2012年9月7日金曜日

■飲酒:一般市民の生活をめちゃくちゃにする酔客たち


飲酒:一般市民の生活をめちゃくちゃにする酔客たち
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/09/07/2012090701418.html
2012/09/07 14:57 朝鮮日報

町全体が酔っぱらいの遊び場、住民センターや病院でやりたい放題
飲食店や携帯電話販売店でも迷惑行為

 「あの男1人のせいで、住民は商売もまともにできないし、町内を自由に歩くこともできない。頼むからここから出て行ってほしい」

 今年5月15日、ソウル市東大門区内のある地区の住民153人が、同じ町内に住む男の転居を求める嘆願書を、警察署に提出した。男はここ10年間、ほぼ毎日酒に酔って町内をふらつき、暴言を吐くなど迷惑行為を働いている。町内全体が男の「遊び場」と化しているのだ。住民たちは男のことを「怪物」と呼び、警察は前科27犯のこの男を「酒暴(酒に酔って近隣住民に常習的に迷惑を掛ける人物)」としてマークしていた。

 この男のように、酒に酔っては近所の住民に迷惑を掛け、金を巻き上げる人間が、町のあちこちに潜んでいる。いわゆる「酔っぱらいの怪物」だ。この怪物たちは毎日、平凡な人々の日常生活を邪魔し、苦痛を与えている。本紙の取材チームはソウル市内の主な派出所や交番14カ所を徹底的に取材し、「暴力団より怖い」と恐れられている「酒暴」たちの実情に迫った。

■酔っぱらい1人におびえる町民たち

 問題の男はもともと、タクシーの運転手をしながら生計を立てていたが、2002年からは仕事がない状態が続いていた。毎日のように酒に酔って町内を1周するのが「日課」になっている。毎日、焼酒(韓国式焼酎)を2-3本飲むと、まず町内の住民センターを訪れる。そしてセンターの職員に「困りごとがあるから話を聞いてほしい」と言って座り、長々と身の上相談を始める。09年7月からこれまでに、男が住民センターの相談コーナーを利用した回数は1330件。休日を除き、1日2回の割合で訪れていることになる。公式には「相談」と記録されるが、住民センターの職員の脳裏には「悪夢」として記録されている。男が住民センターを訪れるたび、センターの中は修羅場と化すからだ。男が迷惑行為を働く対象は、決まって女性職員だ。「おい、兄ちゃんが来たぞ。コーヒー入れてくれ」という一言で始まり、最後は「お前ら皆、殺してやる」で終わる。住民の悩み事や相談事を解決するはずの場所が、男の「ストリップ劇場」と化したこともある。

 住民センターを出ると、次は町内を1周する。男は町内の病院や薬局、軽食店、携帯電話販売店などを転々とする。靴を脱いで待合室に寝そべると「おい、痛くて死にそうだ。早く治してくれ」と叫ぶ。すると、診察を受けるために病院に来ていた患者たちは、1人、また1人とその場から立ち去ってしまう。携帯電話販売店では「料金が高すぎる。まけてくれ」と言いながら店員をののしる。以前、酒に酔って町内をふらついている途中で薬局のガラス窓を割ったこともあるが、店主が告訴すると「告訴を取り下げないと火を付けてやる」と脅迫したこともあった。

 ソウル市松坡区の飲食街で大手を振って歩いている49歳の「酒暴」の男も「酔っぱらいの怪物」として恐れられている。この男は性犯罪、暴行、傷害など前科11犯で、これらの犯罪はいずれも酒に酔った状態で起こしたものだ。

■「酒暴は知能犯」

 酒に酔って迷惑行為を繰り返す「酒暴」だが、目の前にいる人々を無差別に攻撃するわけではない。

 ソウル・往十里一帯で有名な「酒暴」の男(59)は、一人でカラオケや居酒屋を経営する40―50代女性を、嫌がらせの対象にしている。男はこのような店を訪れては、金を払わずに酒を飲み、小遣いをもらっては浪費していた。また、男は突拍子もなく112番(日本の110番に相当)に電話をかけ「アシスタントを雇って違法に営業している店がある」と通報した。警察が出動して店をくまなく探し始めると、客たちは興冷した顔で1人、2人と店を出て行った。後に、男の通報はうそだったことが判明したが、営業被害は全額、業者が負担する羽目になった。

 ソウル市内の永登浦駅近くで路上生活を送る「酒暴」の男性(39)は、屋台の店主を脅迫し、事あるごとに金を巻き上げている。男は屋台の店主が店を開けるころに酔った状態で現れ、テントを張ったり物を移動したりする作業を手伝った。大きな手助けではないが、男はこれを口実に店主たちから2-3万ウォン(約1350-2000円)ずつ巻き上げる。金を出し渋る店主がいると、男は営業時間中に大声を上げながら物を投げつけるなどの迷惑行為を働き、客が近づけないよう妨害した。

 韓南大学警察行政学科のイ・チャンム教授は「泥酔者による迷惑行為は、一つ一つ個別に見るのではなく、全体的に見なければならない。個別の事件の被害は小規模かもしれないが、それが繰り返されると、被害者たちが感じる物質的・精神的な苦痛は非常に大きい」と指摘した。



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