスカイツリー全景がより楽しめるようになったのだ。

また、この4月には地上8階から浅草寺とスカイツリーが同時に眺められる「浅草文化観光センター」を開業。無料で利用できるこの施設には多くの観光客が訪れ、写真を撮り、満足している姿が見受けられる。さらに、区内を回遊する仕組みとして、循環バス「めぐりん」を2001年から運行。現在では北、南、東西の3ルートがあり、上野や浅草、谷中銀座、かっぱ橋などの観光地を1回100円、一日乗車券なら300円の運賃で巡ることができるのだ。

 「今回の開業による経済効果880億円のうち770億円は東武への効果だって声がある。しかも残り110億円の半分以上は浅草だって言うから、墨田はどうやってお金を落としてもらうか、大きな課題だよ」(墨田区商店街関係者)

スカイツリーの恩恵を小さくする!?
2000年「大店法廃止」の弊害


では墨田区は、どのような策でスカイツリータウンや台東区に対抗しようとしているのか。

もともと観光地としてメジャーな街ではなかった墨田区は、国内外から注目が集まるスカイツリー開業前後の期間を“国際観光都市すみだ”のまちびらきと位置づけ、観光誘客キャンペーン「すみだ観光まちびらき」を展開している。


総額2億3000万円分の「すみだプレミアム商品券」。
区内の商店街で買い物をすると、「すみだポイント」が倍以上になることも。

その取り組みのひとつが、スカイツリーから区内への観光回遊性を高めるため、3月から3路線で開始した区内循環バスの運行だ。また、墨田区商店街では加盟店で1ポイント1円として使える「すみだポイント」や電子マネーを導入。さらに、景気対策として総額2億3000万円分の「すみだプレミアム商品券」を発行した。この商品券は1万円で1万1500円分買い物ができるため、あっという間に完売してしまったようだ。

しかし、中小の商店主の間では不安もくすぶっている。
墨田区商店街連合会の山田昇会長は言う。

 「大店法の廃止によって瀕死の状態に陥っていた墨田区の商店街にとって、確かにスカイツリーは救世主ですよ。黙っててもお客さんが来るんだから。でも、いいのは押上や錦糸町などの一部だけ。他は今までと変わらないよ」

大店法(大規模小売店舗法)とは、大規模小売店舗の事業活動を調整することにより周辺の中小小売業者の事業活動保護を目的とした、1974年施行の法律だ。当初は500平方メートル以上の店舗の出店が規制されていたが、94年の改正で1000平方メートル未満の出店が原則自由化、2000年には廃止に至る。その影響で墨田区にも大手の大型スーパーが続々出店し、価格競争力の弱い中小小売業者は廃業に追い込まれ、多くの商店街が「シャッター街」になってしまった。影響は現在もボディーブローのように効いており、いくらスカイツリーの恩恵があっても、かつての商店街の姿に戻すことは困難なのが現状だ。

さらに山田会長は、商店主の中には観光客向けの新たな施策への取り組みに積極的ではない人たちも少なからずおり、課題も多いと語る。

 「すでに弱り切っている商店も多いから、仕方ない。だから今は、やる気のある区内の店でバーチャルショップ(eすみだ商店街)をやったりしてるよ」(山田会長)

若者や中年夫婦が続々と訪れる
本物の「昭和レトロな商店街」とは


下町人情キラキラ商店街。この日は大雨だったため人出はまばらだったが、土日になると多くの人で溢れるという。
そんな墨田区内に、今もっとも注目されている商店街がある。それが向島橘銀座商店街、通称「下町人情キラキラ橘商店街」だ。

大通りから商店街のある細い路地を入ると、まるで昭和30年代にタイムスリップしたかのような錯覚に襲われる。自転車をこぎながら住民と挨拶を交わすおまわりさん。お客に威勢よく声をかける八百屋のご主人…。すでに多くの商店街から姿を消している魚屋も、なんとこの商店街ではまだ3軒も営業している。数十年前の日本ならあらゆる地域で見られた風景を残す、昭和が今に生きる商店街だ。

とはいえ、シャッターの閉まった店も少なくない。この商店街で肌着屋を営みながら商店街理事も務めている「肌着の大和」の大和和道社長は、住民の高齢化に伴って顧客が減少し、さらに後継者不足にも悩む商店街を盛り上げようと、地元住民だけでなく、観光客にも喜ばれる様々な試みを続けてきた。

昭和55年から約30年間、月1回の「朝市」を続けていることはもちろん、新たな取り組みとして下町すみだのアイドル「キューピッドガールズ」を結成したり、女性専用トイレがある休憩施設「おやすみ処 橘館」を設置している。今後は商店街にある田丸神社を、お金が「貯まる」神社として売り出していく予定だ。

ただ、もちろん今までの懐かしい商店街のテイストを変えるつもりはない。「本物の懐かしい雰囲気こそが、アミューズメントパーク」(大和社長)だと考えているからだ。実際、スカイツリーの開業を前に、同商店街を訪れる観光客は増加しているという。

 「最近ではいかにも学生というお客さんや中年のご夫婦が、区の循環バスに乗って来てくれるようになりましたよ。きっと若い方にはもの珍しくて、中年の方には懐かしい場所なんでしょうね」(大和社長)

もちろん課題も残る。観光客が多く訪れる日曜日に休む店が少なくなかったりと、観光への意識が高い店ばかりではないからだ。大和社長は最後にこう語った。

 「大型店は“動物”と一緒で、“獲物”がなくなったらいなくなってしまう。でも我々商店街は“植物”だから、いつまでも根を張っていられるんだよ。だから、枯らさないためにもお客さんにはたまにでいいから“肥料”を与えてもらいたいね」

時代はファストから“ゆる系”へ
半年後には「下町」が賑わう!?

スカイツリーの開業によって、大きなチャンスを得た墨田区。しかし、“観光初心者”の同区にとって、大きなライバルの存在や地元の温度差など、課題は山積している。

だが、商店街などの「街歩き」を約20年続けているという船井総合研究所の上席コンサルタント・岩崎剛幸氏はこう指摘する。

 「確かに開業直後からしばらくはスカイツリーも非常ににぎわうでしょう。しかし、時代のトレンドは今、“ファスト”から“ゆる系”に向かっています。すぐに良い影響が出るわけではないかもしれませんが、これを機会に半年もすれば、今まで接点がなかったこうした下町エリアが見直され、日本の良さを見直そうという動きが強まるんじゃないでしょうか」


墨田区は、ものづくりの街としてのPRと地域活性化を目的に、約30年前から「マイスター制度」を始め、付加価値の高い製品をつくる技術者を「すみだマイスター」として認定してきた。そんなマイスターの作品を紹介する場所として、区内には「小さな博物館」と「すみだ工房ショップ」が二十数ヵ所ある。羽子板資料館に屏風博物館、ブレーキ博物館など、珍しい博物館ばかりだ。

似たような大型商業施設が続々と誕生し、商品の入れ替わりが速くなっている現代。しかし、それが当たり前になっているからこそ、昔ながらの商店街の懐かしさやゆるい雰囲気が希少価値を持つともいえる。では、そうした点に価値を見いだす中級~上級の観光客を取り込むにはどうすべきか。それには、ものづくりの街ならではの「良いものを作っていれば売れる」という職人気質を少しだけ忘れ、「客が何を望んでいるか」を意識する商人気質を持つことが、第一歩となるのではないだろうか。



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