2012年12月6日木曜日

■豪、観光業も“中国頼み”へ 中国系住民も増加の一途


豪、観光業も“中国頼み”へ 中国系住民も増加の一途
http://sankei.jp.msn.com/world/news/121206/asi12120611050000-n1.htm
2012.12.6 11:03

 オーストラリアへの日本人観光客の減少に歯止めがかからない。豪航空大手のカンタス航空は先週、同国では観光インフラに対する投資が絶対的に不足していることなどを挙げ、今後もこうした傾向は続くと懸念を示した。こうしたなか、オーストラリアでは中国の天安門の実物大レプリカを含むテーマパークを建設する計画が浮上、中国人観光客の取り込みに力を入れる姿勢をみせている。(フジサンケイビジネスアイ)

 ◆10年間で半減

 オーストラリア政府の観光予測委員会(TFC)によると、日本からの旅行者数はこの10年間、年平均6%ずつ減少。2000~01年に72万4000人だった短期旅行者(ビジネス含む)は、09~10年に36万4000人まで減少、10年~11年もほぼ同数となっている。TFCは18年以降、若干伸びるものの、20年に37万8000人程度となるのが精いっぱいと予測している。

 こうした状況に危機感を募らせているのが、カンタス航空だ。同航空は先週、国際航空サービス委員会(IASC)に提出した文書のなかで、日本人旅行客の減少が続く原因について、「オーストラリアにおける重要な観光インフラ整備のための投資が絶対的に不足している」として、国を挙げた取り組みを求めた。

 さらに、文書では、とくに日本を含むアジア地域で、格安航空会社(LCC)の参入が相次ぎ、日本人にとっても域内の旅行先としてオーストラリア以外の選択肢が増えたことで、オーストラリアにとっての競争相手が激増したことを挙げている。

 観光客の減少を受け、カンタス航空は今年、東京-パース便の運航を中止し、さらに東京-シドニー間もジャンボジェットB747型から中型機のA330への変更を余儀なくされた。

 カンタス航空では、同社の子会社であるジェットスター航空の活用で、こうした苦境を乗り切る構えのようだが、絶対数の減少に歯止めをかける妙案は容易にはみつかりそうもない。

 ◆テーマパーク建設

 日本人と対照的に、今後も増加が予想されるのが中国人旅行客だ。もともとオーストラリアは、中国系移民が多いうえ、経済成長もあってこの10年のオーストラリアへの中国人旅行者数は、00~01年に14万3000人だったのが、10~11年には50万人と日本人旅行者数を上回った。20~21年には年間100万人を超えると予測している。これに香港からの旅行者数を加えると、120万人を超える。

 中国人観光客を取り込もうと計画されたのが、シドニーの北100キロほどのニューサウスウェールズ州ワイオングのワーナーベールに建設予定の中国テーマパークだ。

 地元のデーリー・テレグラフ紙によると、総事業費は5億豪ドル(約429億円)。地元のオーストラリア中国テーマパーク会社(ACTP)が2日にワイオング市から15ヘクタールの土地を1000万豪ドルで購入する契約に調印した。テーマパークは15年に着工。20年までに7つのセクションに天安門や故宮のレプリカのほか大仏を納めた9階建ての寺院、さらに運河を建設するなどして、中国各地の町並みを再現。さらに山東、広東、四川、福建、湖南など8種類の中国料理を楽しめるようにする計画という。

 オーストラリアといえば、シドニーのオペラハウスやコアラ、カンガルー、ゴールドコースト程度しか世界的に知られていないだけに、「オーストラリアでも最大級の観光客のアトラクションになる。観光客の新たなメッカとなるだろう」と、ワイオング市のイートン市長の鼻息は荒い。

 最新(11年)の国勢調査によると、オーストラリアに住む中国生まれの移民は現在約31万人。それ以外に東南アジア各国などから移民してきた華人を含めると中国系の数はさらに増える。いまや英国系とニュージーランド系を除けば、オーストラリアでは中国系が最も多い。オーストラリアはもはや、貿易以外でも中国抜きでは、やっていけないところに来ている。



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