2012年7月20日金曜日

■米郵政公社、デフォルトに近づく-議会に行動訴え


米郵政公社、デフォルトに近づく-議会に行動訴え
http://jp.wsj.com/US/Politics/node_480288?mod=WSJWhatsNews
2012年 7月 19日  11:09 JST

 業績低迷が続く米郵政公社(USPS)をどう再編するかをめぐる連邦議会での議論が長引く中で、同社の資金繰り問題は悪化の一途をたどっている。

   郵政公社は18日、議会が何らかの措置を講じなければ、将来の退職者向けの医療保険基金に対して法的に義務付けられている年間55億ドル(約4334億円)の支払いが期限の8月1日までにできず、デフォルト(債務不履行)に陥ると改めて強調した。下院が8月の休会に向けた準備を進めているため、議会が行動する可能性は低い。

 郵政公社は、この支払い(2011年分)が滞ってデフォルトになっても、サービスに直接の影響が出ることはなく、従業員や納入業者への支払い能力にも問題は生じないとしている。しかし、同社の広報担当者は「こういった流動性をめぐる問題が続くことで、郵政公社の存続に対する顧客の信頼が不必要に損なわれてしまう」と述べている。

 郵政公社に抜本的な再編が必要だという点では、ほぼみなが同意している。同社は2012年度第2四半期(1~3月)に32億ドルの損失を計上した。第3四半期の決算は8月9日に発表される。同社は郵便物の取り扱い量が減っていることや、議会が06年に将来の退職者向けとして年間数十億ドルを留保することを義務化したことなどを不振の要因に挙げている。上院は郵政公社の改革法案を可決したが、下院は8月の休会後まで下院自身の案を審議する予定はないとしている。

 上院と下院の対応には大きな差がある。上院は4月、郵政公社の財務基盤強化などを目指した法案を超党派で可決した。この法案は、連邦職員年金システムに超過支払いしていた推計109億ドルを郵政公社に戻すなどを盛り込んでいる。しかし、郵政公社が郵便局を閉鎖したり、土曜の配達をやめたりする権限を制限している。

 一方、下院の共和党指導部は、民間企業に近い経営を郵政公社に義務付ける法案を支持するとし、具体的には軍隊型の基地閉鎖委員会のようなものを設立して郵便局を閉鎖することなどを提案している。しかし、農村地域選出の一部の下院議員は、民主・共和を問わず、地元選挙区の郵便局が閉鎖されることを憂慮している。

 下院法案の提案者であるデニス・ロス下院議員(共和、フロリダ州)の首席補佐官フレデリック・ピッコロ氏は、上院の法案は下院案にあるような「抜本的な包括改革」が欠如しているとし、下院としてはそのような上院案の財務救済は検討しないだろうと述べた。そして「下院案は十中八九、8月の休会前に表決されないだろう」と話した。

 これに対し、上院の法案の共同提案者であるトム・カーパー上院議員(民主、デラウェア州)の事務所は18日、「改革法案が可決されないまま1日が過ぎるたびに、郵政公社は一歩崩壊に近づく。そして残念なことに下院の指導部は崩壊を覚悟しているように見える」と述べた。

 郵政公社はまた、9月末までに議会が行動しなければ、9月30日に期限の到来する2012年分の退職者健康保険支払い(11年分と同じく約55億ドル)についてもデフォルトに陥るだろうと警告している。

記者: Jennifer Levitz  



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