2013年3月4日月曜日

■<PM2.5>経済優先、庶民にツケ 全人代に重い課題


<PM2.5>経済優先、庶民にツケ 全人代に重い課題
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130304-00000007-mai-int
3月4日(月)2時32分 毎日新聞

 【北京・工藤哲】北京大学と環境NGOが実施した大気汚染に関する調査で、屋外で勤務することが多い労働者が当局発表の数値以上に微小粒子状物質「PM2.5」にさらされている実態が示された。大気汚染の背景には、経済成長最優先で環境保護対策を先送りしてきた政府の姿勢に加え、対策強化に消極的な既得権益層の存在も指摘されている。5日に開幕する全国人民代表大会(全人代=国会)は重い課題を突きつけられた形だ。

 調査では、タクシー運転手のPM2.5平均値は1立方メートル当たり121.61マイクログラムで、39.49マイクログラムだった当局発表の3倍を上回った。環境保護団体職員は55.74マイクログラムで、こちらも発表値を超えた。

 「1月10日ごろからせきが止まらない」。2月23日、北京のホテルで開かれたじん肺患者を支援する集会で、患者として参加した劉建偉(りゅうけんい)さん(41)=北京市=は毎日新聞の取材にこう語った。

 石の彫刻の仕事に16年携わり、石粉を吸い続けたことから、両肺の機能が悪化した。じん肺患者支援団体「大愛清塵」の戴春(たいしゅん)主任は「大気汚染下では健康な人ですら影響を受ける。工事現場などに長時間いたじん肺患者に影響がないはずがない」と懸念する。

 北京の環境保護団体関係者は「汚染が激しい日はできるだけ外出せず、空気清浄機を使うべきだ」と訴える。しかし、PM2.5に対応する日系メーカーの清浄機は1台3000元(約4万5000円)前後で、大卒者の1カ月の給料とほぼ同じ水準。PM2.5を95%カットするマスク「N95」は病院で購入すると1個28元(約420円)で、つけている人はわずかだ。

 今回の調査を実施した環境NGO「グリーンピース」北京事務所は昨年12月、北京、上海、広州、西安で循環・呼吸器の疾患で死亡した人数から推測した結果、「12年にPM2.5に関連して死亡した人は8572人に上り、経済損失は68億元(約1020億円)に達する」との調査結果もまとめている。

 深刻化する大気汚染の背景として、共産党指導部と密接な関係がある石油・石炭業界が厳格な環境対策に消極的なうえ、競争力の低い国内自動車メーカーを保護するため排ガス規制が緩いことなどが指摘される。

 現状には中国指導部も危機感を強めている模様で、環境保護関連法の改正に向け環境保護省や全人代の幹部を4月に日本に派遣することを検討している。




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