2013年2月22日金曜日

■ウオーキングダイエットは負荷が過大、運動許容限界超える場合も


ウオーキングダイエットは負荷が過大、運動許容限界超える場合も
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2013年 2月 19日 15:19 JST
By SHIRLEY WANG

 運動のことになると、人はまったく異なる2つのタイプに分かれるようだ。汗だくになるような激しい運動を好むタイプと、運動を苦痛の1つとして感じるタイプだ。

 より多くの人にからだを動かしてもらいたいという望みのもと、科学者らは運動に対する異なる姿勢の背景に何があるのかを理解するための手掛かりを求め、からだの生物学的および科学的プロセスを研究している。これは、なぜ運動を楽しむ人がいる一方で、そうではない人がいるのかを説明する上で、動機や鍛錬を超える理由がそこにあることを示し得るものだ。

 これまでのところ1つのことがわかった。運動をしている最中とその後のからだの感覚をどうとらえているかが、運動を楽しめるかどうかに大きな役割を果たしているということだ。また、アイオワ州立大学の研究者らは人の肉体的な許容量は多くの人が気づいているよりもかなり小さいことがあり得るため、知らないうちに限度を超えて運動をしすぎている可能性もあるということを発見した。例えば、座っていることが多い人にとっては、料理をすることも運動の1つに数えられ、歩くためにさえからだを鍛える必要があることが研究でわかった。

 マサチューセッツ州セーラム在住のウェブデザイナー、ダン・セダーホルムさん(38)は自分が続けられそうな運動を何年間も試してきた。ジムはつまらないし、バスケットボールや野球には興味がない。ではランニングはどうか。セダーホルムさんは「いつも向こうずねがひどく痛くなる」と言う。

 一方、セダーホルムさんの友人のリック・ジョンソンさん(41)は毎年20のロードレースに出場する。子どもの頃でさえ、体育の時間に一周走るように言われると、追加で走らせてほしいと頼んだものだったとジョンソンさんは振り返る。「わたしにとって、汗をかくことや走ることが楽しくないと言うことは、かなり異質に思える」と話す。ジョンソンさんはセーラム在住の編集者だ。

 カウチポテト族からオリンピックのアスリートに至るまで、誰にでも肉体的な許容範囲がある。それを超えると、からだはストレスを感じ、気分が悪くなり始める。肺活量や酸素の運搬機能、筋肉細胞で酸素が消費される速さといった遺伝的な要素がどれだけその原因になっているのかは依然として学者間の議論のテーマだ。10%から50%まで見解は分かれると話すのは、運動の精神生理学を研究しているアイオワ州立大学の身体運動学教授、Panteleimon Ekkekakis氏だ。

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 一方、座りがちの生活を送る人の多くが、あまりに速く、あるいはあまりに激しく運動して自身の許容範囲を超えてしまうという。こうしたことで、運動がきらいになったり、止めたくなったりすると同教授は指摘する。

 許容範囲は「換気性作業いき値(VT)」と呼ばれるもので決まる。通常、人は呼吸の際に取り込んだ酸素と同量の二酸化炭素を吐き出す。しかし、VTを超えると、体内から吐き出される二酸化炭素の量が、体内に取り込んだ酸素の量を超える。二酸化炭素の量が酸素の量を上回るというのは、筋肉がより酸性になったことを示している。つまり、からだはストレスを感じているということだ。

 一般的な人はほとんどの場合、VTは最大能力の50%から60%だが、個人差はかなり大きい。優秀なアスリートはVTが80%にまで達することがある。一方、座っていることの多い人は35%もあり得る。

 ただ、音楽を聞くといったトリックを使えば、自身のVTをわずかに過ぎても、気持ち良くいられることもあり得ることを、Ekkekakis氏と同僚らは発見した。しかし、最大能力に近づくと、気分が悪くなるという反応は避けられないという。

 また、VTや最大能力をゆっくりと引き上げることも可能だが、そのためには長い期間にわたって運動を継続するための十分に肯定的な経験がなければならない。

 肥満で運動をしないが、そのほかの面では健康な中年女性の研究を続ける中で、こういった女性の一部に、低速でトレッドミルを歩いても、わずかに1分でVTに達するケースがあることをEkkekakis氏は発見した。女性たちのVTはかなり低く、皿洗いや料理をするだけで許容量の限界に達してしまうと、Ekkekakis氏は指摘する。

 このことは、多くの減量療法がウオーキングを基本的な運動として提案しているものの、多くの人にとってそれがハードすぎる場合があることを意味する。

 また、筋肉の乳酸値の上昇や体温の上昇など、運動や疲労に伴う体感をどうとらえるかという点も、日常的に運動を続けるかどうかに影響を及ぼすことがある。こういった肉体の合図を、よい運動や進歩のサインととらえる人がいる一方で、あまり運動をしない人たちの多くはただ不快であったり、苦痛を感じると研究者らは話す。

 英エセックス大学のスポーツ・運動科学センターでカリキュラム・ディレクターを務める研究者のドミニク・マイケルライト氏は、優秀なアスリートは「穏やかなマゾヒスト」と呼ばれると話す。肉体の駆使による痛みを楽しんでいるように見えるからだ。

 大人の場合は何をしたらいいのかわからない、またそのやり方を知らないことで運動をする意欲がなくなることもある。子どもの頃に運動をしていた人は、年月の経過とともに自分の能力がいかに失われたかということに不満を覚えるかもしれない。ワシントン州立大学の身体運動学教授サラ・ウルリッヒ=フレンチ氏は、大人は昔の自分と比べなくて済む新しい運動を試すのがいいと勧めている。




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