2012年8月5日日曜日

■【萬物相】不況型の休暇 韓国


【萬物相】不況型の休暇
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/08/05/2012080500436.html
2012/08/05 10:19 朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

 フランス・パリの都心を流れるセーヌ川のほとりに、今年も長さ800メートルの人口海岸が2カ所作られた。パリ市庁が7月20日から1カ月間開催するイベント「パリ・プラージュ(プラージュは海岸の意)」だ。3000トンもの砂と砂利を敷き、セーヌ川の水辺を「ビーチ」に仕立て上げた。ここでは黄金のバカンスシーズンに海に行けない市民たちが夏を過ごす。家族と手をつないで川の風に当たり、日光浴を楽しみ、家族だんらんの時間を過ごす。パリ・プラージュは誰でも無料で利用できる。他のフランスの海岸と異なるのは、トップレス姿が許可されていないという点だ。

 英国人は、3月末から4月初めの復活祭の休暇にこぞって海外旅行に出掛ける。しかし、今年は様子が違っていたという。復活祭の週末に当たった4月6日、ロンドン歴史博物館に人々が殺到し、45分も並んで待たなければならなかった。不況の影響で、人々が遠出を避けて都心で過ごすことにしたためだ。子どもたちがあまりに多く、博物館はまるで児童公園のような状態だったと、BBC放送は報じた。カンタベリーをはじめとするロンドン近郊の小都市も、休暇の間、幼い子どもと手をつなぎ、ベビーカーを押して歩く親たちでにぎわっていた。

 長引く不況の中で、世界的に休暇の過ごし方が変わってきている。そこからできた言葉が「ステイケーション」「モールカンス」などの新造語だ。ステイケーション(staycation)は、「ステイ(とどまる)」と「バケーション(休暇)」を合わせた言葉だ。これは、お金を掛けて混み合う観光地に行く代わりに家や近所でゆったりと過ごすことを指す。ショッピングモールとバカンスを合わせた「モールカンス(mallcance)」は、涼しくて快適なショッピングモールで休暇を過ごすことを意味する。「休暇はない」という意味の「ノーカンス(nocance)」という新造語もある。

 韓国経営者総協会が、従業員100人以上の452企業を対象に調査した結果、今年、休暇手当を支給する企業は72.8%で、昨年より1.8%減少したという。休暇手当の平均額も43万3000ウォン(約2万9300円)と、昨年よりも1万2000ウォン(約810円)減少した。それでなくとも、家族を持つサラリーマンは、住宅価格の下落や、銀行ローンの金利の心配で頭が痛いのに、休暇はもう一つの重い課題だ。ある調査では、回答者1500人のうち32%が、家の近所の公園やキャンプ場、サイクリングロード、公演などに出掛ける「都心の休暇」を過ごすと回答した。

 朝鮮王朝時代の学者、チョン・ヤギョンは、暑さを克服する方法を八つ挙げた。「月夜に足を洗う」「森の中でセミの声を聞く」「ゴザを敷いて囲碁をする」などだ。振り返って考えると、庶民の生活が苦しくなかった時代があっただろうか。大金を使わずとも趣向を凝らした休暇を楽しみ、体と心に元気をチャージして秋を迎えられるよう知恵を絞ってみよう。



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