製造業離れを払拭せよ!大連の企業が挑む学生向け短期企業研修
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2012/7/2 Tweet!by川人 由美 on
1984年に中国初の経済技術開発区に指定され、以降大連市による外資系企業への優遇政策および積極的な誘致活動により、大連には大手メーカーや商社を含む多くの日系企業が進出し、大連経済の発展や、数十万人に及ぶ現地雇用において大いに貢献を果たしてきた経大連済技術開発区(通称:開発区)。
しかしながらここ数年で中国人新卒学生らの日系企業離れの傾向が見られるという。中でも現場勤務のイメージが強く、四大卒の学生が活躍できる場があるのかどうかという誤解があるという点で、製造業においてはそれが顕著になっており優秀な人材獲得に頭を悩ませていると聞く。
そんな現状を打破すべく、YKK大連総経理佐々木慶弘氏の声がけにより、製造業をはじめとした日系企業数社との協力の下計画されたのが、次世代の社会を担う大学生向けの短期企業研修「Gap Challenging Program」。この7月に初の試みとして実施されることが決まった。
学生の「自分は能力があり、社会で一流の仕事ができるはず」という考えに対し、企業側の「組織で活躍する事が苦手で人間力が弱い新卒大学生」という考えのギャップを少しでも早く気づかせ、自己研鑽させる意図が汲まれている。
佐々木氏は2010年に大連工場に着任以降、「社員が働きやすく自己成長できる環境づくり」を掲げ、教育の充実、社員食堂や寮などの食住環境の大幅な改善から、従業員間交流の場としてサークル活動の支援など、施設整備や増設をわずか1年足らずで完成させてきた。今働く社員のモチベーションの維持、向上に対しての課題はクリアしたものの、今度は新しく迎え入れる未来の社員たちへ向けた「働きたくなる会社」をイメージさせることを狙う。
このプログラムは、そもそもYKKが本拠を多く富山県との相互協力で地域貢献活動として企画されたもので、今どきの内向的な日本の若者(大学生)らに、もっと海外へ目を向けさせるチャンスをつくるべくインターンシップ制度の一環として、来年3月の実施に向け準備が進められていた。
そこで日本に限らず地域貢献の意味でYKK工場を置く大連においても同様の活動を行ってはどうかという想い、そして上述の新卒学生の製造業離れの傾向を解消するきっかけになればという。中国において大学の卒業や年度が替わる夏のタイミングで、日本より一足早い実施となった。
今回は大連外国語学院(大外)の日本語学科の2年生、3年生20名を対象とし、夏休み中にも関わらず参加を希望する意識の高い優秀な学生らが集まった。2、3年生という早い段階の学生を対象にしたかという点について佐々木氏は、まずは企業というものを知り、就職活動や卒業までの数年の間に、自分がそれまでにやるべきこと=問題意識を提起させ、考え、学ぶ期間を与えるためという。
研修期間は約1週間。研修の中で、現場業務のみならず人事、総務、財務部門で活躍するなど、参加学生らにキャリアパスを描いてもらうための組織的構造の理解からはじまり、YKKをはじめとし、アイリスオーヤマ、三菱電機、伊藤忠の企業説明見学会も実施される。
また現在政府機関で活躍する大外OBらによる講義、人材会社による就活講座が設けられ、かなり充実したスケジュールとなっている。参加学生はYKK工場寮にて宿泊し、社員食堂で食事を摂り、実際入社したときの自分をイメージすることもできる。これも佐々木氏の狙いだ。
「大連の最近の傾向として、数校の大学が郊外移転となり、周囲に何もなく閉鎖的な学内で寮生活を送り、卒業するまで社会でのアルバイトを経験がない学生も多いと聞く。そんな彼らにとってもこの研修は社会を知る絶好の機会であり、学生にとっても、企業にとってもポジティブな動きが生まれれば」と佐々木氏は語る。
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