2012年10月3日水曜日

■【コラム】2013年に消えるかもしれない10ブランド アメリカン航空に米国スズキ


【コラム】2013年に消えるかもしれない10ブランド アメリカン航空に米国スズキ
http://jp.wsj.com/Business-Companies/node_523626?mod=Center_Market
2012年 10月 3日  16:43 JST WSJ

 米オンラインメディアの24/7ウォール・ストリートは毎年、1年以内に消滅する重要な米国の10ブランドを選出している。今年のリストは特定の業界の激しい競争、ならびに効率・技術革新・資金調達において企業が遅れを取れない理由が反映されている。

1. アメリカン航空 (米航空業界3位)

2. タルボッツ (婦人物衣料チェーン)

3. カレントTV (ゴア元副大統領が発足させたニュース専門ケーブルテレビ局)

4. リサーチ・イン・モーション (「ブラックベリー」を製造)

5. パシフィック・サンウェア (スポーツ衣料小売り)

6. アメリカン・スズキ・モーター (スズキの米国法人)

7. サロン・ドット・コム (オンラインマガジン)

8. オークランド・レイダース (プロフットボールチーム)

9. メトロPCS (携帯電話事業者)

10. エイボン (化粧品)

 24/7ウォール・ストリートは、アメリカン航空がその非効率のせいで2013年に消えるとみている。同社は30年近くにわたって米航空業界1位の座に君臨し、他の多くの航空会社が破綻した時期ですら生き延びてきた。ところが、ノースウエスト航空とデルタ航空、コンチネンタル航空とユナイテッド航空が合併したことで、アメリカンはきわめて重要だったスケールメリットを失い、この2年の間に中規模航空会社になってしまった。

 リサーチ・イン・モーション(RIM)は革新的企業がその強みを失った最たる例かもしれない。その結果として、同社は2013年に消滅し得る。5年前、RIMは規模に関係なく唯一のスマートフォンメーカーで、法人市場をほぼ独占していた。しかし、その技術を一般消費者の利用に生かし損ねるという致命的な失敗を犯してしまった。2007年6月、アップルが「iPhone(アイフォーン)」を発売すると、後はご存知の通りである。(今週になってRIMは珍しく脚光を浴びているが)

 パシフィック・サンウェアにはもはや競争力を維持するための資本がない。2013年末には消えてしまうだろう。同社の直近の四半期報告書によると、最大のリスクの1つは資本が足りず、債務が支払えなくなっていることだという。

 24/7ウォール・ストリートは昨年も多くの予想を的中させたが、そのいくつかが現実となるスピードには驚くべきものがあった。ソーシャル・メディア・サイト「マイスペース」は、昨年のリストが発表されて1週間も経たないうちにマーケット・ウォッチの親会社ニューズ・コープによって売却された。

 2011年のリストに掲載され、すでに消えてしまったブランドは他にもまだある。スウェーデンの自動車メーカー、サーブは昨年の予想からわずか5カ月で破産申請した。同社はナショナル・エレクトリック・ビークル・スウェーデンという投資グループに、おそらくは自動車部品とさほど変わらない値段で買収された。

 サーブはこれまでに米ゼネラル・モーターズやオランダのスパイカー・カーズにも買収されている。

 スウェーデンの通信機器大手エリクソンは2011年11月、合弁会社英ソニー・エリクソンの携帯電話事業の半分を手放した。スマートフォン業界はアップル、およびグーグルのアンドロイド搭載機種に支配されているということにソニーよりも早く気付いたのだろう。同じように、外食店チェーンを運営するヤム・ブランズは旗艦ブランドのKFCやタコ・ベルと比べると売上高がかなり低いA&Wを売却した。

 消えると予想されたにもかかわらず、生き残っている会社もいくつかある。衣料品メーカー、アメリカン・アパレルの株式は今やペニーストックとなっている。フィンランドの通信機器メーカー、ノキアも引き続き消えることが見込まれている会社である。かつては大きなシェアを誇っていた同社だが、全従業員の20%に相当する1万人を削減したばかりだ。

 的外れだった予想もある。百貨店大手シアーズとソニー傘下の映画会社ソニー・ピクチャーズは基本的に1年前と同じような経営状態にある。シリアル大手のケロッグのコーンポップスやドラマ専門の情報誌ソープ・オペラ・ダイジェストの売上高もまずまずのようだ。

 日本のスズキの米国法人、アメリカン・スズキ・モーターもリストに載っている。同社は今年の最初の5カ月間で1万695台の乗用車と軽トラックを販売した。これは2011年の同期比で3.9%の減少だ。同社の販売台数は米国市場の0.2%でしかない。

 販売台数が伸びない理由の1つに車の評判の悪さがある。2012年の米調査会社のJDパワー・アンド・アソシエーツによる米自動車信頼性調査でスズキは、パワートレイン、ボディと素材、特徴的な機能とアクセサリーといった分野で他のほとんどのメーカーの得点を下回った。

 スズキが自動車の販売に苦しんでいることは、同社が現在、2012年モデルの自動車、トラック、スポーツ多目的車(SUV)に関してかなり積極的な72カ月間のゼロ金利ローンを提供していることからもうかがえる。こうした精力的な営業戦術にもかかわらず、スズキは米国市場でのポジションを改善できていない。

 同社の乗用車のほとんどは2万ドル未満、トラックやSUVは2万5000ドル未満で販売されている。幅広い車種を提供する他のほとんどのメーカーは、このセグメントに低価格で低燃費の車種を大量投入している。成長性という点で米国で最も成功している自動車メーカーと言える韓国の現代自動車はこのセグメントで特に好調だ。

 24/7ウォール・ストリートはリストに載せるブランドを決定するに当たり、今年も秩序だったアプローチを継続させた。主な判断基準は以下の通りである。 リストに載った各ブランドはこうした問題の1つ以上に悩まされている。

1.  売上高の急激な落ち込みと大幅な損失

2.  ブランドの親会社による撤退の可能性の開示

3.  商品の値上げで埋め合わせるのが非常に難しいコストの急増

4.  売却される企業

5.  倒産する企業

6.  顧客の大多数を失った企業

7.  市場シェアが急激に低下している事業

記者: Douglas A. McIntyre



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