「世界一」の日本モバイルネットサービスがアップルに勝てない理由
http://japanese.china.org.cn/business/txt/2012-07/05/content_25827300.htm
「中国網日本語版(チャイナネット)」2012年7月5日
典型的な日本人の生活はこんな感じで始まる。朝8時、シャープ製の携帯電話を取り出す。携帯割引券を使ってマクドナルドの朝食を買う。会計も携帯で済ます。その後、携帯の地図でこれから行く路線を確認し、地下鉄の改札では携帯をかざして通過する。出社までの数十分間、携帯を取り出し、その中の豊富なサービスを楽しむ。まずGREEの提供するソーシャルゲームをし、eBook Japanにある最新漫画を読み、Mixiのソーシャルメディアサイトで友達が何をしているのかをチェックする……。
日本人は外出時、携帯を持っていれば、基本的に全てのことが処理できる。これほど発達した携帯電話によるインターネット環境は、5年前に構築されたものだ。
「これまで、多数のアメリカの技術系専門家が日本視察に訪れてきた。彼らはNTT DoCoMoやニンテンドーの無線設備が提供する機能(および速度)に驚き、思わず自分の持っている古臭い携帯をポケットに仕舞い込んだものだ。」これはモルガンスタンレーによる、携帯インターネットサービスに関する報告書の冒頭である。21世紀初頭から長い間、NTT DoCoMoを代表とする日本企業は、携帯インターネットサービスに従事する全世界の人々の聖地だった。当時のシリコンバレーは、日本に比べたら僻地でしかなかった。
2007年にアップル社が売り出したiPhoneがブレークしてから、アメリカが日本に取って代わった。人々はアップル、Googleを新たな聖地と捉えるようになった。それは日本でも同様だった。それでも日本の人々は今、世界で最も良好な携帯電話サービスを享受している。
日本の携帯インターネットサービスの始まり
中国やアメリカと違って日本では、まず携帯によるインターネットサービスがあった。その後、インターネットが発展した。日本の3Gユーザーの割合は依然として世界最大で、90%以上に上る。
発達した通信ネットワークが、日本のすべてのモバイルネットサービス産業を加速度的に成長させた。携帯電話の音楽、携帯電話の書店、携帯電話での支払、携帯電話のゲーム、携帯電話での動画鑑賞など、様々なサービスが発達し、GREEやDeNAといったインターネット企業が成長した。
日本のモバイルネットサービスの大部分は、通勤中に使われる。不動産価格の高騰により、ほとんどの日本人が都市郊外に住んでおり、毎日公共交通機関を使って通勤している。通勤時間中に携帯サービスを利用することが最も流行っている。
この数年日本経済はパッとしないが、携帯によるソーシャルゲームは過去10年の日本経済で最大の成長を見せている。この市場の成長は驚くべきもので、GREEの最新の業績は190%の成長率だった。GREEによると、2012年の営業収入は22億ドルに達する見込みである。一方、8億のユーザー数を誇るFace Bookは37億ドルである。日本市場におけるGREEのユーザー数が2890万人でしかないことを考えると、驚くべき高い収益であることが分かる。
日本のモバイルネットサービスの中で最も評価すべきは「おサイフケータイ」だろう。日本の各通信キャリアは、全国のコンビニ、地下鉄、レストランでおサイフケータイが利用できるようにしている。まさに携帯がおサイフになっているのだ。
2007年にアップルがiPhoneを売り出した時、日本最大のキャリアであるNTT DoCoMoはiPhoneの取り扱いを熱望した。しかしアップルとの交渉は失敗に終わった。NTT DoCoMoが擁するサービスをiPhoneに組み入れることを、ジョブズがきっぱりと拒否したからである。
その後、孫正義が率いるソフトバンクが日本でiPhoneを売り出すことになった。この革命的な携帯端末は、当初こそ売れ行きは芳しくなかったが、使い勝手の良いiPhone 3GSやiPhone 4が売り出されると、iPhoneブームが日本国内で起こった。
日本の通信キャリアが構築した各種携帯サービスが相当に強力だったとはいえ、iPhoneのようなスマートフォンの使い勝手は、日本的な携帯よりはるかに優れていた。現在、日本の三大キャリアは、様々なAndroidスマートフォンを売り出すようになった。
最後のよりどころ
2011年は日本のスマートフォンユーザーにとっての「教育年」だった。日本の大きな携帯売り場のほとんど全部がスマートフォンに取って代わったのだ。
日本の機能的な携帯がスマートフォンに変化するまでの過程は、アメリカよりはるかにゆっくりだった。現在、日本のスマートフォン普及率は15%前後であり、アメリカの35%と比べて非常に低い。これまでの機能的な携帯が、すでにほとんどの需要をカバーしていたからである。
日本の通信キャリアが主導するこれまでのモバイルネットサービスは、本質的に閉じられたものだった。このモデルによって、日本の携帯インターネットサービスは急速に発展してきた。しかしキャリアが全てを握ることによって、資源を限定させる状況をもたらし、またこのモデルが複雑すぎたことから、アップルのような「iPhoneプラスApp Store」のような臨機応変な対応ができなかった。
モバイルネットサービスをスポーツカーにたとえるならば、3Gは高速道路だといえる。この高速道路の品質は、そこを走る車がどれだけ速いかで決まる。キャリアにとって最も重要な任務は、この高速道路をいかに良く作るかにあり、スポーツカーを作ることではない。
中国のモバイルネットサービスというスポーツカーがどれほど速く走れるかは、通信キャリアが高速道路をどれほどうまく作れるかにかかっている。起業家たちは今、急いでスポーツカーを作る必要はない。
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