2012年11月7日水曜日

■オバマ氏が勝利 ロムニー氏に競り勝ち 米主要メディア報道

■オバマ氏が勝利 ロムニー氏に競り勝ち 米主要メディア報道
http://sankei.jp.msn.com/world/news/121107/amr12110713210004-n1.htm
2012.11.7 13:20 [2012米大統領選挙]

 【ワシントン=佐々木類】米大統領選は6日、投開票が行われ、主要メディアは、民主党現職のオバマ大統領(51)が共和党候補のロムニー前マサチューセッツ州知事(65)に競り勝ち、再選を確実にしたと報じた。景気と雇用が最大の争点となった選挙で、米国民は、4年前の選挙で唱えた「変革」の継続と格差是正による「公正な社会」の実現を訴えたオバマ氏を信任し、今後4年間のかじ取りを託す。

 オバマ氏はバイデン副大統領(69)とともに来年1月に首都ワシントンで就任式に臨む。

 オバマ氏は選挙戦で、一貫して中間所得層重視の姿勢を強調。富裕層を含めた減税や規制緩和など自由な経済活動による活力ある社会の実現を目指したロムニー氏は、最終盤に巻き返してオバマ氏と激しくせめぎ合ったが、及ばなかった。




■オバマ大統領対ロムニー氏、そして日本
http://jp.wsj.com/Japan/node_543320
2012年 11月 7日  7:46 JST Japan Real Time

 米時間6日に米国の有権者が投票所に出向く際には、彼らは日本にとって最も重要な同盟国のリーダーを選ぶことになる。今回の大統領選は日本にとってどのような意味合いを持つのか。

 民主党のオバマ米大統領は就任数カ月後には東京を訪問し、(幾分物議をかもしたものの)天皇に深々とお辞儀をし、子供のころに日本を訪れたときに味わった抹茶味のアイスクリームの思い出について語って以来、もちろん日本でもよく知られている。オバマ氏の大統領就任以来、両国の関係は概して良好だ。さらに、2011年の東日本大震災と津波後の米軍による救援活動への協力により一段と強まってさえいるようだ。しかし、特に、賛否両論ある沖縄の米軍基地移設計画を進める上での米国の圧力をめぐっては緊張が走る時もあった。

フロリダ州ボカラトンで行われた第3回テレビ討論会でのオバマ大統領とロムニー氏(10月22日)
 一方、共和党のロムニー候補は日本ではそれほど知られていない。同氏は日本とあまり関連がなく、日本に関してここ数年ほとんど発言してこなかったようだ。ただ、選挙戦中の数回の言及のなかで1度、日本政府の感情を害したことがあった。8月の政治資金集めのイベントで、「われわれは日本ではない」とし、「米国は10年間や1世紀にわたって経済的な停滞と苦痛を経験するような国にはならない」と語っている。

 Japan Real Time(JRT)は今回の大統領選結果の意味合いについて複数の専門家に意見を聞いた。経済問題が2国間関係で最も重要だった20年前の大統領選と比較すると、現在は国家の安全保障問題が一層注目されている。今年の大統領選は、アジア太平洋地域の大きな地政学的シフトの時期に当たっている。ますます力を強める中国との対立が強まるなかで、日本のリーダーたちは、米国との2国間関係の中心に長い間位置してきた外交政策と国家の安全保障戦略をどのように調整するかをめぐる喫緊の課題に直面している。

 いずれの候補者が勝利しても、日本への対処方法は同じになる公算が大きい。つまり、同盟関係については支持を継続するが、アジア太平洋地域での安全保障において日本に一段と大きな役割を担うようさらに圧力をかける見込みだ。

 長期に及ぶ激しい選挙戦で広範にわたる課題について民主・共和両党の対立が浮き彫りになる一方で、日本とアジアに対する米国の政策は全般的に両党の意見が一致している分野だ。オバマ大統領の下、中国の拡大する経済及び軍事力を見据え、米国は安全保障政策の軸足を欧州からアジアへシフトする「ピボット」あるいは「リバランス」という政策を採用した。どちらの候補者が勝利するかにかかわらず、この政策は持続する公算が大きいだけでなく、今後数年のうちにおそらく一段と強化されることになろう。

