2013年5月16日木曜日

■【コラム】 橋下氏の発言であらためて「政治家の条件」を考えてみる


【コラム】 橋下氏の発言であらためて「政治家の条件」を考えてみる
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2013&d=0515&f=column_0515_033.shtml
2013/05/15(水) 19:04

 政治家には、バランス感覚が必要だ。人前で話したことが、絶えず世の中に伝わってしまうし、場合によっては海外にまで伝わってしまうからだ。自分の発言が、誰に対して、どのような影響を与えるのか。言っていいことと悪いことを分別するフィルターが、政治家には必要不可欠なのである。

 自民党の安倍首相や一部の閣僚が、第2次世界大戦の歴史認識に関して個人的な見解を政治に持ち込んだ。バランス感覚を欠いた彼らの振るまいに対して、中国や韓国のみならず、米国からも懸念の声が上がった。それらの声に危機感を抱いた政府は、一転して村山談話を引き継ぐことを強調し始めた。

 安倍氏らの歴史認識に関する発言は、個人的な見解としては認められる。だが、国内では自分の人気が高いからと言って、それをそのまま政治の場に持ってくるのは、思慮がなく、無謀なことだと言わざるをえない。発言の内容によっては、日本と他国との関係を悪化させ、国益を損なうことにつながってしまうからだ。

 安倍氏らとまったく同じように、思慮がなく、無謀なことを、大阪市長の橋下徹市長がやってしまった。中・韓・米との関係を修正するため、政府が村山談話の継承を発表した直後に、旧日本軍の従軍慰安婦制度は「必要だった」と発言したのである。橋下氏の発言内容は、明らかにバランス感覚のないものだと筆者は思う。

 政府は、国益を考えて、歴史認識に関する見解の軌道を修正した。政治家が調子に乗って、言いたいことを言うことが、中・韓・米との関係を悪化させ、ひいては国益を損なうことにつながると気づいたからであろう。自分で火をつけて、自分で消す。こうした無益な振る舞いをマッチポンプと言うのだが、火を消したところに政府の最低限の良心が垣間見られる。

 他方、橋下氏はどうか。発言の後も、ツイッターで発言の正当性を語り続ける。それらがすべて、中・韓・米のメディアを通して、それらの国々の人たちに伝わる。橋下氏は大阪市長であると同時に、日本維新の会の共同代表でもある。「おや、国政に関わる別の政治家が、また言いたいことをそのまま言っているぜ」と海外の人々から見られる。見られるというか、あきれられる。

 いまの橋下氏は、外交上の問題が発生した際、それを解決する手段を持たない。つまり、自分の発言が元となって他国との関係が悪化した場合、悪化させっぱなしという状態になる。こうした無責任な振る舞いが、政治家がフィルターを通さずに個人的な見解を述べることの無謀さに起因しているのは明らかであろう。

 思ったことをそのまま口に出しても許されるのは、せいぜいネットの世界でのお話。そんなこと、もはや誰でも分かっていると思いきや、一部の政治家はそれを分かっていないようである。そして、そんな思慮のない政治家を選んだのは、私たちである。参院選では、思慮のある政治家に投票したいものだ。(谷川 茂)




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