2012年11月2日金曜日

■苦境に立つ宿泊業界/廃業相次ぐ観光地


苦境に立つ宿泊業界/廃業相次ぐ観光地
http://www.shikoku-np.co.jp/kagawa_news/economy/20121102000131
2012/11/02 09:45

香川県内有数の観光地として知られる金刀比羅宮の表参道。今年、琴平町内でも老舗旅館が廃業した

 6月以降、琴平と小豆島で3軒の老舗旅館が立て続けに廃業となり、苦境に立つ香川県内の宿泊業界の実態を浮き彫りにした。うどんブームで香川県内を訪れる観光客は増えているものの、宿泊者の増加にはつながっていない。長引く不況や高速道路料金の割引の定着で、日帰り・通過型観光が顕著化する中、観光業界では、四国内での域内宿泊を掘り起こそうという動きも出ている。

 「東日本大震災後の落ち込みは戻ってきているが、そもそも宿泊客が低調な状況が長く続いている。やる気を失った老舗も多い」。高松ホテル旅館料理協同組合の三矢昌洋理事長は県内宿泊業界の現状をこう解説する。

 三矢理事長の指摘を裏付けるように、香川県内では6月から9月にかけ、老舗旅館3軒が相次いで破産。3軒は土庄町、小豆島町、琴平町と、いずれも主要観光地に立地しながら、利用客が低迷。業績回復の見通しも立たず、決断したという。

 また、8月末には、宇多津町の宇多津ビブレに併設するホテル「セント・カテリーナ宇多津」が営業を休止。後継の運営会社はまだ決まらないままだ。

 県外から香川を訪れる観光客は決して減っていない。香川県の調べでは、2011年に県外から香川に訪れた観光客は871万人。うどんブームを背景に、10年前の1・2倍に増えている。ところが、11年の宿泊者数は222万人で、10年前から2割も減っている。

 観光客の増加が宿泊者の増加に結びつかないのはなぜか。三矢理事長が指摘するのは「主要観光地の元気のなさ」だ。

 栗林公園や屋島、琴平、小豆島など主要観光地の11年の入り込み客数は483万3千人で、瀬戸大橋開通後、最低を記録した。「うどんだけ食べて、観光地には寄らず、他県に出て行く」(三矢理事長)日帰り・通過型観光が鮮明となっている。

 しかし、観光業界も手をこまねいているわけではない。このほど、大手旅行代理店と四国の宿泊業者でつくる業界団体4組織が結集し、四国域内宿泊拡大推進協議会が発足。四国島外からの観光客誘致だけでなく、島内での宿泊旅行の需要掘り起こしに力を入れている。

 協議会によると、4県の宿泊者のうち、四国島民は1割に満たない。観光産業が盛んな九州や北海道ではこの割合が7割に上るという。「外に目を向ける前にまずは足元から」と協議会。11月からは、四国島民を対象に、宿泊施設を巡るスタンプラリーなどのキャンペーンを始め、宿泊客の増加を目指す。




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