 ワシントンにある戦略国際問題研究所(CSIS)のアジア担当シニアバイスプレジデント、マイケル・グリーン氏は、「ミット・ロムニー氏と(共和党副大統領候補の)ポール・ライアン氏が勝利することになっても、アジアへのいわゆるピボットからの転換はないだろう。アジアはあまりにも重要だ。向こう 10年間は誰でもアジアに焦点を絞ることになるだろう」と述べた。共和党のジョージ・W・ブッシュ前大統領の安全保障問題に関するアドバイザーだったグリーン氏は、アジア政策に関してロムニー氏のアドバイザーを今年9月まで務め、その後CSISでシニア職に就いた。

 日本にとっては、これは歓迎されるニュースだ。アジア太平洋地域での米国のしっかりとしたプレゼンスは、中国の勢力拡大に対して均衡をとること、および領有権問題をめぐる日中間の紛争が一段と暴力的な衝突にエスカレートすることを防ぐ上で最も効果的な方法だとみなす向きが、日本では多い。この意味で、米国との安全保障同盟は日本にとってかつてないほどに重要になっている。国内の財政上の制約と経済パートナーとしての中国の重要性が増しているために、米政府の日本へのコミットメントが損なわれると懸念する向きもある。しかし、専門家は、そうした懸念は必要ないと指摘している。

 中国政府が領有権の主張でますます強硬姿勢を強めるなか、オバマ政権はこのところ中国に対して一段と厳しい政策を取っている。また、ロムニー氏も特に貿易と為替政策といった分野で、中国に対する強硬な姿勢を強調している。そうした意味で、中国の台頭により、日米同盟は米国にとっても一層重要になっている。

 実際、どちらの候補が1月に大統領に就任することになっても、アジア太平洋地域での安全保障面での役割を強化するよう日本に圧力をかける公算が大きいようだ。

 東京財団の政策研究事業ディレクター(外交・安全保障担当)兼上席研究員の渡部恒雄氏は、「日本との同盟に対する期待は高い」とし、「日本との同盟は大切だということで、日本がそうとうむちゃな迷走した時もきちっとつきあった。これは我慢して貯金をしたわけで、今はその貯金を使うときだと米国は考えている」と述べた。

 オバマ大統領は1期目の初めに、日本により多くを求めた。政権発足後早い時期に当時のロバート・ゲーツ国防長官は、沖縄の米軍基地の移設計画について行動を要求し、当時の鳩山由紀夫首相に公然と恥をかかせた。この問題での行き詰まりが鳩山首相の辞任の一因となったとみられている。

 オバマ氏とロムニー氏のどちらが大統領になるかにより、安全保障関連の政策に幾分違いが生じそうだ。ロムニー氏は選挙戦を通して、米国の防衛費拡大の必要性を強調したが、オバマ大統領は抑制を求めてきた。ロムニー氏が勝利し、財政上の制約にもかかわらず防衛予算の拡大方法を見つけることになれば、沖縄からグアムに米軍を移す計画のコストなど、二国間および地域の防衛の一段と大きな負担を強いる日本への圧力が理論的には弱まる可能性もある。

 ワシントンの政策シンクタンク、アメリカン・エンタープライズ・インスティテュート(AEI)の研究員で、アジアに関するロムニー氏の「非公式のアドバイザー」を自称するダニエル・ブルメンソール氏は最近掲載したブログで、日本政府は「『米政府の後ろ盾がある』と確信が持てずにいる」ことから、中国と対決していると示唆した。さらに、「日本人は、防衛予算や核抑止力の低下を日々伝える米国の新聞記事を読むのだろうか」と続けた。

 さらに微妙な違いとしては、共和党政権の下では日本とオーストラリア、韓国といった諸国を含め、2国間の安全保障合意が一段と強調されることになろうと専門家は指摘している。民主党は多国間協力を好む傾向がある。一部の向きがこうした傾向を示す兆候としているのが、オバマ政権が過去数年間、クリントン国務長官やパネッタ国防長官を何度もアジアに派遣し、アジア地域のフォーラムに積極的に参加することにより多国間の安全保障対話を促進してきた点だ。

