2012年9月19日水曜日

■日中の領土問題への対処に苦慮する米政府


日中の領土問題への対処に苦慮する米政府
http://jp.wsj.com/Japan/Politics/node_514624?mod=WSJWhatsNews
2012年 9月 19日  10:49 JST

 米国防総省当局者らは18日、尖閣諸島問題に関連して米軍が日中間の対立に引きずり込まれることはあり得ないと述べ、日中の危機は外交的に解決されるだろうとの見通しを明らかにした。

 ただ、これら当局者は、日中間の緊張が東アジア地域を長期的に不安定にする恐れがあるとの懸念を示した。訪日後中国を訪れたパネッタ米国防長官は、日中双方に対し冷静になり事態を沈静化させ、問題を平和的に解決するよう呼び掛けた。

  外交アナリストは、米国は危機への対応について十分注意する必要があるとし、米国が日本に譲歩を強いたり、そのように見えたりすれば、東アジアの主要同盟国である日本を弱体化させ、中国の立場を強化してしまうと警告する。

 戦略国際問題研究所(CSIS)のマイケル・グリーン研究員は、「中国軍が日本周辺 で軍事力や軍事行動を大幅に強化している時に、われわれが紛争回避のため日本に対し中国と不利な条件で解決を図るよう強いれば、東アジア地域全体に(日本は) 弱いとのメッセージを送ることになる」と述べた。

 これに対しある米国防総省当局者は、「こうした紛争を基に東アジア地域諸国間の相対的な国力の増進について何か結論を引き出すようなことはすべきでない」と述べ、日中双方を弱体化しない平和的な解決を見いだすことはできると反論した。

 米国は、日米安保条約に基づき尖閣諸島を含め日本の施政権下全域に防衛義務を負っている。ただ同条約では、日本が先制攻撃する場合には米軍は日本支援のため介入する義務はない。

  しかしボストン大学のトマス・バーガー教授は、米国が日本による軍事行動を支援せざるを得なくなるシナリオを想定するのは可能だと述べる。例えば、日本の公船が中国の漁船と衝突した場合、中国の海洋監視船さらには中国海軍の艦船が介入する可能性があり、バーガー教授は「その時点で米軍は軍事介入を余儀なく されるだろう」と述べる。

 パネッタ長官は17日、日米安保同盟に関する米国の立場は周知されているとしながらも、米国は尖閣諸島に対する日本の領有権の主張への援護は明言せず、領土紛争に対しては厳格に中立的な立場をとると繰り返し強調した。

  これについてグリーン氏は、「日本は米国の同盟国であり、米国は中国が高圧的な姿勢を強める中で、同盟国を売り渡すようなことにならないように配慮しながら外交的な交渉を働き掛けることが非常に重要だ」とし、外交的な解決を呼び掛けるのはいいが、過度に積極的に調停役を担おうとして日本の立場を弱めることがあってはならないと強調する。

  バーガー教授は、米国が支援に消極的だと日本が感じた場合、日本が弱腰になるのではないかとの懸念を示す。同教授は「そうなれば、日中対立が激化した場合よりも、東アジアにおける米国の国益は長期的にははるかに大きなダメージを受ける」と警告。さらに「中国が日本に対し高圧的 な戦術を使って、自己主張を通すことになれば、フィリピンなど東南アジア諸国はどう対応することになるのだろう」と疑問を投げ掛け、「そういう事態になら ないようにするため、米国は過度に公平なアプローチを修正し、日本を支援すべきだ」との見方を示した。

記者: Julian E. Barnes



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