2012年5月18日金曜日

■【コラム】 北京に天壇エンターテイメントゾーン


【コラム】 北京に天壇エンターテイメントゾーン
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2012&d=0518&f=column_0518_016.shtml
2012/05/18(金) 10:44
 
 5月11日、北京市政府と香港中旅グループが天壇エンターテイメント・ゾーン・プロジェクト実施についての取り決めに調印した。

 これは北京が大きく様変わりすることを意味する戦略的なプロジェクトであり、完成のあかつきには北京は、新しい姿で近代化した中国の世界的な都市としてイメージチェンジすることであろう。

 日本の人たちに分かりやすい表現で説明するなら、これは北京の都心の南東部に、三つぐらいの「宝塚」が現れることに等しい。

 新中国の建国当初、北京には首都鉄鋼公司といった日本の新日鉄のような企業やその他さまざまな工場があったが、環境保全を重視する時代に入るにつれて、これらの工業地帯の存在は大気汚染源となってしまった。2008年の北京オリンピックの開催を前にして、これらの工業企業を各地に転出するか、転廃業することになった。つまり、新しい北京の姿を模索する時期に入ったわけである。都市計画の専門家たちはいろいろな案を持ち寄って討議を重ね、一歩一歩仕事をすすめていった。

 今では北京のシリコン・バレーといわれる中関村も形をなすに至ったし、広大な地域に展開するCBD(中心ビジネス区)も姿を現わした。そして金融機構の集中する地域も現れ、亦荘開発区も形をなすに至った。囲碁で言えば序盤と中盤が形をなすに至ったわけである。この時期に、郊外区の建設や緑化も着々とすすめられた。メディアでは、世界各国の在外公館、多国籍企業のアジア本部が集中する北京は、クリエイティブ産業、第三次産業にもっと力を入れるべきではないか、と都市計画者たちが提言していた。今度の天壇エンターテイメント・ゾーン・プロジェクトは中盤における重要な布石と見てよい。

 なにしろ、総面積58万余平米で、域内に湖が3つもあり、座席数1000以上の大劇場が2ヵ所、座席数600の中規模の劇場が1ヵ所、座席数200の小劇場が1ヵ所という一大エンターテイメントゾーンが現れるのである。さらに北京遊楽園、竜潭湖公園のこの2つだけで42万平米もあり、その域内に大劇場5、中劇場4、小劇場6ができるらしい。その付近に大きな広場があり、面積は3万平米。

 天壇エンターテイメントゾーンは中国の造園芸術の理論を取り入れ、北京市民の好みに合わせた作品を演じる劇場をつくるとともに、地方の作品や外国の作品も演じることになっている。

 これは実に壮大な構想であるが、将来的には交通手段、グルメ街、ショッピング・ゾーン、地方から来た人たちの宿泊施設、消防施設など細かい詰めも必要となろう。将来的には、北京の第三次産業の比率を高めると言われてきたが、これは重要な布石であろう。しかし、前進することばかりに気を取られてはならない。これだけの面積の中を動く人の流れをいかにソフトにコントロールするかなど、未知の事柄もかなり存在することをあらかじめ考えておくべきであろう。



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