2012年7月1日日曜日

■関空・伊丹一体で合理化 きょう統合


関空・伊丹一体で合理化 きょう統合
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/osaka/news/20120701-OYT8T00080.htm
2012年7月1日  読売新聞

  関西、大阪(伊丹)両空港が1日、統合され、運営が4月に設立された新関空会社に引き継がれる。新会社は2014年度にも両空港の事業運営権を民間に売却し、関空が抱える1兆円超の負債の一掃を目指す。三井住友銀行の副頭取から、新会社社長に抜てきされた安藤圭一さん(60)に意気込みを聞いた。(諏訪部敦)

 ――抱負を。

 「運営権の売却に向け、両空港の価値を高めることが、最大の責務。アジアでの都市間競争は激しいが、関空がアジアの玄関口の役割を果たすべきだ。両空港を行き来する人や物を増やせば、関西、日本に活力が生まれるはず」

 ――可能性は。

 「関空は3500メートル、4000メートルの2本の滑走路をそろえ24時間運用が可能、伊丹は利便性の高い都市型空港というように、強みを持っている。これまで、異なる主体で運営されていたため、合理化の余地がある。それぞれの特性に応じて有効活用し、関西圏の航空輸送需要を拡大させたい」

 ――前職は銀行マン。

 「日本航空の経営再建や、パナソニックの三洋電機買収に携わった。いずれも経営課題を冷静に分析し、克服させて企業価値を高めるのが最大の仕事だった。そのノウハウは空港統合に生かせる。日本航空の再建で、世界の航空業界の現状を知ることもできた」

 ――統合に加われなかった神戸空港は。

 「神戸空港の問題は大きな課題と認識しているが、まずは関空、伊丹の統合をしっかりやることが大事」

 ――関西への思いは。

 「岐阜県出身だが、大学生の頃から両親は兵庫県宝塚市に住んでいる。大阪勤務も通算で16年強になった。古里のような存在の関西のため、統合を成功させたい。物事には本質があり、そこを外してやってもうまく進まない。奇手、妙手はない。座標軸をしっかり持ち、真っ正面から問題に対応していきたい」

◆利便性向上へ試行錯誤

 関西、伊丹両空港の事業運営権売却の成否は、いかに利便性を高め、利用者を増やすかがカギとなる。統合をきっかけに、両空港では早速、試行錯誤が始まっている。

 関空では1日、駐車場料金が値下げされる。24時間の料金を4000円から2500円に下げ、2~6日目は24時間ごとに1500円(従来は2000円)、7日目以降は1000円(同)を加算する。1週間駐車した場合、従来より5000円安い1万1000円となる。

 関空と伊丹の間を飛行機の乗り継ぎで移動する乗客に対し、バスの無料化も検討中だ。空港間の行き来を便利にし、地方からの旅行客を取り込む狙いもある。

 海外の空港では、トランジット客向けの格安短時間ツアーの企画や商業施設の強化など、空港利用者以外も含めた様々な誘客策をとっている。

 世界の空港事情に詳しい大阪商大総合経営学部の横見宗樹准教授は「旅客が増えれば、商業施設も含めた空港全体の収益があがって着陸料が値下げできる。それでさらに旅客が増えるという好循環が生まれる」と話す。



0 件のコメント:

コメントを投稿