2013年3月4日月曜日

■<エジプト>ルクソール観光打撃 民主化混乱、事故追い打ち


<エジプト>ルクソール観光打撃 民主化混乱、事故追い打ち
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130302-00000022-mai-int
3月2日(土)11時29分 毎日新聞

 【ルクソール(エジプト南部)花岡洋二、秋山信一】熱気球の爆発事故で日本人4人を含む19人が死亡したエジプト南部の観光都市ルクソールで、経済への打撃を懸念する声が広がっている。11年1月からの民主化運動による混乱の影響で観光客が激減していたのに加え、今回の事故で目玉の熱気球の運航が無期限停止となったためだ。

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 名所のルクソール神殿前では2月28日、観光用の馬車が客待ちでずらりと並んでいた。馬1頭を所有するハサン・リヤート・ハサンさん(46)によると、この時期は通常なら「繁忙期」。ムバラク前政権時代は1日4組の客がある日も多かったが、この3日間で1組も客がないという。以前は1日平均で約60エジプトポンド(800円)を稼ぎ、経費や生活費を引いても余剰金があった。今は1日30ポンドの馬のえさ代の負担が苦しい。「熱気球の事故でルクソールの観光客はさらに減ると思う。もう私たちにはどうしようもない」と嘆いた。

 近くの市場も、人通りがほとんどない。伝統衣装などを売る店で手持ちぶさたにしていたアハマド・アブデルマジドさん(24)は「モルシ大統領の誕生で治安と経済が安定すると期待したが、裏切られた。事故で、エジプトが『危ない』というイメージが強まりそうだ」と不安そうな表情を見せた。

 人口約50万人のルクソールは、古代エジプト時代の神殿などを見学する外国人観光客からの収入に依存する。大手旅行代理店「メムノン」ルクソール支店の予約責任者、ネグム・シャムスさん(41)によると、支店の利用客は前政権時代のピーク時には1週間平均1200人だった。民主化運動後、一時はゼロ近くにまで減り、再び約300人まで持ち直してきたところへ今回の事故が起きた。

 ルクソールでは熱気球ツアー関連の仕事だけで数千人が雇用されているが、事故後の行政指導で全ての熱気球が無期限で運航停止している。

 旅行代理店「ジェド・エジプト・トラベル」社の経営者、アイマン・シマンさん(46)は運航停止が3カ月近く続く可能性を指摘し、「多くの人は3カ月も待つ余裕はない」と嘆く。それでも「これを機に、気球だけでなく遊覧船やツアーバスなど観光にかかわる全ての人が安全対策を再確認し、より強い体質に生まれ変わるしかない」と語った。



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