2012年9月5日水曜日

■【社説】韓国を襲う保護貿易主義

【社説】韓国を襲う保護貿易主義
http://japanese.joins.com/article/841/158841.html?servcode=100&sectcode=110
2012年09月04日17時29分 [ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]

  昨年4月、アップルがサムスン電子を相手取り特許訴訟を起こすと、李健熙(イ・ゴンヒ)サムスン電子会長は「出る杭は打たれるという原理」と述べた。 こうした不吉な予言が現実化している。 韓国の輸出企業に向かって、特許訴訟と貿易報復という激しい津波が押し寄せている。 欧州発の経済危機で世界経済が混迷しているうえ、重要な選挙を控えた世界各国が不況と失業による内部の憤怒を外国企業の責任にする雰囲気が表れつつある。 懸念されてきた保護貿易主義が勢力を伸ばし始めたのだ。

  特に韓国製品が集中砲火を浴びている。 代表的な例がサムスン電子とアップルの特許訴訟だ。 米国陪審員が自国企業のアップルに軍配を上げ、1兆ウォン(約700億円)以上の賠償金を決めた。 昨年11月には米裁判所がデュポンの営業秘密を侵害した容疑で、コーロンに対し、過去5年間に米国に輸出した金額の300倍を超える約1兆ウォンの賠償を命じた。 これだけではない。 世界的なパテントトロールが韓国企業を苦しめながら、昨年、米裁判所だけで117件の特許訴訟が提起された。 2年前に比べ80%以上も増えた。

  保護貿易障壁は特許のような技術分野に限らない。 伝統的貿易紛争の反ダンピング訴訟も相次いでいる。 米貿易委員会はワールプールの反ダンピング提訴に基づき、先月、韓国製冷蔵庫に対して最高82%の予備反ダンピング関税を課した。 韓国の冷蔵庫のためワールプールのシェアが35%から1けたに減少したことに対する報復とみられる。 フランス政府も自国の自動車産業が経営難に直面すると、欧州連合(EU)に韓国産自動車に対する輸入規制を要請した。

  今年に入って韓国商品に対する輸入規制は122件にのぼり、昨年全体の規制件数(117件)を超えた。 最近は先進国だけでなく中国・インド・ブラジルなど韓国のように輸出中心の新興開発国までが韓国製品牽制に加わり始めた。 すでにインドは韓国製品に24件、中国は18件の輸入規制措置を取っている。 特に貿易報復が韓国の主力輸出製品である電子・自動車・鉄鋼・化学に集中している点も気になる。

 最近強まっている保護貿易主義は範囲が広まり、制裁の程度も強まる傾向にある。 現地政府の介入も露骨になっている。 世界貿易機関(WTO)は、実際に被害が発生すれば事後措置を取るようにしているが、最近は事前の貿易規制措置が乱発している。 さらに民間企業への公的資金投入、競争力が落ちる業種の雇用を保護するための補助金支給、債務保証など間接的な貿易障壁までも高く積んでいる。 選挙を控え、産業と雇用を保護しろという国内の圧力を受け、自由貿易の原則が後まわしにされているのだ。

  世界に広がる保護貿易主義はもう手放しにする段階を過ぎた。 すでに主要20カ国・地域(G20)首脳会議で繰り返し「保護貿易主義の自制」を確認したにもかかわらず、貿易紛争は急増している。 韓国だけでなくG2と呼ばれる米国と中国の間にも貿易報復の戦雲が立ち込めている。 こうした流れは私たちだけの力では防ぐのは難しい。 現在としては各企業が特許訴訟や貿易紛争に巻き込まれないように注意するのが唯一の予防策だ。 特許侵害や反ダンピング提訴に巻き込まれれば、国際法に基づき積極的に対応すること以外にこれといった方法はない。

  しかし地球村に広がる保護貿易主義をこのまま放置することはできない。 通貨安戦争や保護貿易が猛威を振るえば、近隣窮乏化によって誰もが不幸になるからだ。 1930年の米国の「スムート・ホーリー法」と貿易戦争で、世界が大恐慌のどん底に陥った痛恨の歴史を経験したではないか。 保護貿易を眠らせるには国際協調の枠でお互いが自制心を発揮することが重要だ。 韓国政府もG20を含む国際通商会議が開催される度に保護貿易主義の危険性を知らせるのに率先しなければならない。 また政府と輸出企業が協力して輸出相手国の動向を速やかに把握し、貿易紛争に柔軟に対処することが被害を最小化する道だ。 出る杭は打たれるというが、杭は深々と打ち込まれる運命にある。 いつか保護貿易の濃厚な塵が消えれば、勝者ははっきりと決まるだろう。 その時まで技術開発と生産効率性の向上で非価格競争力を最大限に高めながら耐えなければならない。 歴史的に保護貿易に依存した国が勝利をつかんだケ-スはなかった。



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