2013年1月22日火曜日

■炭酸飲料の時代は終わりか


炭酸飲料の時代は終わりか
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2013年 1月 21日 12:13 JST  By MIKE ESTERL

 清涼飲料大手の米コカ・コーラ、ペプシコ、それにドクターペッパー・スナップル・グループは米国の炭酸飲料の消費減を反転させるのに苦戦している。米国では水、コーヒー、それにその他のドリンクに手を伸ばす消費者が増えている。

 清涼飲料メーカーの懸念は増大している。炭酸飲料の売り上げ減少だ。

 米国で過去8年間、消費が徐々に減り続けたにもかかわらず、清涼飲料大手は炭酸飲料を値上げでき、それは収入を維持するのに十分なほどだった。しかし、昨年下半期に米国の炭酸飲料の売り上げは減少した。パーティー好きの人々が炭酸飲料を多く購入するとされるホリデーシーズンが含まれるにもかかわらず減ったのだ。


清涼飲料メーカーはカロリーゼロないし低カロリーの天然甘味料の開発に取り組んでいる

 そんな中、業界アナリストは、この減少傾向が続くのではないかと考えている。

 サンフォード・C・バーンスタインの飲料担当アナリスト、スティーブ・パワーズ氏は「最近の店舗販売の実績から出てくる疑問は、これがニュー・ノーム(新たな標準)なのかということだ」と述べた。

 炭酸飲料メーカーは2011年、商品コストが急増したことを受け、価格を積極的に引き上げた。2012年終盤には価格がわずかに引き上げられたが、販売量はそれ以上に急激に落ちこんだ。

 炭酸飲料は米国で、糖尿病や肥満といった消費者の健康懸念の一番の標的になった。その一方で、ベビーブーマーは高齢化し、伝統的な炭酸飲料のターゲットである若者層は、炭酸飲料の代わりに水、栄養ドリンク、それにコーヒーに目を向けるようになっている。

 市場調査会社シンフォニーIRIグループのデータによると、昨年12月30日までの1年間の米店舗における炭酸飲料の売上高は前年比0.6%減の287億ドル(約2兆5800億円)となり、販売量ベースでは1.8%減少した。

 減少ペースは年末に向けて加速した。シンフォニーによれば、12月30日までの12週間の売り上げ(ドルベース)は前年同期比2.5%減、12月だけに絞ると2.8%減となった。メーカーが価格を引き上げたことがさらなる需要減につながった形だ。販売量ベースでは、12月30日までの12週間の売り上げは3.55%、12月だけでは4.9%減少した。

 このデータには、レストランや自動販売機などでの販売が含まれない。業界関係者は、こういった販売を加えると、昨年の炭酸飲料の売り上げが前年をわずかに上回った公算が大きいが、辛うじて上回っただけだろうと述べている。

 コカ・コーラ、ペプシコ、それにドクターペッパーの大手3社はみな果敢に品ぞろえを拡充し、もっと急速に成長するスポーツ飲料やフルーツジュースなどを追加しているが、米炭酸飲料の販売減が長期化すれば深刻な打撃となるだろう。炭酸飲料は米国の飲料市場の25%近くを占めているからだ。この大きな市場占有率が何十年にもわたってメーカーの利益率を保証してきたのだ。

 コカ・コーラの米国の売り上げのうち約60%は炭酸入り清涼飲料水から来ている。ペプシコではおよそ4分の1だ。業界3位のドクターペッパーの売り上げの70%以上は炭酸飲料から来ているが、米国ではその比率が約90%だ。しかし、同社はコカ・コーラやペプシコと違い、コーラをほとんど販売していない。コーラの販売は急減している。

 コカ・コーラとペプシコは2010年に合わせて約200億ドルを投じ、それぞれの米国のボトリング会社を買収し、米国でのプレゼンスを拡大した。

 バーンスタインは先週、炭酸飲料の販売量の減少を理由に、ドクターペッパーの投資判断をバイからホールドに引き下げ、コカ・コーラとペプシコの利益予想と目標株価を下方修正した。またスタイフェル・ニコラウスもコカ・コーラの今年の利益予想を引き下げた。

 これらの清涼飲料メーカーは、将来が暗いと言うにはほど遠いと述べている。炭酸飲料は世界の多くの地域で堅調に伸びており、コカ・コーラやペプシコを後押ししている。コカ・コーラは売り上げの約60%、ペプシコは50%を海外で上げている。


炭酸飲料消費量の推移

 ペプシコはコカ・コーラに市場シェアを奪われたことを受け、米国の炭酸飲料事業のてこ入れのため、何億ドルもの資金をマーケティングに投じている。ダイエット・コーク(Diet Coke)の販売量は10年にペプシを抜き、コカ・コーラに次ぐ米第2位となった。ペプシコに改善の兆候がなければ、投資家はより業績の良いスナック事業を飲料事業から切り離すよう再度同社に求める可能性がある。

 一方のコカ・コーラは今週、新しいテレビCMを流し始めた。消費者の肥満への懸念や炭酸飲料の販売を制限しようとする当局の動きに対抗したものだ。ニューヨーク市は多くの販売店で3月以降、炭酸飲料を販売する際のサイズを制限する予定だ。

 広告は、体重増の原因として炭酸飲料だけを挙げるべきではないと主張し、米国人にダンスなどさまざまな活動を通じて「楽しく」カロリーを消費するよう促す内容だ。

 また炭酸飲料メーカー各社は、フルカロリーの炭酸飲料により近い味を出せる、カロリーゼロないし低カロリーの天然甘味料の開発に取り組んでいる。しかし、その進ちょくは遅く、ダイエット炭酸飲料が炭酸飲料市場全体に占める比率は30%前後にとどまる。天然甘味料候補の1つで、ステビアを原料にするものは、一部の炭酸飲料、とりわけコーラに苦い後味をもたらす場合がある。

 ペプシコのインドラ・ヌーイ最高経営責任者(CEO)によると、同社はここ2年間の甘味料の開発で「大きく前進」し、突破口まで90%近づいた。しかし、同CEOは昨年12月の業界誌主催の会合で「残念なことに、残りの10%が一番難しい」と認めた。

 スタイフェルの飲料担当アナリスト、マーク・シュウォーツバーグ氏は、「清涼飲料メーカーは甘味料開発に集中するあまり、味やその機能といった、より伝統的な革新をおろそかにしている」と指摘する。




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