2012年10月15日月曜日

■LCCとフルキャリア 東南アジアの空で“三つどもえ”サバイバル戦


LCCとフルキャリア 東南アジアの空で“三つどもえ”サバイバル戦
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/121004/biz12100408540005-n1.htm
2012.10.4 08:52

インドネシア・スラバヤのジュアンダ空港に並ぶLCC各社の航空機。この10年でアジアのLCCは50社以上になった(AP)

 東南アジアの空でのフルサービスキャリアとローコストキャリア(格安航空会社=LCC)が生き残りをかけた三つどもえの争いが本格化してきた。マレーシア航空が7月に超大型機エアバスA380を導入したのに続き、タイ航空も10月1日に同型機の納入を受けた。一方で中小のLCC同士が提携し、LCCの雄、エアアジアに対抗する構えだ。(フジサンケイビジネスアイ)

 ◆サービスを強化

 マレーシア航空は一時、経営立て直しのため、マレーシア政府の肝いりで、エアアジアとの提携を模索していた。昨年8月にエアアジアはマレーシア航空の株式の20.5%を取得した。しかし、エアアジアが経営に加わることで、人員整理やコスト削減策が行われることを恐れたマレーシア航空の労働組合が猛反発し、今年5月、提携が不発に終わった。

 エアアジアとの提携を解消したマレーシア航空がとった手が、A380型機の導入によるフルサービスキャリアとしての事業強化策だ。現在、クアラルンプール-ロンドン間に投入された同機は、総座席数が494席と、エールフランスの538席に比べて座席数を抑えることで、ファーストクラス、ビジネスクラスに限らず、エコノミークラスもゆとりを確保。同じ機体ならより多くの座席を確保するLCCとのさらなる差別化をはかった。

 同様のスタンスでA380機を導入したのが、マレーシア航空と同じく、やはりナショナルフラッグキャリアのタイ航空だ。タイ航空のA380機は、マレーシア航空より若干多い507席を確保し、ビジネス客の取り込みを狙う。ファーストクラス12席、ビジネスクラス60席にバーエリアを設けることなどで、シンガポール航空のような高級路線を狙う。LCCが安さを武器に観光客需要を掘り起こしたものの、乗り継ぎの利便性を含めたサービスの充実で、ビジネス客を中心に売り上げを伸ばす構えだ。

 ◆飛行態勢を再編

 こうしたフルサービスの航空会社の姿勢の背景には、LCCのなかでも、とくにエアアジアがアジアを中心とするネットワークの豊富さで、これまでの観光客に加えて、ビジネス客を取り込んでいることへの危機感がある。

 実際、エアアジアは今年、雑誌「ビジネス・トラベラー・アジアパシフィック」の読者投票で、ベストLCCに選ばれるなど、ビジネス客へ着々と浸透している。

 エアアジアは、タイのLCCの新たな拠点となったドンムアン国際空港へと移転した。従来のスワンナプーム国際空港よりもバンコク都心部に近く、LCC専用空港ということもあり、エアアジアの最高経営責任者(CEO)のトニー・フェルナンデス氏は、今回の移転を「東南アジアにおけるLCCの新たな時代への第一歩」と位置づけ、高い期待感を表明した。

 こうしたエアアジアの伸長ぶりをフルサービスキャリアが手をこまねいているわけではない。シンガポール航空は傘下のLCCで長距離路線を担うタイガーエアウェイズと、主に短距離路線を飛ぶスクートの連携を強化。シンガポール・チャンギ空港を拠点としたLCCの中長距離ネットワークを作る考えだ。

 一方、タイでは、地元のLCCのノックエアの動向がカギだ。ノックエアは、LCCのなかではビジネスクラスにも力を入れており、「ドンムアン空港を舞台にエアアジアとの競争が本格化する」(バンコク・ポスト紙)とみられている。

 ノックエアの49%の株はタイ航空が保有しており、今後、タイ航空がどのようなエアアジア対策を打ち出すかに、ノックエアの命運がかかることになりそうだ。

 ただ、A380のような超大型機は「需要があるうちはいいが、減ったとたんに大きな負担がのしかかる」(航空関係者)。また、LCCといえども単に安いだけでなく、一定のサービスが必要となり、フルサービスキャリアは、値段に見合う以上の差別化が必要なようだ。



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