2012年6月15日金曜日

■「成功」に焦る中国の若者、 ストレスから30代で退職を口に


「成功」に焦る中国の若者、 ストレスから30代で退職を口に
http://j.people.com.cn/94475/7846651.html
「人民網日本語版」2012年6月15日

 中国の大学卒業生が就職活動真っただ中の6月、中国の経済誌「数字商業時代」は、IT業界で35歳になっても成功できていなければ、「タイムアウト」とする記事を掲載し、IT業界全体に物議を醸しだした。今、IT業界に入りたいと考える若者は多いが、同業界に現在携わっている人は自分の現状についてどんな見方をしているのだろう。彼らにとってどんなことが不安の種なのだろう。中国中央人民ラジオ局「中国の声」の番組「新聞晩高峰」が報じた。

 ここ10年ほど、中国では、百度やテセント(騰訊)、アリババ(阿里巴巴)などインターネット企業の台頭が顕著で、大産業の一つとなっている。そして、社会経験のほとんどない若者でも同業界で成功を収めることができるという現象も起きている。実際に、胡潤(フージワーフ)研究院が5月24日に発表した若手の資産家ランキング「2012年胡潤少壮派富豪榜」でも、IT業界からのランキング入りが最も多かった。そのため、IT業界なら簡単にお金儲けができると考える人も多い。この点、大手不動産開発企業・華遠集団の任志強総裁は3月、IT企業のトップらが集うサミットで、「中国ではIT業界に携わっている人がいとも簡単に成功できるため、マイホームを買う人の平均年齢が20歳代にまで下がっている。この数字は、英国や日本、米国などよりもはるかに低い」と指摘した。


▽IT業界関係者は30歳で退職について考え始める

 それでも、インターネット産業の台頭により、社会の人材に対する要求は高まり、適者生存という状況が加速している。そして、今職場では80年代生まれの若者も中堅世代となりつつあるが、30歳というと「タイムアウト」の年代と見られるようになっている。大学卒業後すぐにIT業界に就職したという趙さん(28)は今、「残業が非常に多い。プロジェクトの後期になると、ほとんど毎日夜中の2時や4時まで働いている」と悲痛な思いを語る。

 一方、IT業界ですでに、ある程度の結果を出している人にとっても自分の将来に関しては、なかなか楽観的にはなれないようだ。オンラインゲームの会社で商品の研究・開発に携わる李・経理(31)は、「結婚した後は、早めに引退したい。この業界は本当に大変。毎日基本的にはパソコンの前に座っているだけだが、いろいろストレスになることも多いから」と早くも退職のことを口にしている。


▽焦る30代の若者

 中国の思想家・孔子はかつて「三十歳にして立つ」と言ったが、今の若者が持つ「三十歳になっても立てない」という焦りは、IT業界に限ったものなのだろうか。このような焦りをどのように解消し、ポジティブな気持ちに転換していけばよいのだろうか。

 中国最大の求職サイト「猟聘網」の創始者、戴科彬・最高経営責任者(CEO)は、80年代の人々の「焦り」について、「このような現象はごく普通に見られ、80年代生まれの人々の焦りは深刻。特に困難に直面したときに助けが得られない場合や、さらなる成功を望んでいる場合に顕著となる。このさらなる成功というのが、収入や今後の発展、達成感などと直接かかわってくる」と語った。

 先進国では、このような焦りや困惑は働く人の中でも45‐55歳の人に見られるのが一般的。ところが、中国ではそれが、10年早い30代から見られる。現在、このような悩みを抱え困惑している若者はどうすればいいのだろう。

 この点について、戴CEOは「キャリアアップにおけるボトルネックとは何かといえば、職場で自分の求めるものが得られないことだ。まず自分の年齢や能力を超えたものを求めてはならない。2つ目に、職場では自分の技能を継続して高めることが必要だ。そうすればチャンスは自ずと巡ってくる。特に自分の学習能力は肝心。3つ目に、職場で不平不満をあまり言ってはならない。不満を避けるなら、自分が在籍するチームやその上司は協調性のある人、困難にも進んで立ち向かう人と見てくれるようになる。そうすれば、将来自分のことをもっと必要としてくれるようになる」とアドバイスしている。



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