2012年10月8日月曜日

■秋の観光 中国人客激減…「尖閣」影響


秋の観光 中国人客激減…「尖閣」影響
http://osaka.yomiuri.co.jp/e-news/20121005-OYO1T00909.htm?from=top
(2012年10月5日  読売新聞)

 尖閣諸島を巡る日中関係の悪化で、関西を訪れる中国人観光客が激減している。中国では「国慶節」(建国記念日、1日)に伴う大型連休中(9月30日~10月7日)だが、関西ではホテルはキャンセルが相次ぎ、団体予約ゼロになった施設も。4政令市が昨年度から売り込む滞在型ツアー「関西ダイヤモンドルート」にも影響し、担当者は頭を抱える。

遠のく客足

 4日夕、大阪・ミナミの心斎橋筋北商店街にあるドラッグストア「コクミン心斎橋北店」。入り口には中国語で「パスポート提示で5%引き」と表示するが、立ち止まる人はいない。

 「10月に入って中国人の団体予約はゼロ。東日本大震災で遠のいた観光客も戻りつつあり、国慶節に期待していたのに」。「コクミン」(本社・大阪市)の吉川博和常務は肩を落とす。

 品ぞろえ豊富で安価なドラッグストアは、化粧品などを求める中国人観光客に人気の買い物スポットだ。同社も約5年前からミナミの3店舗で団体予約を始め、中国人留学生を雇うなど力を入れてきた。

 9月半ばまで各店舗で1日5組前後の予約があったが、今は売り上げが約3割減。吉川常務は「中国は魅力的なマーケット。低迷する国内の消費を盛り上げるためにも、一日も早く関係が戻ってほしい」と話す。

観光地の嘆き

 平安神宮(京都市左京区)そばの京都ハンディクラフトセンターは、京扇子の絵付け体験や買い物、食事が出来る複合施設だ。中国人30~40人の団体予約が毎日5組程度入っていたが、今は多い日でも1組という。

 大阪城に近い帝国ホテル大阪(大阪市北区)では、国慶節の大型連休中だけで約150室がキャンセルされた。「9月半ば以降は新たな予約もない」と嘆く。

 神戸市中央区の中華街・南京町でも中国からの団体客はほとんど見られない。日本人観光客の数は変わらないといい、南京町商店街振興組合の曹英生理事長は「日本側の冷静な対応がうれしい。試練を乗り越え、より大きな絆が生まれれば」と期待する。

狂った戦略

 大阪、京都、神戸、堺の4政令市は昨年度、特長ある観光地を巡るツアーを「関西ダイヤモンドルート」と命名。ニーズに応じて様々なコースを設定できるツアーで、海外での商談会や旅行業者を招いた体験旅行を約15回実施してきた。

 政府観光局によると、日本を訪れた中国人は2010年に約141万人。震災が影響した11年も約104万人が来日した。大阪では中国人は外国人の約3割を占めてトップ。大阪市の集計では10年は約72万人だったが、昨年は約50万人。ツアーを売り出していきなりつまずき、今年にかける期待が大きかっただけに、担当者は「昨秋から立ち直りつつあり、今年も好調だったのにタイミングは最悪だ」と漏らす。

 大阪商工会議所も急きょ、大阪市内のホテルやデパート、テーマパーク、家電量販店など15社を対象に、日中関係悪化の影響の聞き取り調査を始めた。




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