2012年7月24日火曜日

■熾烈さ増す中国タブレットPC市場、「iPad」が圧倒的ブランド力


熾烈さ増す中国タブレットPC市場、「iPad」が圧倒的ブランド力
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2012&d=0724&f=column_0724_015.shtml
2012/07/24(火) 08:28

中国インターネット調査 コンジョイント分析(ACA)の事例 第3回

(1)中国人消費者の嗜好傾向を読み解く
 中国消費者のタブレットPCに対する志向性を把握する調査で、最も重要視されているのが「ブランド」で、そのなかでもアップルの「iPad」が最も好まれていることが明らかになった。

 「iPad」に次いで好まれているブランドはサムスン「GALAXY Tab」とソニー「Sony Tablet」であったが、「iPad」のブランド力がこれらのブランドを圧倒している格好となっている。

 これは、中国消費者に対するインターネット調査で、コンジョイント分析(ACA)の手法を通じて割り出された調査結果。2012年6月に行われ、有効回答数は433人。サーチナ総合研究所(上海サーチナ)が企画、設計、実査した。

 なお、コンジョイント分析は、いくつかの特徴を組み合わせたプロファイル(仮想の商品)を回答者に提示し、比較検討してもらう調査手法。属性の重要度を直接尋ねるアンケート方法と異なり、実際の商品選択により近く、信頼性の高い結果を得られやすい。

 調査によれば、タブレットPCに関する各属性の重要度は次のようになった。

 ブランド:16.75
 OS:15.03
 記憶容量:14.72
 価格:14.63
 パネルタイプ:13.36
 ネット接続方法:12.78
 スクリーンサイズ:12.74

 この調査データから、中国人消費者がタブレットPCを比較検討する際、「ブランド」を最も重視し、次いで「OS」「記憶容量」「価格」「パネルタイプ」といった順で重視していることが分かる。ただし、各属性の重要度にさほど大きな差がないことには注意する必要がある。

(2)中国で「iPad」のブランド力は圧倒的
 次に、「ブランド」の効用値(好みの度合いを表す数値)について詳しく見てみよう。

 アップル「iPad」の効用値は53.5633。サムスン「GALAXY Tab」の効用値は16.6023、ソニー「Sony Tablet」は13.3916、レノボ「楽Pad」は7.3381。アップル「iPad」の効用値が圧倒的に他ブランドよりも高く、中国において「iPad」が極めて強く「好まれている」ことが分かる。

 また、このデータからもう一つ分かることは、これら4ブランドの効用値はいずれもプラスになっているのに対し、ASUSやモトローラなどの効用値はマイナスになっているということ。

 コンジョイント分析においては、効用値がプラスの場合、「より好まれる」ことを表し、マイナスの場合は「より好まれない」ことを表す。アップル、サムスン、ソニー、レノボのタブレットPCは「好まれている」が、ASUSやモトローラなどのタブレットPCは「好まれていない」ことが、調査結果から読み取れる。

 中国人消費者がアップルを支持する気持ちの強さは、消費者たちの行動にも表れている。たとえば2010年7月に上海初となる「apple store」浦東店がオープンした際には、巨大なガラスのオブジェのような入り口を、消費者が幾重にも囲い込むように列をなした。2010年9月に「iPad」が発売された際には、上海のアップルストアには前日から長い列ができた。アップルが中国でアクションを起こせば、中国人消費者は熱狂的にそれを迎え入れてきた。

(3)アップルは中国で勝ち続けることができるのか
 中国人消費者から強い支持を得ているアップルの「iPad」だが、今後もこの優位性を保ち続けることができるだろうか。マイクロソフトの「Surface」や、グーグルの「Nexus 7」がタブレットPC市場に参入してきていることを考えると、競争はますます厳しくなることが予想される。

 また、各社が高い性能の機種を市場に投入するに伴い、性能に対する消費者の要求も益々高くなってきている。それは今回の調査結果からも伺える。

 たとえば「記憶容量」の効用値について見てみると、「32GB」「64GB」「128GB以上」の効用値はプラスとなっているが、「16GB」「8GB以下」はマイナスとなっている。このことは、中国人消費者が「16GB」をすでに「好んでいない」ことを意味している。

 12年7月20日に中国で発売されたばかりの「The new iPad」には「16GB」の機種があるのだが、中国の消費者は「16GB」という記憶容量に対して、もはや満足していない。

 業界内の競争が熾烈になる中、性能面で他社を上回り続けることは、アップルといえども容易ではない。そうしたことを見据えてか、同社はアプリやサービスの魅力を向上させる戦略へと舵を切り替えようとしているようだ。そのことを裏付けるように、「The new iPad」の発表会では、ハードのスペックよりも、写真加工アプリ「iPhoto」など新しいアプリの説明に多くの時間を割いている。

 現在中国では、「iPad」のOSである「iOS」に対する支持は強い。調査データを見てみると、「iOS」の効用値は30.8357となっており、「Android」の13.6984、「Windows Phone」の10.1978  を大きく上回っている。アップルは今後、このリードをさらに広げることができるのであろうか。(編集担当:森川慎一郎・サーチナ総合研究所研究員)



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