2012年10月5日金曜日

■韓国にじわり「スローモーション不況」の影


韓国にじわり「スローモーション不況」の影
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/10/05/2012100500657.html
2012/10/05 08:53 朝鮮日報

 韓国経済がこれまで経験したことのない「スローモーション型」の長期不況に差し掛かっているとの指摘が聞かれる。1997年のアジア通貨危機や2003年のクレジットカード不良債権問題のような大きな衝撃がないにもかかわらず、経済成長率が年3%前後に低下する長期低成長の局面が続いており、破綻の危機に直面する企業も増えている。

 スローモーション不況が恐ろしい理由は、不況がいつまで続くか、どれだけ深刻化するか予測が難しいからだ。ウリ金融持株の李八成(イ・パルソン)会長は「現在の長期不況が今後5年続けば、破綻企業の急増で銀行も安全とは言い切れない」と話した。

■求められる危機対応

 最近財界31位の熊津グループが企業再生手続き(民事再生法適用に相当)を申請した事態は、企業が直面する危機を知らせるシグナルとなった。スローモーション不況の兆候は既に経済指標から容易に読み取れる。

 韓国銀行(中央銀行)によると、世界的な金融危機が起きた2008年から昨年にかけて韓国経済の平均成長率は3.1%だった。韓国の経済史で最も低い成長率だ。通貨危機直後の1998年から2002年までの5年間の平均成長率は5.0%、03年のクレジット不良債権問題浮上から5年間の平均成長率は4.3%だった。過去4年間のうち3年間は経済成長率が4%を下回ったが、これも過去に例がない。今年は3%成長も危ういというのが研究機関の見方だ。

 経済の回復力も低下した。韓国経済は通貨危機直後の1998年に成長率がマイナス5.7%に落ち込んだが、翌99年には10.7%の高度成長を成し遂げた。しかし、金融危機以降の成長率は2008年が2.3%、09年が0.3%、10年が6.3%、11年が3.6%となり、10年を除き、潜在成長率にも満たなかった。

 家計債務の不良債権化リスクも高まっている。韓国の市中銀行による個人向け融資延滞率は8月末現在で6年ぶりに1%を超え、韓国銀行の調査によると、銀行の融資担当者を対象に調べた信用危険指数は03年のクレジットカード不良債権問題浮上以降で最も高い水準となっている。既に08年の金融危機当時の危険度を上回った。

 長期不況の余波で裁判所に破産を申し立てる企業も増えている。ソウル中央地裁破産部によると、年初から8月までに破産を申し立てた企業は163社だった。このまま推移すれば、通年で200社を超え、世界的な金融危機直後の09年(193社)の記録を更新する見通しだ。経済専門家の間では、最近の韓国経済と20年間の長期不況に入った日本の1990年代初めの状況が似ているとの分析が聞かれる。

■過去にない「長期持続型」危機

 最近韓国経済が直面しているスローモーション不況は、以前とは性格が異なるものだ。世界経済が同時に不況に陥っている点が最大の相違点だ。米国経済の回復が遅れ、欧州は各国の利害関係が絡み合い、ユーロ圏の財政危機の悪夢は終わりが見えない。中国経済はハードランディングの可能性が指摘されている。

 延世大の成太胤(ソン・テユン)教授は「現在の景気低迷は単純に韓国の景気サイクル上の低迷ではない。欧州財政危機など世界的な不況の結果だ」と指摘する。韓国経済が通貨危機やクレジットカード不良債権問題からすぐに回復できたのは、輸出が経済回復をけん引したからだが、スローモーション不況のさなかにある世界経済でそれを期待するのは困難だ。大韓貿易投資振興公社(KOTRA)の調査によると、今年第4四半期(10-12月)の輸出見通しは2010年第1四半期(1-3月)以来、最も悲観的となっている。韓国の輸出の伸びは7月以降、前年同月比でマイナスが続いている。

 経済専門家は、スローモーション不況、長期化する持続型不況に備えるには、経済の体質改善が急がれると指摘する。LG経済研究院は最近「不況が今後5年続けば、各分野で1等、2等企業だけが生き残れる」とし、1等、2等のレベルを維持するか、そのレベルへと躍進する戦略が求められると分析する内部報告書をまとめた。

 サムスン経済研究所のクォン・スンウ経済政策室長は「韓国は通貨危機以降、常時リストラを進め、大規模な連鎖倒産を防ぐことができたが、世界経済が悪化を続ければ耐えられなくなる」と警告した。




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