 一部の専門家らはまた、今年の暮れから来年夏場にかけて実施される日本の総選挙後に形成される新政権と米国の新政権がどのように付き合うかについてさらに注視している。日本の保守的な政治家の間で高まるナショナリズムの傾向は米国の当局者にとって懸念要因だが、オバマ民主党政権の継続となれば、こうした状況への許容度合いは一段と低いだろう。

 日本での世論調査では、来夏までに実施される総選挙で、自民党がナショナリストの安倍晋三総裁のもと、第1党に返り咲く公算が大きいことが示唆されている。安倍氏による最近の靖国参拝や同氏をはじめとする日本の議員のタカ派的発言は中国や韓国を刺激しているだけでなく、米国でも一部に警戒感を喚起している。

 これらの発言のなかには、第二次世界大戦中の旧日本軍の従軍慰安婦問題でのアジアの近隣国に対する日本政府の謝罪の取り消し要請などがある。ハーバード大学の教授で、元国防次官補を務めた経験のあるジョゼフ・ナイ氏はこうした動きについて、日本は「墓穴を掘っている」との見方を示した。カーター氏とクリントン氏という2人の民主党元大統領に仕えた経験のあるナイ氏は、オバマ大統領が再選されれば、日本大使の有力候補とみられる。同氏は、領有権問題をめぐる日中間の緊張の緩和を目指し、民主、共和両党が最近日本と中国に派遣した米国家安全保障関連の4人の元当局者のうちの1人。

 日本総合研究所の国際戦略研究所理事長で元外務審議官の田中均氏は、「私はこれが排他的なナショナリズムに動いてゆくことがあってはならないと思っている」とし、「アジアの中で日本が孤立していくようなことは、共和党であれ民主党であれ好まない」との見方を示した。

 日米間には現在、目立った経済問題はほとんど存在しない。日本の立場からの1つの優先事項は、世界経済の4分の1以上を代表する環太平洋連携協定(TPP)交渉への日本の参加を米国が承認するかどうかだ。野田首相は交渉参加の意向を示しているが、交渉参加には米国をはじめ、すでに交渉についている諸国からの承認が必要だ。

 オバマ政権の当局者らは全般的に日本の交渉参加に前向きだが、真剣な協議については大統領選後まで先送りしている。日本の一部のメディアはロムニー陣営の広報担当者が共和党は日本の交渉参加に冷淡とする発言を引用している。しかし、ロムニー氏の経済アドバイザーの1人は7月の日経ウイークリーとのインタビューで、ロムニー氏は「TPP並びに日本の参加を全面的に支持する」と述べた。

 日本の経済政策当局者にとっての最優先課題は世界的な円の下落だ。そして実際、円安誘導を目指す日本の当局による介入に対する米国の支援だ。日本はオバマ大統領就任以来、4回にわたって外国為替市場で介入を実施し、米財務省からはそれに対する批判も出ている。ロムニー氏は為替市場での日本の当局による行動について発言していないが、中国については「為替操作国」と認定すると宣言しており、そうなれば日本にも問題が生じかねない。

 JPモルガン証券のシニアエコノミスト足立正道氏はこれについて「日本が介入しにくくなり、フレキシビリティーが失われるというふうにも解釈できる」と指摘。

 一方、同氏は、ロムニー氏が勝利すれば、ドル高につながると予想している。というのも、ロムニー氏はよりビジネス志向とみられており、米連邦準備制度理事会 (FRB)の一段の金融緩和には反対しており、世界の準備通貨としてのドルの役割を維持するために強いドルの必要性について発言しているからだという。さ らに同氏は、ロムニー氏の勝利後には「ドル自体が強くなるだから、そういう意味では日本は何もしなくても円安になるので『ラッキー』という部分もある」と述べた。

記者: Yuka Hayashi、Eleanor Warnock



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