2012年10月24日水曜日

■消える伝統…自然村が「1日100カ所」の割合で消失=中国


消える伝統…自然村が「1日100カ所」の割合で消失=中国
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2012&d=1023&f=national_1023_020.shtml
2012/10/23(火) 15:31
       
 中国で「自然村の消失」が加速している。「自然村」とは行政区分上の「村」ではないが、農村部などで世帯がある程度集まった地域を指す。日本の「集落」に近い概念だ。10年前には中国全国で360万カ所の自然村が存在したが、現在は270万カ所に減少。1日当たり80-100カ所の割合で、自然村が消えつつある。中国新聞社が報じた。

 中国の農村部では古来、天災や戦乱などによる難民発生などがないかぎり、人の移動は極めて少なかった。閉鎖的な意識や社会構造という問題点もあったが、各村落では独特の習慣や風習が保たれていた。

 「五里不同風、十里不同俗(5里離れれば“風”が、10里離れれば“俗”が違う)」との言い方があるほどで、中国文学芸術界連合会の馮驥才副主席は、中国の自然村について「わが国の物質的文化遺産のうち、最大のものは長城だ。非物質文化遺産のうちで最大のものは村落だ」と指摘した。

 馮副主席によると、「伝統的な村落はそれぞれが、分厚い古書と同じ。ところが、多くの古書は読むのが間に合わないうちに、次々に消えている」という。

 馮副主席は、「伝統村落という“古書”のすばらしい内容は、子孫に伝えねばならないものだ。今、きちんと読んでおかねば、永遠に失われる」と、伝統村落の調査・研究の必要性を強調した。

 馮副主席によると、住民がいなくなって自然村が消滅するだけでなく、現代化・都市化の進行と共に、集落として残ってはいるが、「伝統村落」としては変質してしまった例も多い。「山東省の場合、伝統村落はなくなってしまった。山西省では、残っている伝統村落もあるが、すでに消えてしまった場合もある」という。

 清華大学建築学科の陳志華教授は1989年以来、伝統村落における建築様式などの研究と保護を行っている。陳教授によると、「中国は農業大国を築いた民族と自ら言っている。それなのに、農業社会はもう終わったなどと言ってよいわけがない。天も許さない」という。

 農業文明がなくなってしまえば、中華民族は「薄っぺらいものになってしまうことは明らか」で、「中国人も文化レベルがもっと高くなれば、自らの農業文明を意識するようになると信じている」という。

 陳教授は83歳になったが、現在でも各地の伝統村落を巡っている。民家を含め多くの古い建築が「現代化」の名のもとに壊されたり改造されることが、特に大きな問題という。

 情報を入手して現地に足を運んだが、すでに建物が取り壊されていたというケースも多い。浙江省では、ある村に「古い祠(ほこら)があり、中には83点の額が飾られている」という情報を得た。浙江省で額が飾られている祠は他にはなかったので、大急ぎで翌日には現地に行ったが、「不必要として燃やされた直後だった。こげて残った柱からは、まだ煙がたなびいていた」という。


◆解説◆

 日本では定年退職した教授などを「名誉教授」として、その称号で呼ぶ場合が多いが、中国では退職後も、在職中の「教授」の称号で呼ぶことが一般的。陳志華教授も、大学教授としてはすでに退職したが、自らの意志で農村部の研究を続けていると考えられる。



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