2012年10月20日土曜日

■反日デモ1カ月、日系企業の苦慮続く 不買運動など懸念も…市場の魅力捨てがたく


反日デモ1カ月、日系企業の苦慮続く 不買運動など懸念も…市場の魅力捨てがたく
http://www.sankeibiz.jp/business/news/121020/bsg1210200500000-n1.htm
2012.10.20 07:00  

 日本政府による沖縄県・尖閣諸島の国有化に抗議する中国の反日デモが本格化してから、1カ月余りが経過した。破壊や放火などの被害を受けた日系企業の工場や店舗は、ほぼ通常の稼働・営業態勢に戻ったが、不買運動などで大手自動車メーカーが減産を強いられるなど影響は長期化している。

 今後、中国から東南アジアなどに拠点を移す動きが広がる可能性もあるが、中国は世界最大の市場だけに対応に苦しんでいるのが現状だ。

 反日デモで襲撃の対象となった日系企業の店舗や工場のうち、ホンダは一部の販売店で見合わせていた営業を既に再開。日産自動車も商談会を催すなど落ち着きを取り戻しつつある。

 デモ隊の乱入を受け、山東省青島にある電子部品工場などの操業停止を余儀なくされたパナソニックは、10月11日までに中国の工場全てで通常の操業に移行した。襲撃の被害額が約7億円にのぼったイオンの「ジャスコ黄島店」は10月上旬に一部の営業を始め、11月下旬には全面的に再開できる予定だ。

 しかし、日本製品の不買運動などで実需への影響は長引いている。中国の9月の新車販売台数はトヨタ自動車が前年同月比48.9%減と半減。トヨタは天津市の工場の一部生産ラインを22日から5日間休止する。

 日産やホンダも3~5割程度の減産を強いられているもようだ。大手鉄鋼幹部は「(自動車メーカーから)鋼板の納入延期の要請を受けた」と明かす。

 家電販売も打撃を受けた。中国の調査会社、奥維咨詢(AVC)によると、9月30日から10月7日までの中国のテレビ販売で、日本メーカー8ブランドの合計シェアは前年同期の30%から18%と12ポイントも低下。パナソニックの津賀一宏社長は「不買運動が一番心配だ」と懸念する。

 ユニクロも反日デモが活発化した9月15日から1週間の売り上げが、当初の見込みより2割減少。中国全土で「スーパードライ」の販売を計画していたアサヒグループホールディングスは「日本の商品が棚から下ろされている時期に出ていくのは、タイミングがよくない」(泉谷直木社長)と延期を決めた。

 しかし、世界最大の市場である中国の魅力は大きい。「中国市場が中長期的に伸びることを疑う余地はない」(日産の片桐隆夫副社長)だけに、トヨタなど日系各社が今後2年で計画する中国での生産能力の増強は、合計で140万台にのぼる。

 流通業界も積極的な出店を維持する。イオンは2013年2月末までに中国で新規に3店をオープンする。中国での店舗展開について、岡田元也社長は「今後も全く変わらない」と強調する。

 日本総研の山田久チーフエコノミストは「中国からの撤退は考えられず、現地資本と組むなど、やり方を変えた中国進出が増えるだろう」としている。

 主な中国進出企業の現状や対応

 トヨタ自動車 9月の販売は約5割減。天津工場を22日から5日間停止

 日産自動車  9月の販売は35%減。昼夜2交代の生産を昼だけに縮小

 パナソニック 被害を受けた電子部品工場などが10月中旬に通常稼働

 イオン    2013年2月末までに約180億円を投じ、3店舗を新規開業

 ユニクロ   年間80~100店を出店、1000店の将来目標は変えず




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